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安倍首相の好きな「強い日本」は、今のままでは絶対に実現しない(韓国の京畿道知事の表敬訪問を受ける安倍首相、提供:Gyeonggi Province/Yonhap/アフロ)
安倍首相の政策では、日本は復活しない 円安では「人材流出」が加速するだけ
http://toyokeizai.net/articles/-/62441
2015年03月06日 ぐっちーさん:投資銀行家 東洋経済
連日の株高で「景気はよくなっているのだ」、という大本営発表を繰り返す大手メディア。一方で、みなさんの実感はいかがでしょうか。少なくともワタクシの接する限り、消費増税の影響による売り上げ減少をどうやってしのぐのか、四苦八苦している中小企業のみなさまの苦労を垣間見るわけです。
■「暗黒の民主党時代」よりもひどい経済指標
実際、株高の一方でマクロ経済の数字は酷いと言っていい。もう、あの「暗黒の民主党政権時代」よりも、酷い数字が並んでいるわけです。
1月の家計調査における実質消費支出。サンプル数が少ないと批判する向きはあるのですが、さすがに10カ月連続減少となればそうも言っていられますまい。2人以上世帯の消費支出は28万9847円となり、前年同月比マイナス5.4%。2014年12月がマイナス3.4%ですからマイナス幅は拡大中です。
何よりも、この数字、東日本大震災があった2011年3月の29万1900円を下回っているという点が重要です。当時を思い出していただければおわかりのとおり、東北はもちろん、東京ですら買いたくてもスーパーから物が消えてしまい買えなかった、「その月」よりも消費支出は低いのです。これで「景気回復している」、と言うのですからあきれてものが言えません。
それに加えて、この家計調査に対する総務省のコメントは
「消費増税の影響は緩和されつつあり、消費支出の基調判断は『このところ持ち直している』」
ときました。まあ、大本営発表と言えばそれまでですが、それを垂れ流すメディアもメディアでありまして、景気の足元、特にGDPの約60%を占める個人消費は、もはや青息吐息、というのが現実です。
厚生労働省が3日に発表しました毎月勤労統計調査(速報)を見ても同様です。
名目賃金は一年前に比べ+1.3%の27万2779円となり、11カ月連続で増加しており、この内訳は、基本給が+0.8%の24万0275円で、残業手当が+2.6%の1万9804円で、ボーナスが+10.8%の1万2700円となっています。
ところが物価上昇を勘案すれば、実質賃金は−1.5%となり19カ月連続マイナスとなるわけですね。こうなると、名目賃金の上昇ばかり報道するメディアの姿勢にはあきれるばかりです。
そして正規雇用と非正規雇用者の給与総額を見ると、正規(フルタイム)は+1.3%増えていますが、非正規雇用(パート)は−0.1%となっており、物価上昇が続く中、非正規労働者はかなり苦しい状況になっていることが伺えます。
正規労働者も実質ベースではまだマイナスなのです。
一体全体どこを見れば景気がよい、賃金が上昇して、消費が増えて……という景気の好循環が生まれるというのでしょうか。
株が高ければ景気がよい、と誰かに洗脳された現政権の政策の成れの果て、ということになる、ということでしょうか。すでに2017年4月の消費税10%への増税も視野に入っています。
個人消費を痛めつけていては景気回復はありえない、ということは小学生でもわかりそうなことですね。あれだけ大騒ぎした「トリクルダウン」(大企業などの儲かる業種が増えてくれば、それが雫が落ちるがごとく、世間一般の人々も潤うという架空の理論)も安倍首相は一言も言わなくなりました。トリクルダウンなど、幻想以外の何物でもないのに、それをまともに取り上げた責任は重大でしょう。
■円安では高度技能外国人来ず、人材流出が加速するだけ
高度技能外国人を受け入れる??
