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国債バブル崩壊とはどのようなことなのか
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20150313-00043792/
2015年3月13日 9時27分 久保田博幸 | 金融アナリスト
国債バブルが崩壊するとはどのようなことなのか、との質問をいただいたので、ここで想定される国債バブル崩壊のパターンを予想してみたいと思う。
現在の日本やドイツの国債相場がバブルの状態であるかどうかは、バブルが破裂してみるまではわからない。しかし歴史上、長期金利が0.2%という水準は極めて異例である。いずれこの反動が起きるであろう事も確かとみられるが、それが何をきっかけにどのような形で現れるのかについての予想は難しい。
とりあえず想定できるのは、何かしらの悪材料を受けてというよりも価格調整の動きとなろう。日本の債券市場でいえば1987年の債券のバブル相場の崩壊、1998年末の資金運用部ショック、2003年のVARショックと呼ばれるものが事例としてあげられる。
それぞれについてはこれまでも何度か指摘したが、1987年のタテホ・ショックの要因ともなった債券市場バブルの崩壊と2003年のVARショックと呼ばれる相場急落は、勢いに乗って相場上昇を仕掛けた反動となった。その意味では今回もいわゆる日銀トレードによって、5年債利回りのマイナス化や10年債利回りの0.2%割れという相場が演出されていたとなれば、その後の調整は1987年と2003年の事例に近い。しかし、いまのところその調整幅はショックと呼ばれるほどのものではない。
1998年の運用部ショックの事例については、当時の最大の国債保有者であり、日銀のオペレーションのように市場から国債を定期的に買い入れていた資金運用部の買入がストップしたことで発生した(資金運用部とは郵貯・簡保の資金を運用していたところ)。これは日銀の現在の国債買入が縮小する際、いわゆる出口政策の際に、同様の事態というかリスクが発生する恐れがある。
運用部ショック等の事例は大きな調整となったが、その後の債券相場は戻しており、短期的な調整とも言えるものであった。これが本格的に調整となればどうなるのか。それは債券市場ではなく1989年末にかけての東京株式市場の上昇とその後の急落が参考となる。これぞバブル崩壊である。
ファンダメンタルズなどと乖離した相場が形成されるといずれその反動が来る。その価格調整のきっかけは意外と些細なものであったりする。しかし、その相場反転の要因がテールリスク、ブラックスワンと呼ばれるものであった際の方が恐いことも確かである。
金融で最も重視されるのが信用・信認である。国債への信認が失墜したらどうなるのか。その国債に絡んだ事例として2010年に発生したギリシャ・ショックがある。ギリシャと経済大国の日本は直接比較にならないとのご意見があるかもしれないが、国力等に関わらずその国の信認が低下した際には、どのような国であり同様の事態は起こりうる。
日本国債が急落したら日銀が買えば問題ないとの意見については、そもそもその行為が財政法で禁じられた日銀の国債引き受けと認識され、財政ファイナンスと見なされる。国債と円の信認が失墜すれば、国債と円、さらに日本株のトリプル安が起こりうる。ただし、これについてはそう簡単に起きるものではないことも確かである。それだけ円や日本国債への信認は厚い。しかし、その信認は簡単に崩れるであろうことも歴史は示している。
また、国債や円の下落を日銀の国債買入や財務省の介入で止められないことは、1990年代のイングランド銀行に良い事例がある。ヘッジファンドに天下のイングランド銀行が屈したのである。
財政ファイナンスをきっかけとした物価の急騰については、第一次大戦後のドイツ、第二次大戦後の日本にその事例がある。日銀が物価目標を掲げても、物価を操作することができないのは、現在の日銀を見れば良くわかる。金融政策では、物価を上げることもできなければ下げることもできない。あくまで補助的な役割に過ぎない。特にハイパーインフレについては信用を取り戻すことが最重要となり、金利の急騰したギリシャも結局は信認を取り戻すことが必要となった。ハイパーインフレも金利の急騰も市場参加者ばかりでなく人々の不安が要因となる。ハイパーインフレを抑えるためにはその不安を取り除かなければならない。それは金融政策だけでは無理がある。
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