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中国市場飽和で「死に体」の日系テレビブランド 現地メディアはこう報じる
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150308-00000004-zuuonline-nb
ZUU online 2015/3/8 12:35
経営再建中のシャープ <6753> は2015年3月期連結決算の当期損益が300億円の赤字に転落する見通しを発表した。液晶パネル事業とテレビ事業の不調が主な要因で、特に中国での業績悪化が著しい。中国の各メディアは同社をはじめ日系企業の動向を、さまざまな視点から報じている。そこで今回はシャープの事業およびその他日系電機メーカーについて、中国メディアがどのように報じたのかみていきたい。
■携帯電話の低価格化がパネル価格を圧迫
シャープは中国メディア「中国経営報」のインタビューで「急激な円安や中小サイズの液晶パネルの価格下落など、経営環境の変化への対応が遅れたこと」を業績悪化の最大の理由として挙げた。事実、シャープはテレビ用の大型液晶パネル分野で苦戦を強いられているうえ、昨今ではスマートフォン用の中小サイズのパネル分野にも暗雲が立ち込め始めた。というのも、同社は以前、世界第3位の中国国産携帯電話メーカー、小米科技(シャオミ)にスマートフォン向け中小サイズの液晶パネルを提供することで提携。
小米科技にパネル台数の70%〜80%を供給してきた。しかしその後、競合他社がシャープの受注量を侵食、いまでは50%程度に落ち込んでいるとの見方もある。さらに、中国の携帯電話の利用者が国民全体の95%に達するなど、市場が飽和状態になりつつあるなか、中国や韓国の携帯電話メーカー各社が極端な低価格販売を展開したため、限られたパイを奪い合うようになったことがパネル価格の下落を誘発していると懸念されている。
■日系テレビブランドはもはや「死に体」
業績悪化のもうひとつの要因として、テレビ事業の不調が挙げられる。シャープの中国におけるテレビ事業では、テレビ在庫の増加が価格競争を誘発し、売上に悪影響を及ぼしているもようだ。そのうえ、サムスンやLGどの韓国勢に加え、中国国産ブランドも急速に台頭しシャープを追い詰めている。
家電業界のアナリスト梁振鵬(リアン・ジェンポン)は「中国テレビ市場で踏ん張り続けている日系テレビメーカーは、もはやシャープとソニー <6758> だけになってしまった」と述べ、とりわけシャープは第10世代パネルに競争力があるものの、全体的なテレビ事業の縮小で製品PRや広告に力を入れられない現状を指摘した。東芝 <6502> を始め、プラズマテレビで注目されたパナソニック <6752> も中国市場から撤退を宣言。かつては中国で大きなシェアを誇っていた日系テレビブランドはもはや「死に体」だ。
■中国テレビメーカーが台頭するも、市場はもはや飽和状態
中国メディアの「捜狐(そうふ)IT」は、日系テレビメーカーの相次ぐ撤退や業務縮小の要因について「日本の経済が長く低迷してきたこと」、「イノベーション能力の欠如と市場ニーズとのミスマッチ」、「中国系企業の急速な台頭」を挙げた。そのうえで、日系企業の没落が中国系企業へさらなる発展のチャンスを与えることになったと分析している。
その一方で「人民網」は2015年2月9日、日系テレビメーカーの撤退は中国系テレビメーカーに短期的には利益をもたらすものの、長期的には楽観視できないと発表。「中国テレビ市場はもはや飽和状態であり、地方都市部までテレビが普及しつつあるため、いずれは国外に活路を見出さなければならないこと」「日系が撤退したといえど、韓国勢が依然としてパネルの革新技術を握っていること」「経済発展に伴う人件費の高騰が生産コストを圧迫していること」を取り上げ、先行きに対して懸念を示している。
■日本勢には次の競争舞台で期待
競合の台頭、労働コストの上昇、飽和状態の市場。中国メディアの報道を通じて見えてくるのはこの3点だ。経済が成熟していく市場で避けては通れない問題ゆえに、シャープの苦戦も一種の宿命だったとみてよいかもしれない。撤退した各社も、早い段階で市場の先行きに見切りをつけたことは評価すべき点だ。ただ中国市場の変化に対応しきれずシェアを奪われたことについては反省し、次は同じ轍を踏まないようにしたい。
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