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「量的緩和でも金融機関におカネが滞留するだけ」との批判もあったが…(撮影:今井康一)
株価以外にもジワリと広がる量的緩和効果
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150311-00062947-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 3月11日(水)22時21分配信
日銀がいわゆる異次元緩和に踏み切ってから、まもなく2年がたちます。今回は、金融緩和によっておカネが民間にどの程度行き渡っているのかについて、二つの統計データで検証します。
その一つは、日銀が発表しているマネーストックです。マネーストックとはひとくちで言うと、企業、個人、地方自治体などが保有する通貨の総量のことで、実際に世の中に出回っているおカネの総量を示します。一般的には「M2(現金+預金)」という指標で表されます。ちなみに、金融機関と政府が保有するおカネは含まれません。
近年のマネーストックのM2の推移を見ると、2008年のリーマンショック以降は前年同月比2%台前後の伸び率でしたが、日銀が政府と「物価目標2%」の共同声明を発表した2013年1月以降、伸び率が上昇し始めました。特に黒田総裁就任後の同年4月に「異次元緩和」を決めた後、伸び率は一時4%台まで拡大しました。その後はいったん、伸び悩みましたが、昨年10月末の追加緩和後は再び、拡大する傾向を示しています。
よく「日銀が量的緩和しても、そのおカネは金融機関に滞留するだけで民間に行き渡らないため、量的緩和の効果はない」などと言われます。確かに日銀は量的緩和の具体策として「マネタリーベースを2年で2倍」という目標を掲げ、ものすごい勢いで資金を供給してきました。マネタリーベースとは、中央銀行が金融機関を直接の対象として供給する通貨の総量で、この2年間の伸び率は毎月30〜40%台、月によっては50%台というケタ外れの数字になっています。
まさに「異次元の金融緩和」が実行されているにもかかわらず、民間(地方自治体などを含みますが)に供給される通貨の総量を表すマネーストックの伸びは十分と言えません。それでも、アベノミクス実施以後の3%台から4%台という伸び率は、現在の統計方式以降では最も高い水準に達しており、量的緩和の効果は一定程度表れていると言えます。
■ 地方銀行の貸し出しの伸びが大きい
もう一つのデータは銀行の貸出金額です。これは全国銀行協会が毎月発表しているもので、日銀による金融緩和が銀行貸出という形でどのように表れているかを見ることができます。それによると、2月末の全国銀行貸出金残高は前年同月比2.6%増でした。こちらもリーマンショック以後の景気回復とともに増加傾向となり、特に13年4月以降は増加率が3%台へ拡大しました。
この統計で注目されるのは、特に地方銀行の貸し出しの伸びが大きいことです。都銀も含めた全国ベースでは最近、伸び悩んでいるのに対し、地銀の伸び率はなお上昇し続けており、15年に入ってからは4%台に乗せています。これは、リーマンショック直後の2008年11月〜2009年4月以来、約6年ぶりの高水準です。その意味では緩和マネーが地方にジワリと広がりつつあるといえます。
しかも、リーマンショック直後の貸し出しの伸びは不況に対応するための運転資金など後ろ向きの需要が中心だったのに対し、現在は設備投資や事業拡大などの資金需要が中心です。こうしてみると、金融緩和の効果が地方にも波及し、地方企業も前向きの経営に転換しつつあるといえそうです。
ただ、問題なのはマネーストックも全国銀行貸出も最近は伸び悩んでいることです。一時は4%台まで上昇したマネーストックは現在、3%台。全国銀行貸出も一時の3%台の伸びが現在は2%台にとどまっています。この数字がもっと増加してこそ、金融緩和の効果が本当に浸透しているといえます。この観点からすると、「追加緩和の可能性あり」、あるいは「追加緩和の余地あり」なのかもしれません。(もちろん、実際に追加緩和に踏み切るかどうかはもっと総合的に判断すべきなのは当然ですが……)
いずれにせよ、マネーストックと銀行貸出は、金融緩和の浸透状況を判断するうえで重要な指標です。銀行貸出は全国銀行協会が毎月末の実績を翌月の上旬(第5営業日)に発表しています。前出の地方銀行のほかに、都市銀行、地方銀行2(第2地銀)、信託銀行など業態別の内訳も発表しているので、その違いなどにも目を配るといいでしょう。
マネーストックは日銀が毎月の実績を翌月の上旬(第7営業日)に発表しています。両データとも金融関係者以外の人にとって、ふだんはさほどなじみのないデータですが、今後の伸び率の変化に注目しましょう。
※岡田 晃
おかだ・あきら●経済評論家。日本経済新聞に入社。産業部記者、編集委員などを経てテレビ東京経済部長、テレビ東京アメリカ社長など歴任。人気番組「ワールドビジネスサテライト」のプロデューサー、コメンテーターも担当。現在は大阪経済大学客員教授。ストックボイスのメインキャスターも務める。わかりやすい解説に定評。著書に「やさしい『経済ニュース』の読み方」(三笠書房刊)。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
岡田 晃
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