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黒田日銀は国民生活も世界経済も見えていない 日本経済一歩先の真相/高橋乗宣
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/157779
2015年3月6日 日刊ゲンダイ
総務省が先週発表した1月の消費支出の数値には愕然とした。1世帯(2人以上)当たり28万9847円は実質で前年同月比5・1%減。昨年は消費増税前の駆け込み需要があったとはいえ、昨年4月の増税以降、10カ月連続で前年同月を下回っている。その期間は震災直後を超え、リーマン・ショック前後以来の長さである。
消費支出の前年割れが続く中、同時に発表された勤労者世帯の平均消費性向の数値は依然として高い。消費性向とは所得のうち消費に充てる割合を指す。なるべくムダな支出を避け、ギリギリ必要な生活の品だけを仕方なく買う。消費支出の落ち込みと消費性向の高止まりは、苦しい家計の姿を物語る。
貯蓄に回すカネはもちろんガタ減り。現役世帯は将来の老後資金を、子育て世帯なら学資資金などをドンドン削らざるを得ない。このような厳しい状況に今の国民は置かれているのだ。
それも当然で、現金給与総額はちっとも伸びず、実質賃金は実に19カ月連続で前年比マイナスとなった。国民はギリギリの生活なのに、黒田日銀は「2%の物価目標」の実現に遮二無二突進している。家計の実態を見ずして物価だけを上げようとする神経を疑う。
言うまでもなく物価の増減は需給バランスで決まる。現状のように消費が落ち込めば本来、物価は上昇カーブを描くことはない。そんな経済学の常識を度外視しているのが、黒田日銀だ。異次元緩和の円安政策は強引に輸入コストを上げ、「さあ、物価も上げろ」と強要しているようなものだ。強引な手口も今や原油安で通用しなくなり、てんてこ舞い。日本はいつから経済学を尊重しない国となったのか。
日銀の異次元緩和の混乱を尻目に、量的緩和の先陣を切った米国はすでに「出口」へ向かっている。米国の利上げは6月か9月かと今なお意見が分かれるが、いざ踏み切った途端に世界中のマネーはドル買いに向かう。新興国から投資マネーが一斉に引き揚げられるなど、世界経済が混乱に巻き込まれていく姿が目に浮かぶ。
何より深刻なのは日本経済だ。日米通貨の金利差で大ダメージを受けるのは間違いない。世界規模のドル買いはいっそうの円安を招き、さらなる輸入コスト増により、中堅・中小・零細企業はますます疲弊していく。
目前に危機が差し迫っているのに、黒田日銀は「日本経済は緩やかな景気回復基調にある」と、それこそ緩み切った見解を繰り返すばかりだ。
足元の国民生活の実態に目を向けず、世界の金融・経済情勢もまるで見通すことができない。中央銀行に識見も定見も欠けているのなら、国民を不幸にするだけである。
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