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12日の東京株式市場で日経平均は大幅続伸し、一時1万9000円の大台を回復した。IT相場など過去の大相場と比べるとどんな違いが(撮影:尾形文繁)
ベテラン相場ウォッチャーに聞いた! 日経平均15年ぶり高値のワケと今後
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150314-00063166-shikiho-nb
会社四季報オンライン 2015/3/14 12:11 島 大輔
2000年4月21日以来、約15年ぶりに一時1万9000円台を回復した日経平均株価。高値圏にあった00年、07年当時の相場と比較して、現在の株高の背景には何があるのか。そして、今後の見通しは――。国内外の金融機関で長く投資業務に携わり、現在は証券アナリスト兼個人投資家として執筆やコメンテーターとして活躍している白石茂治氏に聞いた。
―約15年ぶり高値圏にある現在の株価上昇の背景には何があるのでしょうか?
まず、日本市場の環境変化がある。日本のインフレ率はマイナスから小幅ながらプラスに転じつつあり、こうした脱デフレの状況が株式、不動産市場にとって追い風となっている。インフレ率は高すぎても株式にはマイナスとなるが、現状はそこまで高くない。それが大きな背景の一つ。そこにアベノミクスと呼ばれる経済政策や、日本銀行の空前の量的金融緩和などが重なっている。また、日経平均の配当利回りが長期金利を上回るなど、企業経営者の株主還元意識が高まっていることも、株高につながっている。
ファンダメンタルズでも、日本株の上値を押さえていた「6重苦」が解消されている。6重苦とは、「円高」、「高い法人税」、「自由貿易の壁」、「労働規制の壁」、「電気代などエネルギーコスト」、「環境コスト」のこと。これらの改善も史上最高水準の企業収益に結び付いている。
また、今の日経平均の上昇には、国際比較で割安水準にある株価の修正という側面もある。会計基準の違う海外との株価水準の比較で適したPCFR(株価キャッシュフロー倍率)では、先進国市場の平均が足元で11.1倍なのに対して、日経平均は8.9倍だ。仮に先進国市場の平均値まで修正したとすると、2万2000円水準になってもおかしくない。
―00年、07年の高値の時と今の相場の違いは?
まず1999年〜2000年の高値圏は、米国のIT相場の余波を受けたごく短い上昇相場だった。米国市場は1960年代半ばから80年代初めまで横ばいのボックス圏で推移していたが、82年から00年にかけて米国版産業革命とも言えるIT革命によって大相場となった。その大きな波が終盤に近づいた99年ごろに、日本にも遅ればせながら押し寄せ、ごく短い期間だけ日経平均も上昇した。しかも、この時期の日本はデフレに入っていたため、投資環境としては決していいものではなかった。
これと比較して03年〜07年の上昇相場はどうだったかというと、これは第2次〜第3次小泉純一郎政権とほぼ同じ時期であり、今の相場と似た上昇軌道だった。07年当時の高値水準を回復した今、注目はこれからさらに上昇していけるかどうかだ。
当時の小泉政権下の構造改革は、法人税、労働規制、コーポレートガバナンスといったところまではたどり着かなかった。構造改革の第2ラウンドとなる今回の安倍政権は、残された改革を進めようとしている。
法人企業統計によると、足元の大企業製造業の損益分岐点は約65%という史上最低レベルまで改善してきており、売り上げが伸びれば利益が出やすい体質になっている。円安、原油安の追い風もあり、日本企業の収益は今年度、来年度共に過去最高を更新する見込みだ。世界景気も地域で強弱はあるものの、全体としては過去の平均成長率並みの3.5%になるという予想で、まずまずの成長が続いている。
07年当時の日本企業も現在と同様に収益面ではよかったが、コーポレートガバナンスについては不十分な面があった。村上ファンドなど「物を言う株主」が登場してきたころだが、企業側は株主との関係で意識改革は進んでいなかった。
しかし足元では、こうしたコーポレートガバナンスの本格的な変化が起きている。企業、機関投資家ともにガバナンスコードが整備され、企業と従業員の間でも賃上げが実現しつつある。
日銀の金融政策にも変化がある。当時の福井俊彦日銀総裁は、基本的には量的緩和に慎重な姿勢だった。08年に白川方明総裁に代わっても方針は変わらなかった。リーマンショック後に大規模な金融緩和に踏み切った米国に対して、日本は慎重な姿勢を変えなかったために、立ち直りにより多くの時間がかかってしまった。これも現在との違いだ。
PCFR(株価キャッシュフロー倍率)も、07年当時は先進国平均とほぼ同水準だった。この点でも現在のほうが割安水準にあると言えるだろう。
このようなことから、足元の日経平均にはまだ上昇余地があると考えている。
――今後考えられるリスク要因は?
安倍首相が7月に発表する首相談話の内容がどうなるか。言うなれば「アベノリスク」だ(笑)。万が一、中国、韓国との貿易に支障が出る発言などがあった場合、経済にとってはマイナスとなりかねない。
――米国が利上げした場合の影響は?
これについてはそれほど心配していない。FRBも世界経済に悪影響を与えるようなやり方はしないだろう。利上げのペースが速ければ、新興国から資金が流出してしまう懸念があるが、それでは米国の貿易も悪化してしまう。年内の利上げを見送るということはないだろうが、幅としてはなだらかな上昇となるだろう。株式市場もそのぐらいの利上げペースは織り込みつつあるとみている。
――セクターとして今後の牽引役は?
強い製造業や高い日本技術、そして東京オリンピックを控えた国内サービス産業が、これからの物色の柱になると考えている。
まず、先ほど話したような背景からトヨタ自動車 <7203> などを中心に成長が期待される製造業を見直そうという動きが今後も続くとみている。また、東レ <3402> に代表されるような新素材は世界が追いつけない分野だ。医薬品分野でも、がんの治療薬を開発している小野薬品工業 <4528> など、日本ならではの高い独自技術に期待している。
また、20年の東京オリンピックを控えて、内需のサービス関連、たとえばオリエンタルランド <4661> や、東日本旅客鉄道 <9020> などJR各社、鉄道関係にも注目だ。
(聞き手:四季報オンライン編集部 島大輔)
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
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