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人生は暴力の連続、シングルマザーの深刻な貧困 生活保護のリアル〜私たちの明日は? みわよしこ
http://www.asyura2.com/15/hasan94/msg/220.html
投稿者 蟲 日時 2015 年 3 月 06 日 09:12:41: VXoEun45fU5tI
 

【第1回】 2015年3月6日 みわよしこ [フリーランス・ライター]

人生は暴力の連続、シングルマザーの深刻な貧困 

生活保護のリアル〜私たちの明日は? みわよしこ

2015年2月21日、大阪子どもの貧困アクショングループ(CPAO)が、シングルマザー100人を対象としたインタビュー調査の結果を報告した。シングルマザーたちの多くは、劣悪な家庭環境で暴力を受けて生育し、結婚しても暴力被害から自由になれず、離婚すれば「自己責任で子どもを作ってシングルマザーになった」という非難に囲まれながら、必死で自らと子どもたちを支えている。「子どもの貧困」は、シングルマザーと子どもたちにこそ、最も端的かつ深刻に現れているといえる。

この大きすぎる課題に対して、一市民にできることは何もないのだろうか?

シングルマザーの「しんどい」実態
周りは誰も何もできない?


シングルマザーの状況について語る、徳丸ゆき子氏。2015年2月21日、報告会会場にて
Photo by Yoshiko Miwa
「シングルマザーたちの人生って、もう、暴力、暴力、暴力……の連続なんです。そして、大変なことが起こり続けて、ジリジリと落ちていく方が少なからずいるんです」

 こう語るのは、徳丸ゆき子氏(大阪子どもの貧困アクショングループ(CPAO)代表)だ。

 2015年2月21日夜、新大阪駅近くの公共施設において、2013年から2014年にかけて、CPAOがシングルマザー100人を対象として行った調査の報告会「シングルマザー100人がしんどい状況について話しました」が開催された。

 調査対象となった100人のシングルマザーたちは、主に京阪神地域に在住(一部は、東日本大震災の被災地に在住)。調査方法は、主にインタビューであったが、データ収集も行われた。


熱心に撮影を行う放送局のTVクルー。この報告会の様子は、既にTV・新聞等でも報道されている
Photo by Y.M.
 土曜日の夕刻という好条件もあり、会場は100名の参加者の熱気であふれていた。参加者は女性が多かったけれども、20〜30%程度は男性であるように見受けられた。また、TV・新聞など5社程度が取材に訪れていた。

 徳丸氏がシングルマザーたちの置かれている状況について語ったり、当事者の物語を紹介したりするたびに、会場からは深い溜め息が漏れ、参加者たちは深刻な表情を浮かべていた。同時に、取材陣は厳粛な表情になりつつカメラを回し、写真撮影を行っていた。取材陣の一部は、もしかすると子どもの貧困にもシングルマザーの状況にも深い関心はなく、ただ業務として指示されて取材に訪れただけだったのかもしれない。しかし人間には、「知るだけで変わる」「より深く知ることで変わる」ということがありうる。これは、大きな希望ではないだろうか? そんなことを考えながら、私もメモを取りつつ撮影を行っていた。

「この調査を始める時、暴力の調査をするつもりはなかったんです。でも、シングルマザーたち自身の人生が、とにかくもう、暴力の連続で。暴力をふるうのは、親だったり、きょうだいだったり、付き合った男であったり子どもの父親であったりするんですが、その人々もまた、幸せな子ども時代を送っておらず、暴力や虐待の犠牲者であることが珍しくないんです」(徳丸氏)


「シングルマザーたち100人がしんどい状況について話しました」報告書表紙。盛り込まれなかった内容も含め、後日の書籍化が予定されている
拡大画像表示
 CPAOは、「みつける(アウトリーチ=困難な状況にある人々に積極的に支援の手を差し伸べること)」「つなぐ(相談事業)」「ほぐす(直接支援)」の3つを、活動の柱としている。2013年6月の企画から、調査・取りまとめ・報告を含めて2年弱にわたった今回の調査で、「人生ストーリー」面からもデータ面からも、シングルマザーたちがどのような背景を持ち、現状はどのようで、何に困っているのかが明らかになった。

 では、調査によって明らかになった事実に基づいて、シングルマザーたちに対して、どのような支援が可能だろうか?

「……私たち、何もできません。お母さんたちに対しては、お茶に誘って話を聞いたり、買い物に付き合ったり、『ちょっと出かけない?』と声をかけて一緒に出かけるくらいしかできません。でも、子どもたちは、違うかもしれません。この調査を通して、大切なのは、とにかく『幸せな子ども時代』だと気づきました」(徳丸氏)

暴力の中で生育・出産・育児
風俗でも働き、力尽きて生活保護へ


報告書に掲載されたシングルマザーたちのライフヒストリーのうち数例は、アニメーション化され、報告会場で上映された
Photo by Y.M.
 それでは、2月21日に公開された調査報告書には、シングルマザーたちのどのような生育歴と現状が描き出されているのだろうか?

