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ローソン、打倒セブンの差別化戦略破綻か 新業態が使い勝手悪さで軒並み失敗
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150307-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 3月7日(土)6時0分配信
1月29日、複数の全国紙が「ローソンは『ローソンストア100』の2割に当たる約260店を閉店。『ローソンマート』事業からも撤退する」と報じた。
同社が1月9日に発表した2015年2月期第3四半期連結決算(14年3月―11月)は、営業利益が前年同期比9.1%増の598億円、最終利益が同8.1%増の329億円となるなど、全体の業績は好調だ。しかし、その陰で同社成長戦略の核となっているコンビニエンスストア新業態の大半が不振に陥っている実態が浮かび上がってきた。
その典型が、昨年2月20日に神奈川県横浜市内で1号店を開業したコンビニ型スーパーマーケットのローソンマートだ。エンターテインメント系情報サイト「ウレピア総研」のレポートによれば、開業初日は「開店から30分後には約130人が店外に行列」をつくるほどの人気ぶりだった。1号店開業に合わせてローソンが発表した同日付ニュースリリースでは「地域に密着した『進化型コンビニ』、16年度末までに東名阪を中心に500店舗新規出店」とうたっていた。ところが昨年11月末時点での店舗数はわずか38店しかない。
「開業初日の来店客数は約2500人、開業から1週間後の平均来店客数は約2000人/日」(流通業界専門誌「Value Creator」より)というロケットスタートをした1号店も「今は閑散としている。生鮮食品の品揃えが中途半端で、消費者からは『あそこへ買いに行っても、夕食の食材を揃えられない』との不満を聞く」(コンビニ業界関係者)という実態が、どうやら不振原因のようだ。
このほか、08年に調剤薬局・クオールとの提携で展開を始めた薬局併設型コンビニは13年度末に100店出店の計画だったが、14年末時点の店舗数は30店強。01年に東京・目黒区に1号店を開業したナチュラルローソンは、当初07年度末までに300〜500程度出店するとしていたが、今年1月末時点の店舗数は116店にとどまっている。
09年にドラッグストア大手マツモトキヨシとの提携で「今後5年間で1000店を展開する」としていたコンビニ・ドラッグストアのハイブリッド型店舗に至っては、14年末時点でたった2店舗という惨状だ。
同社のコンビニ新業態は計画未達が多すぎるため、最近ではコンビニ業界内で「狼少年」と囁かれる始末だ。いったい何が誤算だったのだろうか。
●利用者の高齢化が進むコンビニ
13年度のコンビニ業界売上高は9兆8189億円。前年度比4.6%増と市場拡大が続いている。売上高の業界平均構成比率はハム、ソーセージ、総菜などの日配品が約35%、加工食品が約27%と食品が62%を占めている。ローソンの場合は食品売上高が90.3%(第3四半期時点)に達しており、それは食品スーパー並みだ。同年度末の全国のコンビニ店舗数は前年比5.8%増の5万3008店。14年度の新規出店も過去最高を更新する見通しで、市場全体で10兆円突破は時間の問題だ。
郵便局やガソリンスタンドは各2万店程度なので、店舗数から見てもコンビニは今や日本最大のインフラといえる。コンビニがここまで成長した背景には、人口構造の変化がある。コンビニはかつて、若い独身男性が中心に利用する店だったが、人口の高齢化に伴い高齢者層の利用が増大している。
例えばセブン-イレブン(以下、セブン)の場合、1994年は29歳未満の利用者が全体の59%を占め、50歳以上はわずか11%だった。ところが11年には29歳未満の比率が32%に低下した一方、50歳以上は28%まで上昇している。13年の日本の人口構成を見ると29歳未満が28%と、セブンの利用者層と近い。ローソンの場合も04年は50歳以上が20%だったが、11年は35%に増加している。ファミリーマートの場合も13年末現在、50歳以上が30%に達している。このように、コンビニの利用者も明らかに高齢化が進んでおり、「コンビニは社会インフラとして、高齢化社会にいかに貢献するのか」が問われているといえる。
●セブンに勝てない原因をつくったダイエー時代の分散出店
こうした問いに、セブンがコンビニ業界のリーダーとして応えようとしている一方、ローソンは新業態開発のリーダーとして応えようとしているといえる。だが、今のところローソンのそれは空振りが目立つ。その理由について流通業界関係者の一人は「その遠因はダイエーがローソンを運営していた時代の負の遺産にある」と指摘し、次のように説明する。
