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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 認識されない格差
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週刊実話 2015年3月12日 特大号
2月16日に行われた安倍総理の施政方針演説に対する代表質問で、民主党の岡田代表が安倍政権での格差拡大を批判した。
岡田代表は、「安倍政権の経済政策の最大の問題は、成長の果実をいかに分配するかという視点が、全く欠落しているということです。日本も、今や先進国の中で最も格差の大きい国のひとつとなっています」と追及すると、安倍総理は「世論調査では個人の生活実感について、格差が許容できないほど拡大しているという意識変化は、確認されていません」と切り返した。
安倍総理が主張する通り、内閣府が行っている「国民生活に関する世論調査」によると、自分が中流だと答えた国民は93.1%に達しており、ほとんどの国民は所得格差に苦しんでいるという意識を持っていない。しかし、相対的貧困率の統計でみると、日本は貧困層が16%と、世界最高水準の貧困大国になっている。このギャップは一体なぜ生まれているのか。
私は、富裕層が庶民の目に入らないからだと思う。庶民が感じる格差は、「あの部長はろくに働いていないくせに、自分の2倍も給料をもらっている」といった類の不満だ。しかし、いまの日本の格差は、そうしたところに生まれているのではない。本当の格差は、サラリーマンと資本家との格差なのだ。まったく働いていないのにカネにカネを稼がせて、年収数億円から数十億円を得ている富裕層が劇的に増えている。
彼らの暮らしを見たら庶民の不満は爆発すると思うのだが、そうならないのは、彼らが庶民と接点を持たない暮らしをしているからだ。移動は高級車で電車に乗ることはない。どうしても彼らを確認したかったら、例えば百貨店の玄関に立っていればよい。高級車を玄関に横付けして、そのまま店舗に入っていく人の大部分は富裕層だ。
彼らを見られるのは、玄関だけだ。彼らは売り場を回ることがない。店員が、彼らがくつろぐ別室に商品を持ってくるからだ。
ただ、統計を丁寧にみれば、彼らが勢力を拡大していることが明確にわかる。
例えば、'14年10〜12月期の実質GDP成長率は、前期比+0.6%となった。つまり日本経済のパイは、それだけ大きくなったことになる。一方で、実質雇用者報酬は、前期比+0.1%と、わずかな伸びにとどまっている。経済のパイは増えたのに、その中から働く人に分配された額は、わずかにとどまる。それは、資本家への分配が大きく増えたことを意味する。
民主党の岡田代表は、そうしたカラクリがわかっていない。その証拠に、格差是正のための所得課税や資産課税などの強化、厚生年金の高額受給者に対する基礎年金の減額、給付付き税額控除の実施などを挙げた。しかし、それでは給料の高いサラリーマンを直撃するだけで、本当の富裕層を取り逃がしてしまう。
例えば、株式の売却益や配当は20%の分離課税になっている。株で何億円稼ごうと、税金は2割支払えば済んでしまうのだ。だから、富裕層を追い詰める一番簡単な方法は、すべての所得を合算して総合課税することだ。これは、本来あるべき課税方法だし、技術的にもまったく難しくない。それだけで、財政再建は一気に進むだろう。
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