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日銀異次元緩和、根底から破綻か 逃げ惑う安倍首相ブレーン、孤立無援の黒田総裁
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150305-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 3月5日(木)6時1分配信
デフレ脱却に向け、不退転の覚悟で取り組んだ日本銀行の異次元緩和が始まったのは2013年4月。15年4月で「2年で2%のインフレ」という目標達成のめどとされた2年を迎えるが、開始当時に掲げた旗印を原油安の直撃で下ろさざるを得ない状況に追い込まれている。責任の波及を恐れた安倍晋三首相周辺のブレーンは退却を始め、目標のすり替えに躍起だ。かたくなに目標堅持にこだわる黒田東彦総裁は思わぬかたちで梯子を外され、いよいよ孤立無援の状態となってきた。
●日銀副総裁、「目標達成は無理」
2月4日、仙台市内で会見した日銀の岩田規久男副総裁は、2%の物価目標達成が「私ができるだろうと思っていた15年4月には間に合わない」と述べた。確かに原油価格の大幅下落は予想外だが、岩田副総裁は就任直前の13年3月に国会で「(2年以内に目標が達成できなければ)責任は自分たちにあると思う」「最高の責任の取り方は辞職するということだと認識している」などと発言していた。
だが、さすがに責任追及の矢面に立たされるのは避けたいと思ったのか、予防線を張っていた。雲行きが怪しくなっていた14年10月、インフレ目標が達成できない場合は辞職する考えを表明したことに関し、「(達成できなければ)自動的に辞めると理解されてしまったことを、今は深く反省している」と弁明。「電車の時刻表のようにきちんとはできない」と開き直りも見せていた。
確かに、14年春時点では物価上昇率は前年比1.5%だったが、世界的な資源安に襲われ、足元では0%台となりマイナスに陥る可能性すら出てきた。前提が狂ったとはいえ、自らのクビをかけると豪語した以上は謝罪して済む問題ではないだろう。
対照的に、かたくなに目標未達を認めないのは黒田総裁だ。1月下旬からの国会の予算委員会で野党から、事実上の目標時期の先送りは避けられないのではと追及され、はた目にも苦しい弁明に終始した。「2年で2%」とは誰もが耳にしていたはずなのに、「きっちり2年とは言っていない」「どこの中央銀行も(2年で2%にきっちりなるとは)予見できない」などと繰り返した。どのようにも解釈できる「15年度を中心とした時期に(目標を)達成する」と用意した想定問答集を用いながら、13年4月の緩和当初から目標達成時期の認識に変化がないことを強調した。
そもそも、日銀の異次元緩和は壮大な実験であった。「大規模緩和したところで、2%の物価上昇につながるかは、なんの根拠もない」とアナリストの多くは声を揃えた。異次元緩和策は家計や企業のインフレ期待に働きかけ、デフレ期待をインフレ期待に換えることがすべてと言っても過言ではない。期待を膨らませることで、消費や投資を喚起したり、金融機関に対して貸し出しやリスク資産へのシフトを促したりして景気循環のメカニズムを加速させることを狙った。
そのメカニズムを作用させる起爆剤となるのはいうまでもなく、「2年で2%」というコミットメントを掲げたところにあるわけだ。極論すれば、そのコミットメントが未達となれば、この2年間の金融政策の枠組みが根底から覆される。それだけに、黒田総裁は自己正当化を図るためにも目標先送りは絶対に認められないのだ。
●「目標先送りもやむなし」の声
とはいえ、さすがに黒田日銀ののらりくらりの弁明に厳しさを感じたのか、官邸周辺が慌ただしくなってきている。目標未達の責任追及が安倍首相に及ぶのを恐れたのか、金融緩和をゴリ押ししたリフレーション派、いわゆるリフレ派と呼ばれるブレーンたちが、目標先送りやむなしの発言を始めたのだ。
最大のブレーンである浜田宏一内閣官房参与は外資系通信社の取材に対して「原油安は日本に恩恵をもたらす」「日銀は物価目標を1%近くに下げてよい」「達成期限3年への延長検討も」「目標軟化でも信頼損なわれない」などと発言。確かに、目標に固執しすぎては景気回復という主目的から現実が離れることになりかねないが、目標を打ち出すことで期待に働きかけるメカニズムの枠組みを維持してきた以上、ためらいもない目標先送りは当初のスキームが瓦解していることを自ら認めているようにしか映らない。
こうした動きを無視するかのように、目標に変更はないと主張する黒田総裁。援護射撃を続けていたはずの官邸周辺との間にすきま風が吹き始めた今、どこまで「緩和当初からスタンスに変化がない」という主張を変えずに、耐えられるのか。市場では10月にも新たな金融政策を打ち出すとの見方もあるが、その判断の前倒しを迫られる可能性も高まっている。
金融ジャーナリスト/黒羽米雄
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