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株価が19000円越え
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52687552.html
2015年03月13日 在野のアナリスト
今日も株は大幅高です。最近、市場には「上がる」と思っている人より、「上げる」と思っている人の方が多く、全員がそのトレンドフォローになっています。なので、下げ材料になるような項目は潰しにかかる。例えば今日のメジャーSQも19225.43円と、始値より大分高いところでつけると、幻のSQにしないために買いが入ります。今日も「上げる」と思っている人たちが元気だ、となるとそれに追随する。最近、クジラなど呼ばれることもありますが、市場にいる『上げ潮』派が元気なうちは、この騰勢を妨げるのはよほど海外から強烈なマイナス要因がないと難しい、ということでもあるのでしょう。実態との乖離はますます広がりそうです。
昨日発表された法人企業景気予測調査、1-3月の大企業BSIの現状判断は1.9、としか報じられませんが、増税後からずっと右肩下がりで、4-6月の見通しは1.0とさらに下落します。中小企業は-14.8と、ずっとマイナスに沈みますし、企業の景況感は悪化をつづけることが示唆されます。
しかも、利益配分のスタンスを聞いていますが、大企業は設備投資60.3%、内部留保56.1%、株主への還元55.4%となり、人件費はでてきませんが、中小企業は内部留保56.8%、従業員への還元55.4%、設備投資39.8%と並びます。苦しい、と答えた中小企業の方が、従業員に優しい、という事実がこの国の問題を表しているのでしょう。しかも経常利益は全産業で今年度0.3%の増益、来年度は0.5%の増益を見込みます。市場関係者が謳う二桁増益、とはほど遠い内容といえます。企業はいつも慎重なものですが、これだけ実質賃金が大幅に下がってきた日本で、少しぐらいベアが達成されても消費が改善される見込みがないにも関わらず、それを囃すのと似るのかもしれません。
2月の消費者態度指数は前月差1.6と上昇しましたが、ここ半年で前年同月を上回ったのは初です。しかしこれは原油安が影響しているとみられ、耐久消費財の買い時判断がぐっと上がったように、これまで大きく下がってきた分の反動でしょう。2月後半からふたたびガソリン価格など上昇を始めており、その影響がどう出るか、を見ておかないと判断がつかないものです。
米国でも同様に、景気が回復しても消費が改善しないのは、これが金融相場だからです。通常の景気循環なら、引き締めは金利の調整であって、インパクトは小さい。しかし量的緩和からの引き締めは、どうしてもインパクトが大きくなってしまう。家計は景気回復を信じられず、防衛的になる。特に、今の市場の異常な値動きなどを見るにつけ、それが弾けたときのマイナス面を想像し、余計な出費を控えよう、控えようとの意識が働きます。金融緩和からの出口にはバブル状態でないと、とても脱出することができません。日本とて、市場関係者がいうように来期の企業業績は二桁増益が期待できるのなら、緩和を続ける意味は、本来失われているといえます。日米の金融政策担当者の考え方の違い、それはさらに消費者を不安にさせる要因ともなります。
英国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を表明しました。実は、英国はロンドンなど一部の大都市でのみ、不動産バブルが起きていましたが、最近その状況に変化が見られます。あくまで個人的な見方ですが、英国はバブル崩壊に伴う失速を恐れ、中国に阿ったのではないか? 英国にもっと投資を。それがAIIBへの参加という形になったのだと見ています。つまり市場を人質にされた時点で、英国に選択肢が残されていなかった。市場の上昇だけをみて喜んでいるようだと、これは米国、日本とて同じ話になりかねません。英国が対岸の火事ではなくなります。
クジラの生態をよく調べると、海面から深海まで頻繁に行き来する、と言います。エサをとるばかりでなく、寄生虫を振り落とすため、海面にジャンプする種もいます。日本の市場は一直線に上がっていますが、これで海面からジャンプし、集っている寄生虫を振り落としたとき、後は一気に沈んでいくだけかもしれません。日本にいるクジラ、それをおいしく食べるのは鯨食の文化がある日本人ではなく、海外の投資家だったときは、悲惨なことになりかねないのでしょうね。
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