セブンからわずか1年遅れの75年にローソンでコンビニ事業へ参入したダイエーは、セブンと対照的なナショナルチェーン出店でコンビニ業界の覇者を目指し、80年代から90年代前半にかけ地域コンビニを次々と買収した。97年7月の沖縄県出店でコンビニ業界初の47都道府県出店を達成、ナショナルチェーンの体裁を整えた。00年3月末現在、セブンの空白県は20県も残っており、セブンの店舗数8153店に対してローソンは7378店と、その差は775店に迫っていた。セブンの背中が間近に見えていたようだが、収益力には大きな開きがあった。
当時の比較データがないので詳細は不明だが、セブンの出店は狙いを定めた計画的なドミナント出店(特定の地域への集中的な出店)で、対してダイエーは全国制覇を果たしたとはいえ分散出店。この出店戦略の違いが収益力の開きを生んだ。セブンが消費者に対する認知度・来店頻度の向上、多頻度小口配送の効率化などで収益力を高めていたのに対し、ローソンはそれらすべてで劣っていた。
都道府県内の既存店が偏って同一商圏内で客の奪い合いをしたり、逆に離れすぎていたりと、無駄が多かった。実際、先の00年3月末現在の比較では、セブンの店舗数が100店以下の都道府県は6エリアしかないのに対し、ローソンのそれは28エリアにも達している。つまり、全国6割のエリアは店舗網がスカスカでセブンと競争にならなかったといえる。
●新業態はセブンと戦うための搦め手の出店戦略
ダイエーが経営危機で01年にローソンを三菱商事に譲渡し、三菱商事から送り込まれた新浪剛史氏が02年に社長となり真っ先に取り組んだのが、ダイエー時代の負の遺産の整理だった。
不採算店の閉鎖や既存店の立地替えで、出店のドミナント化を図った。また、ダイエー時代になおざりだった商品開発力の強化を図り、「おにぎり屋」「ごはん亭」などのヒット商品を開発した。これが現在の強みである「食のローソン」の方向付けになった。
これら当面の経営改善策と並行して進めたのが、マルチフォーマット(多業態)出店だった。これはダイエー時代の無計画な分散出店でセブンに大きくつけられた差を短期間で縮めるための搦め手の出店戦略といえる。ローソンの出店をこれから加速し、出店数で競争しても、濃密なセブンの店舗網には太刀打ちできない。ならば「業態差別化でセブンと戦い、成長を目指そう」というわけだ。
かくして05年5月、同社は100円ショップとコンビニを組み合わせた新業態、ローソンストア100(発表時はストア100)の出店を開始。これにより主力の通常型コンビニ・ローソン、女性をターゲットにした既存の健康指向型コンビニ・ナチュラルローソン(01年7月から出店開始)と合わせ、3業態のコンビニを揃えた。当時のニュースリリースで、同社は「複数のフォーマットによって、地域や客層などに合わせた柔軟な店舗展開が可能になり、これまで取り込めていなかった消費層を獲得していきます。これにより、ローソングループ全体が成長する形を整えます」と説明していた。
同時にこの頃から、総合病院内に出店するホスピタルローソン、調剤薬局併設型コンビニ・ファーマシーローソン、ドラッグストア併設型コンビニ・ヘルスケアローソンなど、実験的業態開発も積極的に行っている。
●「コンセプトは先進的だが、詰めがお粗末」
ローソンは高齢社会、健康、ダイバーシティ(多様性=女性の活躍)など、時代変化のキーワードに対する感性が鋭く、それにいち早く対応しようと新業態開発に挑戦し続けてきたが、なかなか成果に結び付いていない。
コンビニ業界関係者の一人は「新業態のコンセプトは先進的だが、詰めがお粗末」と指摘する。「それが成長エンジン筆頭格のローソンストア100において、典型的に見られる」と言う。
ローソンストア100は通常型コンビニとしては品揃えが貧弱で、チケット販売などの各種店内サービスも少ない。100円ショップとしても品揃えが貧弱。要するに消費者にとっては中途半端で、極めて使い勝手が悪いのだ。そこへ近年はイオンのまいばすけっと、マルエツのマルエツプチなどの小型スーパーが攻勢をかけている。ローソンストア100の業績不振は当然といえる。
その結果、13年度の日販(1日1店当たりの平均売上高)は、セブンの66万4000円に対してローソンは54万2000円で、差は12万2000円と、12年度に比べ1000円差が開いた。13年度の1日1店当たりの平均客数も、セブンの1060人に対してローソンは854人にとどまった。
コンビニ業界内では「20年頃には、今の『3強』から『1強多弱』になる可能性がある」との声すら出ている。
このままではセブンに引き離される一方だ。前出の流通業界関係者は「高齢化社会の課題を新業態開発で解決しようというローソンの姿勢は評価できる。だが、それで成果を出せなければローソンの努力は無に等しい」と、苦言を口にする。
ローソンにはコンセプト先行ではなく、地に足が着いたリアルな新業態開発力が求められている。
福井晋/フリーライター
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