 この報告書には、シングルマザーたち10名の語りと、本人による「人生バイオリズム」が掲載されている(今回の報告書に掲載されなかったデータも含め、後日、出版が予定されている)。この10名のうち、生育した家庭環境にそれほど大きな問題はなかったと思われるのは1名。9名が、肉体的暴力・精神的暴力・貧困・家庭不和などの問題を抱えた家庭に育っている。肉体的暴力は父親によっていることが多いが、母親による精神的暴力も多い。家庭不和の背景や貧困状態に陥ったきっかけとなった出来事は、両親いずれかの病気・父親の女遊び・ギャンブル依存など多岐にわたる。

 かほさん(仮名・25歳)は、心身ともに疾患を抱えていた父親と母親の間に生まれた。かほさんが産まれた時から、母親は病気で入院しており、5歳の時に亡くなった。その後は父子家庭で育つことになったが、「言うこと聞かなかったら物をぶつけるぞ」と暴力的な父親は、育児も放棄。「いつかお父さんに刺される」と思ったかほさんは、学校の教師や周囲の大人たちに助けを求めたが、周囲の大人は「そんなことはないだろう」と相手にせず、父親や親戚を頼るように言ったという。おじに預けられたかほさんは、おじから暴力を受けるようになった。一時、父親の元に戻ったものの、父親が問題を起こして住まいを失い、暴力をふるったおじの元に身を寄せた。中学生の時には、ときおりフラッシュバックに襲われ、「死ななくちゃ」と思いつめ、物品を壊したり自傷したりするようになっていたという。

 18歳の時に出会った男性と同棲し、21歳で娘を出産(現在4歳)。かほさんの人生バイオリズムでは、元「夫」と同棲しはじめてから娘を出産するまでが、最も平穏だった時期となっている。

 しかし、その「夫」は虚言癖のある男性で、不安定就労・低収入のうえ、実は妻子がいて離婚していなかったことが判明。かほさんへの肉体的・経済的暴力(貯金を奪う・借金させるなど)も始まった。市役所に相談に行ったところ「シェルターにも入れてくれなかった」という。しかたなく娘を連れて父親のもとに身を寄せると、父親から暴力を受けることになった。

 その後、かほさんは父親の家を出て、不安定就労ながら行政の仕事に就き、デリヘルの仕事と掛け持ちしながら一人で娘を育てていたが、精神疾患が悪化したため就労を続けることができなくなった。CPAOの一時保護を受け、現在は生活保護を利用して生活している。経済面では一応の安定といえる状態にはあるものの、育児においての困難・また自らの精神疾患による困難を抱え続けている。

 かほさんが現在、最も困っていることは、「人に対する自分の姿勢」だ。どうしても人を疑った目で見てしまうという。娘に対しても同様で、朝、自分に抱きついてくれた娘が、テレビを見ていたり、他の場所に行ったりすると、「あ、やっぱり、この子私のこと突き放した」と思うそうだ。


かほさん(仮名・25歳)自身による人生バイオリズム。最低の時期は、暴力に満ちていた幼少期でもなく、虚言癖があり暴力もふるう元夫と同居していた時期でもなく、生活保護を利用して娘と二人で暮らしている現在
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 本記事で紹介するために、かほさんのストーリーを改めてたどり直しながら私が痛感するのは、かほさんの強さと健全さだ。「大人が、子どもに対して、大人の責任を果たす」を自らの子ども時代に全く体験していないのに、かほさんは懸命に、責任ある大人・良き親であろうとしてきた。現在も、そうあろうとしている。その方向性と実行しようとする力は、どこから来るのだろうか? 生育環境と生育歴を見る限り、「人間として産まれたときに、既に備わっていた」と見るべきではないだろうか? しかし、子ども時代に愛情ではなく暴力を注がれて育ってしまったことが、かほさんの努力の結実を阻んでいる。

 これから、誰がどれだけの資源を注げば、かほさんのようなシングルマザーに精神の回復をもたらし、必要だったはずなのに与えられなかった教育などの機会を提供し、生活保護を利用しつつも自信と尊厳のもとで日常を送れるようにすることができるのだろうか? 私には想像もつかない。ただ、現在の生活保護制度が、不完全・貧弱といえども、その最低限の支えとなっていることは事実だ。

 そして、シングルマザーを支えることと並行して、現在「待ったなし」で行わなくてはならないのは、現在、子ども時代のまっただ中にあるシングルマザーの子どもたちが「幸せな子ども時代」を送れるようにすること、せめて、近づけるようにすることだ。

 でも、どうやって? 課題はあまりにも、厳しく深く大きい。

貧困に苦しむ母子を
“慈善”でなく支援する人々も


CPAOの調査報告会当日は、新大阪駅構内でボランティアたちが経路案内を行っていた。会場までの経路のあちこちに、来場者が迷わないよう案内板が設置されていた
Photo by Y.M.
 この報告会では、徳丸氏らによるCPAOの活動紹介・調査報告が行われたあと、調査に協力した伊藤智樹氏(富山大学人文学部准教授)のコメント、湯澤直美氏(立教大学教授・「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク共同代表)による基調講演が行われた。