安倍政権はさらに、高度技能を持っている外国人の受け入れを積極的にやろうとしていますね。3月に入ってからも、外国人医師の受け入れに関する報道がありました。しかし、頭は確かなんでしょうかね。
というのも、米国は当然ですが、優秀なアジアの医師たちの給与水準は米国ドルで平均20万ドルと言われます。今の為替でみるなら2400万円に相当します。これも、もし1ドル80円であれば1600万円相当なわけで、言っていることとやっていることがまったく持って矛盾している。
もし本当に優秀な人材を日本に引き寄せたいとするならば、それは円高にしなければいけないわけで、弱い、衰退を続ける輸出企業を助けるだけの円安政策はまったく意に反することになります。
このまま、円安を続けるなら、外国人を日本に受け入れることはおろか、優秀な日本人の高度人材がどんどん海外に流出することになるでしょう。
1972年のニクソンショック以来、円はひたすら高くなってきたので、こういう人材流出の危機はなかったわけですが、このまま無為な円安政策を続けるならば、その危機に直面する可能性は十分あるでしょう。もう10年以上繰り返しているのですが、通貨安で潰れた国の例は枚挙にいとまがありませんが、通貨高で潰れた国はないのです。
自国通貨の価値が高いことを喜ぶのが当然で、輸出依存度が10%程度の日本が自国通貨の価値が下がる円安を喜ぶのはもはや滑稽というほかありませんね。それで高度人材を日本に呼び込むなんて、一体どういう頭の構造なのでしょうか。
安倍首相の大好きな「強い日本」を目指すには「強い円」が不可欠なのです。
■2019年ラグビーW杯開催・釜石の「悲報」
ご存じのとおり、ワタクシは現在岩手県に本拠地を置いて仕事をしておりますが、悲報が舞い込んでまいりました。
あの、岩手県釜石市が2019年に開催予定のラグビーのワールドカップ開催地に選ばれてしまいました……。
メディアは興奮気味に、「勇気を与えた」とか、市民の歓喜の声を無邪気に伝える一方です。しかし、これほど恐ろしいことはない。
スタジアム整備費用に約29億円が見込まれ、60%は例によって交付金によって賄われ、地元の負担は約10億円とされています。当初よりスケールをダウンしたものの、1万5000人収容の仮設スタンドを設立し、年間維持費に3500万円を見込んでいるということです。
確かに、ワールドカップの時は、確かに人は来るでしょう。しかし、わずか1試合、2試合で釜石市の負担の10億円は絶対に回収不能です。
そして、いつも文句を言っているように、その後の維持費の問題が何十年にもわたって釜石市の負担となるわけです。わずか人口3万4000人の町がどうやって、1万5000人収容のスタジアムを維持するのでしょうか?
誰が見ても不可能で、大体それだけの人を集めるイベントを開催することだけでも大変です。1万5000人を満員にするアーティストがそう頻繁に釜石に来るわけもなく(東北6県の最大都市・仙台市でさえ難しい)、それを維持するのは残された、高齢化の一途をたどる釜石市。
さらに釜石市がSOSを出せば当然被災地ということで、国税が投入されるのは明らかです。ワタクシは問いたいのですよ。これが復興なのですかと。ラグビーワールドカップという看板はアドバルーンとしては最高です。
森元首相なども、率先して釜石を推していたとも聞いています。しかし、これこそ、本当の復興の足を引っ張るだけで、ゼネコンや、政治家のスタンドプレーに惑わされる悪しき「地方再生」の最たるものであります。
これまでの「地方再生の大きな間違い」については盟友の木下斉(ひとし)君が「東洋経済オンライン」に地方創生のリアルとして連載しております。例えば「地方を滅ぼす『名ばかりコンサルタント』」や、「なぜ地方は補助金をもらっても衰退するのか」をお読みになれば、地方創生に必要なのは、「おカネ」だけではない、ということがおわかりいただけると思います。この連載も合わせ、ぜひ皆様に一緒に考えていただきたいと思っている次第です。
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