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高「人件費」&低「個人消費」直撃で崖っぷち業種10
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150311-00014718-president-bus_all
プレジデント 3月11日(水)8時45分配信
■より傷んだ状態での企業倒産が増えている
私たちリスクモンスターは、企業の格付(RM格付)を提供している会社です。一般的な格付は生きている企業への評価というイメージだと思いますが、私たちは過去に倒産していった企業のデータ分析からアプローチしています。
創業から現在までの14年間には45万〜50万社の倒産企業のデータがあります。これを分析していくと、売上高や利益、業種、取引先など企業に関するさまざまな情報と倒産との相関関係がわかります。それらをもとに独自の格付ロジックを作り、当社独自の「倒産確率」を算出しています。
最近は、財務体質が悪くなっても倒産しにくい傾向があります。具体的には、この3年間で倒産した企業と、5年前からの3年間で倒産した企業を比較すると、前者のほうが自己資本比率や減収率などがより悪い。つまり、より傷んだ状態になるまで、なかなか倒産しなくなっているのです。
理由のひとつは、中小企業金融円滑化法です。リーマン・ショックで資金繰りの悪化した中小企業の救済策として施行され、13年3月に終了しましたが、現在でも効力が残っています。このため救済策で延命している「ゾンビ企業」が少なくありません。
倒産しなければ雇用が守られるかといえば、必ずしもそうとはいえません。財務体質の改善を目的に、リストラに踏み切る企業は相次いでいます。「ゾンビ企業」が、生き返るためにも、人件費のような固定費の圧縮が必要です。
■5割以上の減収では倒産確率が2%以上
勤め先の経営状況を判断する指標として、倒産と相関関係の高い項目を挙げてみましょう。まず注目したいのは、売上高に対する純利益の比率です。当該指標の対象とする国内92万社のうち、全体の半数近い43万社が純利益率1%未満となっています。
私たちの分析によると、純利益率が1%以上の場合には、純利益率の大小と倒産確率の間に明確な相関関係はみられないものの、0.5%未満になると倒産確率は徐々に上昇し、0%未満、つまり赤字の場合にはほとんどの業種において倒産確率が1%以上になります。国の「日本標準産業分類」では「中分類」で業種を99に分けており、(図表)では、その分類にそって各業種の利益率をベスト10とワースト10でまとめています。参考にしてください。
次に注目したいのが、売上高の増減率です。
全体でみると、売上高が1年間に10%以上減少している場合には倒産確率が高くなり、特に50%以上の減収ではすべての業種で倒産確率は2%以上となります。なかでも卸売業や小売業では、一定の在庫負担が生じ、製造業のような生産調整が困難といった観点から、ほかの業種に比べて売上の変動による資金繰りへの影響が強いという傾向があります。10%〜20%程度の減収でも倒産確率が平均よりも高いという傾向が出ているからです。
さらに注目したい項目は、総資産における借入の割合を示す「借入依存度」です。13年10月から14年9月までのデータを分析すると、借入依存度が60%以上になると、倒産確率が平均を超えて、警戒水準に近付くことがわかります。このうち、特に総合工事業では、借入依存度が40%を超えたあたりから、倒産確率が上昇しています。
借入に関しては「メーンバンクの変更」も有力な判断材料です。特に地域密着型の金融機関への切り替えには注意が必要です。業績悪化などでメガバンクからの与信を得られなくなったことが、切り替えの原因かもしれないからです。
企業業績の改善には、売上を増やすか、費用を減らすか、どちらかしかありません。売上は外部環境に依存しやすいため、短期的に結果を出すためには費用の圧縮という手立てを取るほうが確実です。費用は、材料費や商品仕入原価、販促費などの「変動費」と、人件費、減価償却費、賃貸料などの「固定費」に分けられます。このうち手をつけやすいのは「固定費」です。なぜなら、例えば商品を生産したり販売したりするときに、「この商品は一つ当たりいくらの原価に抑えれば必要な利益が得られるだろう? 」というように、日々の事業活動を行ううえで、「変動費」の圧縮は常に意識されているため、現状以上のコストダウンは容易ではないからです。しかも、「固定費」の圧縮は売上の変動にかかわらず、利益の確保に直結します。多くの企業がリストラを再建策の初手として選択するのは、そんな理由があるからです。
■家具や繊維メーカー小売業も評価が悪い
将来推計として、最近の傾向や当社の格付ロジックから考えられることでは、人件費の比率が高い業種、特に建設・工事業や各種のサービス業で、リストラの可能性を指摘できます。ただし建設・工事業においては、現場の人員は変動費的要素が強いため、対象となるのは管理部門など販売管理費に分類される人件費が中心だと考えられます。
業種別の平均利益率では、総合工事業は2.5%、設備工事業は2.6%と決して高くありません。またサービス業では、洗濯・理容・美容・浴場業は0.6%、宿泊業は1.7%、飲食店は1.9%に留まっています。
最新の格付ロジックで倒産確率が悪化している業種では、木材系や家具系、繊維系のメーカーがあります。小売業も倒産確率が高まっていて、特に生活関連商品を扱う会社の評価がよくありません。企業向け商材を扱う会社の倒産確率に大きな変動がないことを踏まえると、個人消費の落ち込みの影響が出ていると分析できます。
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リスクモンスターデータ工場 主席アナリスト 川本聖人
中央大学商学部卒業。1999年中小企業金融公庫(現日本政策金融公庫)入庫。2007年独立系サービサーに転じ、債権回収や事業再生を手がける。10年にリスクモンスターへ。格付データの分析・更新を担当。
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呉承鎬=構成 遠藤素子=撮影
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