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いまだにパンケーキ店に長蛇の行列をなす人々の“頭の中” 日本は異常なのか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150311-00010006-bjournal-ent
Business Journal 3月11日(水)22時30分配信
ここ数年、特に若い女性の間でブームになっている食べ物といえばパンケーキ。これまでもナタ・デ・ココや塩キャラメル、白いたい焼きなどさまざまなスイーツが話題を集めてきたが、その流行の終焉が早いのもこうしたスイーツブームの特徴。しかし、パンケーキは数年前にブームが始まってから、依然としてその勢いはとどまる ことを知らない。以前、あるテレビ番組でタレントのマツコ・デラックスが、パンケーキ店に長蛇の列をなす女性たちについて「頭がおかしいんじゃないの?」と発言したこともあったが、この現象を「異常」と感じる男性や中高年層が多いのも確かだ。
パンケーキ専門店は東京都内だけで約450店もあるといわれており、その数は現在も増え続けている。さらにスイーツのメッカである東京の原宿や表参道の人気店ともなれば、平日でも1〜2時間待ちというのが珍しくないという。
一体このムーヴメントはいつから、そして何がきっかけで起こったのだろうか。パンケーキ文化に詳しく、著書に『パンケーキ・ノート』(リトル・モア)があるライターで早稲田大学非常勤講師のトミヤマユキコ氏はこう分析する。
「ブームのきっかけは、『bills』、『Eggs’n Things』という有名店が相次いで日本に進出してきたことでしょう。先駆けとして『bills』が鎌倉・七里ヶ浜に1号店を2008年にオープンさせ、知る人ぞ知る存在に。さらに『Eggs’n Things』が10年に原宿でオープンして人気となりブームを決定づけました」
80年代にクレープブームの発祥の地ともなった原宿で話題を集めることで、若い女性にとってパンケーキが「ファッショナブルな存在」という位置づけになったというわけだ。
「さらに、パンケーキブームが始まった頃は、ちょうど『朝ヨガ』や『朝ラーメン』といった朝から家の外で有意義に過ごす『朝活』という言葉が使われ始めた時期。オープン当初の『bills』は、新しい朝食のスタイルを提案するというコンセプトが強く、朝活ブームがパンケーキブームを後押ししたという側面もあります。また、店内も本店のある国の雰囲気に沿ったつくりとなっているなど、お店によって世界観が違うのも、女の子たちがいろいろなお店に通う理由でしょう」(同)
確かに流行に敏感そうな女性ほど、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)でパンケーキ店に行ったことを写真付きで報告している印象。
「パンケーキ店は、“オシャレな街に来て、オシャレなお店に入って、オシャレなものを食べる私”というのを発信しやすいのです。さらにパンケーキは素人でも非常においしそうに撮れるフォトジェニックな食べ物。そういった意味でもパンケーキはSNSとの相性が抜群です」(同)
●ブームの息が長い理由
しかし、若い女性のブームというのは得てして凋落も早いもの。だが、パンケーキは話題になってから少なくとも5年は経過している。息が長い理由はなんなのだろうか。
「日本独自のパンケーキである『ホットケーキ』の存在のおかげで、パンケーキに興味を持つ世代の裾野が意外と広いというのが一つ。それと、これまではB級グルメなどをいろいろ食べてブログなどでリポートするというカルチャーが、男性とは違い女性にはあまりなかった。女性たちが継続的に楽しめるフード系の趣味として、定着している点も大きいのではないかと思います」(同)
実際にパンケーキ店の行列に並んでいる人たちからは、「生クリームとフルーツのトッピングも選べて楽しいし、並ぶのもアトラクションだと思えば許せる」(26歳・女性)や「ダイエットが台なしになっても食べたいものの一つ。男子で言うラーメンに近い」(30歳・女性)という意見が聞かれた。もちろん否定的な見方として、「オシャレなものを並んでまで食べてる自分に酔っているだけに見える」(29歳・男性)という声もあるが、そうした否定的な見方も含めてパンケーキカルチャーといえるのかもしれない。
●今後は“先祖返り”?
ところでこのブーム、今後どうなっていくのかが気になるところ。
「見向きもされなくなってブームが終了するということは考えづらいですね。もうしばらくすれば熱が少し落ち着いて、一部の店舗が淘汰されつつ日常的なものになっていくと思います。そうすると起こり得るのが“先祖返り”という現象。海外発のパンケーキが定着することで、今まで身近にあったホットケーキの存在が見直され、『やっぱり日本独自のホットケーキが一番おいしい』と考える層も増えてくるでしょう。今後はおいしいホットケーキを出す純喫茶が話題となって、最近元気のない喫茶店カルチャーがもしかしたら盛り上がってくるかもしれませんね」(同)
一過性で終わらず、昔から親しんだ味へも再度スポットライトを当てる可能性すらあるパンケーキ。ただのスイーツブームに留まりそうにないのが、この文化のおもしろいところだ。
(文=武松佑季/A4studio)
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