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GDP改定値と景気ウォッチャー調査
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52687219.html
2015年03月09日 在野のアナリスト
10-12月期GDP改定値が実質で前期比0.4%増、年率で1.5%増と、速報値のそれぞれ0.6%増、2.2%増からは下方修正されています。速報値からの変化は、在庫が0.2%増から0.2%減。民間の設備投資が0.1%増から0.1%減。家計支出0.3%増から0.5%増。在庫の減少はよい兆し、という報じ方もありますが、企業の設備投資が減少したことでも分かるように、製造業が活況というわけでもありません。個人の支出も、実は9月から急速にすすんだ円安の影響で、中国人の爆買いの一部がこの数字にのっている可能性も示唆されます。春節前ですが、ネットで日本が安い、と喧伝されていたとも伝わります。旅行者と個人の消費が明確に別けられない以上、疑念はつきまといます。
気になるのは、国民総所得(GNI)が1.7%増から1.5%増に、引き下げられたこと。雇用者報酬も0.1%増から0.0%に下方修正されています。結局、賃金は通年でも実質ベースでは改善されなかったばかりか、国民全体の稼ぐ力も落ちた。それ以上に、GDP速報値ではギリギリ通年でプラス成長になるよう、数字を細工したのではないか。その化けの皮をはぐと、通年では0.03%減、つまり通年でマイナス成長になったのではないか? との疑念はさらに深まったのでしょう。
2月の景気ウォッチャー調査は、極めて良好な数字が並びました。現状判断DIが50.1と前期比4.5ptも上昇。先行き判断DIも53.2と前期比3.2pt上昇。項目別でもすべて上昇、地域別でもすべて上昇、年が明けてから急速にマインドが改善されたかに見えます。その理由として原油価格の下落を挙げるケースもありますが、実は『良』や『やや良』と答えた人の理由をみると、首をかしげるものが並びます。「可処分所得が増えて消費が上向くと思われる」、「地方公共団体によるプレミアム商品券に期待」、「外国人旅行者の消費が堅調」と、期待と外国人頼みで指数が好転した、となっているのです。つまり実態を伴わない、期待先行の状況と言えるのでしょう。
しかも『やや悪』とした判断理由では、「値上げが相次ぎ、来客の防衛意識が強まっている」、「(自動車の)減税制度が終了すると、一気に冷え込む可能性」、「値上げをとりもどせるか不安」というものです。悪い方の判断では、良い方の判断よりもよほど実感が伴っている印象です。しかも判断理由について、『悪』としたものが載っていない。抜粋されているわけですが、『良』に比べて、割合が多いにも関わらず、判断理由の概要にほとんど採用されない理由が分かりません。これは地方別でも同じ、悪い理由の方が、よほど学ぶべきものがあるにも関わらず、です。
メディアはこの景気ウォッチャー調査が現状でも、先行き判断でも、判断の分かれ目である50を超えた、としか伝えません。しかし上記したように、判断理由は良いとしたものは期待先行、悪いとしたものは現状を見ている。一般的にも当てはまる傾向ですが、今回気になるのは、GDP速報値をぎりぎり通年でプラス成長に見せかけたように、景気ウォッチャー調査も現状、先行きとも50に乗せることが優先されたのではないか? そんな疑念すら湧いてくることです。
しかも原油価格の下落でも、好影響が期待できるとするところから、それでも悪いとするところまで。ここに来て、ガソリン価格が再び上昇しており、120円台にのせた為替も、原油安の影響を相殺する方向で働くでしょう。しかも良い方の判断では、外国人旅行者頼みのところが多い。結局、国内景気を支えるのは国外の要件だけ、という構図がここからも見え隠れします。内閣府は「緩やかな回復基調」に判断を上方修正しましたが、『悪』とする判断理由を載せないことからも、良い、良いと言うことでマインドを改善させよう、印象をよくしよう、という政権の判断理由の方が強く滲む形になっているのでしょうね。
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