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低賃金化を加速しかねない政府の安易な外国人受け入れ方針
http://bylines.news.yahoo.co.jp/maeyatsuyoshi/20150307-00043619/
2015年3月7日 11時21分 前屋毅 | フリージャーナリスト
賃金低下を加速するような外国人労働者の受け入れは、日本の労働環境を悪化させることにしかならない。外国人労働者の受け入れに反対ではないが、それには、賃金制度の整備が優先されるべきである。
3月6日の閣議で政府は、外国人の日本在留資格として新たに介護職を追加する出入国管理・難民認定法改正案を決定した。人手不足の解消を外国人労働者で埋めようということなのだが、目先だけの安易な政策としかおもえない。
急速に少子高齢化がすすむなかで、人手不足が深刻な状況であるのは事実である。ただし、それ以上に「低賃金」が定着しつつあることも忘れてはならない。安倍晋三政権は、賃金は上昇しつつあると胸を張るが、それは一部の大企業にかぎってのことである。小規模企業では昨年の賃上げ率はほぼゼロに終わっているし、今年も厳しい状況は続いている。
介護の現場も同様で、厳しい労働が強いられているわりには低賃金に抑え込まれているのが現状だ。だから離職や転職もひんぱんだという。全体的な働き手が少なくなっていることもあるが、それ以上に、賃金をはじめとする労働条件の悪い場所には人は集まらないし、定着しない。それは、当然のことでもある。
だから、足りない労働力は外国人で補おうというのは安直すぎる。外国人は低賃金で働くという思いこみがあり、それは一種の「差別」にもつながる。外国人労働者で人手不足を補いながら低賃金も維持しようという意図が政府や経営者にあるなら、やがては社会混乱にもつながりかねない。
外国人労働者を増やすという安易で危うい策よりも、低賃金をはじめとする労働環境の改善をいかにすすめていくかを優先すべきではないだろうか。t
前屋毅
フリージャーナリスト
フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。経済、社会、教育の問題をテーマに取り組んでいる。著書に『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『洋上の達人-海上保安庁の研究-』『学校が学習塾にのみこまれる日』『日本の小さな大企業』などがある。
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