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ＧＤＰや失業率などの“表面的”数値に依拠していると米国経済は“順調”に見えるが、雇用改善の内実は低収入のパートタイマーであるため、住宅を購入するどころか上昇した家賃が払えずホームレスになる人が増加している。
その象徴ともいえる数値がニューヨークシティのホームレス人数である。その数は６万５千人に達し、リーマンショック直後よりも膨らんだ過去最大数になっている。
分譲価格は上がらなくとも、“賃貸志向”も強まり賃貸価格は上がっている。このため、低収入のパートタイマー就労増加に伴い家賃が支払えなくなりホームレスになる人が増えている。
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米住宅、力強さ欠く 販売数、14年４年ぶり減
価格も低調 持ち家志向後退
【ニューヨーク＝蔭山道子】米住宅市場が力強さを欠いている。2014年の販売件数は４年ぶりの前年割れとなった。取引の勢いを示す価格も一部を除いて伸び悩む。米連邦準備理事会（ＦＲＢ）がゼロ金利政策でてこ入れしてきたにもかかわらず「住宅は期待外れ」（イエレン議長）にとどまる背景には、米国民の「持ち家志向」の後退など構造変化もありそうだ。
米国で住宅価格の実勢を映すＳ＆Ｐケース・シラー住宅価格指数（全米主要20都市）は昨年12月、前年同月を4.5％上回った。都市別に伸び率をみると、サンフランシスコが9.3％と突出する半面、ニューヨーク（1.9％）やデトロイト（2.8％）などほかの主要都市は鈍い動きを示した。
サンフランシスコの家族向け住宅価格の中心値は昨夏、「100万ドル」（約１億２千万円）の大台をつけた。ただ、より深刻なのは月額３千ドル（約36万円）を突破した家賃だ。低所得者層は「遠距離通勤を強いられるが、解決策は容易に見つからない」とサンフランシスコ地区連銀のエコノミスト、ダウリング氏は語る。
サンフランシスコの活況が例外にとどまる理由の一つは売買の停滞だ。14年の住宅販売件数（新築一戸建てと中古住宅の合計）は前年比2.6％減の537万戸と失速した。米住宅大手ＫＢホームのメズガー最高経営責任者は、販売戸数を確保するため「地域によっては値引きに踏み切っている」と明かす。
年間販売が800万戸を超えた05年は異常値としても、住宅バブル前の00年（600万戸）の水準にも戻っていない。00年以降、米国の人口は3600万人も増えており、住宅取得が増える基盤は確かにある。
「所得不足なのか、学生ローンの重荷なのか、親と住み続けているからなのか。理由は１つでないので説明は難しい」。ＦＲＢのイエレン議長は２月の議会証言で、住宅市場の停滞の理由を問われ、答えに窮した。
ニューヨーク市の中低所得者向け賃貸アパートに住み、学生ローンを借りながら弁護士を目指すスティーブン・ラプコフさん（30）は住宅を買わないことで妻と合意済みだ。「住宅ローンでさらに人生を縛られたくない」という。
米中部セントルイス市の大学生、アンドリュー・オレンスタインさん（21）も「住宅バブルの崩壊で家を取り上げられた話を聞き幻滅した。親のような持ち家にこだわる時代ではない」と話す。
米国の持ち家比率は14年10〜12月期で64％と約20年ぶりの低水準にとどまる。特に若い世代で持ち家比率が低下基調にあり、34歳以下の持ち家比率は同じ期で35％。リーマン危機のあった08年と比べると、５ポイントも低下した。
米景気は住宅を除けば力強さを増しており、ＦＲＢは住宅ローン金利の上昇につながる金融引き締めの検討に入った。需要の冷ましすぎのリスクを意識しながらタイミングを探る構えだ。
［日経新聞３月１０日朝刊Ｐ．７］
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