 伊藤氏はシングルマザーたちの物語について、本人が「現状から脱出したい」「将来こうなりたい」と考えるに至れない社会構造があることを指摘しつつも、インタビューから

「たくましさ、落ちてゆく中で頑張った」

 という側面が多数読み取れることに言及し、

「不利な状況の中で沸き上がってくるものを大事にする、言葉にしてもらうことが大切です。その作業を担う人が必要です」

 と述べた。

 湯澤氏は、1980年代から現在に至る政治と行政の動き・女性の貧困・特にシングルマザーとその子どもたちの貧困を、豊富な資料とデータによって紹介した。また、シングルマザーたちの経験してきた、数多くの問題を含んだ家族ストーリーについて、「その家族の問題」と捉えるのではなく、「社会全般の問題が凝縮された小集団としての家族の問題」と捉える必要性を強調し、「政府・行政の動きを待たないで、働きかけていきたい」と述べた。

 では、自分の生活・自分の仕事・自分のワークライフバランスも大切にしたい一市民にできるような些細なことは、何もないのだろうか?

 報告会の最後、CPAOに関わる4名の人々によるパネルディスカッションが行われた。関わり始めたきっかけは、

「仕事の量が時期によって一定しないので、ヒマな時期を活かしたい」(イラストレーター)
「お寺に集まるお供え物を無駄にしたくないので、必要とする方に提供したい」(住職)
「妻がCPAOに関わっていたので、何をしているのか見に行って、そこにいた子どもと遊んだ」(会社員)
「育児が一段落したので、もう一度子育てに関わりたい」(団体職員)

 と多様だが、共通しているのは、「慈善のため!」「意義ある重大な活動を!」といった気負いがないことだ。そして異口同音に語られるのは、軽い気持ちで始めて現在も大きな無理なく続けている活動の、想定外の効果と喜びだ。


「お寺おやつクラブ」の活動を紹介する松島靖朗氏(奈良県・安養寺住職)
Photo by Y.M.
 たとえば、お寺に集まる菓子などの供物をシングルマザーに手紙とともに提供する「お寺おやつクラブ」(現在、全国150寺(宗派不問))の活動を続ける住職・松島靖朗氏は、

「子どもの友達が遊びに来た時に、おやつを出せた」
「息子が『ありがとう!』と見せたことのない笑顔を見せた」

 といった母親からの感謝を紹介し、

「それらの反応が励みになり、モチベーションが高まりました」

 と言う一方で、

「おやつを月に一度だけ送るのでは、力不足です。育ち盛りの子どもたちが、安定して食べられないと」

 と限界を述べた。それは、行政あるいは行政並みの体力のある組織にしか実現できないことであろう。しかし松島氏は、

「お寺おやつクラブを始めたとき、『見守ってくれる存在がある』ということを伝えられるとは、想定していませんでした。今、日本全国には7万の寺があります。コンビニより多いです。しかも日本では『坊主丸儲け』と思われていますから、少しでも良いことをすると『おっ』と思われます」

 と、会場の笑いを取り、

「7万の寺、8000万人の仏教徒が動いたら強いです。子どもの貧困問題、緩やかにでも解決するのではないでしょうか?」

 と結んだ。

 一人が全力を尽くしても、できることは多くはない。本当は「したい」と思っていないのに「世の中のために」と無理に続ける活動は、所詮は長続きしない。しかし、「これだけなら、してもいいかな?」が、約一億人分集まれば、どれほど大きな力になるだろうか?

 本シリーズでは、貧困と生活保護とその周辺にある問題を解決していくための具体的な糸口や取り組みを、貧困の当事者たち・生活保護を利用している当事者たちを含めて、問題解決に関わる人々の姿とともに紹介していきたい。今後もご期待いただきたい。

 次回は、CPAOが定期的に開催している「子ども食堂」の様子を、関係者の言葉とともに紹介する予定である。
http://diamond.jp/articles/-/67922
 

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コメント
 
01. 2015年3月06日 10:19:14 : snAc501eHi
シングルマザ-には手を差し出してやらないといけませんね。

腹が立つのいは、在日、外国人に生活保護を行っていること。
この人たち、母国に送還・追放せよ!

また若い時年金に加入してなく、老後貧困で生活保護を受けている人たち、、
この人たちをも救済していると、日本の若者までもモラルハザードを起こすのだ。今現実に起こっている。

真面目に働いた人は、困った時の救済は必要だ。
が、モラルハザードを起こしては、いけません。
生活保護受給者が、医療費、税金無料とは、、NHK受信料も無料、
優雅な生活送っていますよ。
これを見ていると、腹が煮えくり返るのは、私だけかな。
歯を食いしばって、他人に迷惑をかけないで生きている人々に拍手喝采を!
そう思います。


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