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東京市場は株高に盛り上がっているが photo Getty Images
株式市場は強気一辺倒だが、個人と外国人は官製相場に疑心暗鬼。株高は本当に続くのか? 心配は安倍首相…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42321
2015年03月03日(火) 町田 徹「ニュースの深層」 現代ビジネス
“官制相場”の勢いが止まらない。日経平均株価は15年ぶりの高値に沸き、東京証券取引所の時価総額(市場第1部)も550兆円を突破してピークだったバブル期の9割の水準を回復した。
■東京市場は”官製相場”にも強気一辺倒
そのけん引役は、ETF(株価指数連動型上場投資信託)を通じて株式の買い入れを増やす日銀や、債券から株式に運用をシフトしている世界最大の公的年金運用機関GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)とみられている。「アベノミクスが評価され始めている」(菅義偉官房長官)と、安倍政権はご満悦らしい。
ところが、肝心の投資家たちは意外なほど冷ややかだ。特に個人投資家はこのところ5週連続の売り越しとなっているほか、過去数年間の主役だった外国人の買いにもかつての勢いはない。
われわれの年金などで釣り上げる形となっている、いびつな“官制相場”を全員参加型の本来の相場に戻すには、実体経済の本格的な成長力回復という確かな裏付けが不可欠のはずである。
先週、久しぶりに取材をしてみると、東京市場は強気一色に包まれていた。
そうした雰囲気を象徴していたのは、米系大手のゴールドマン・サックス証券が木曜日(2月26日)に行った株式相場見通しの上方修正だ。同社は、「今年12月末の日経平均株価を2万1700円」と予測した。これは、先週末(27日)の終値(1万8797円94銭)から、さらに15.4%上昇するという強気の見方である。
強気で知られるアナリストたちも、いつも以上に強気だった。彼らの口からは、「20年以上にわたって苦難にあえいでいた日本経済がいよいよ本格回復する兆し」「チャートを見ると、株式相場は20年続いた下降局面から脱するというサインが出ている」と、威勢の良い言葉が次々と飛び出した。
では、いったい誰が、どういう動機で、あるいはどう算盤を弾いて、株式投資を積極化しているのだろうか。
■買い手はGPIFと日銀
この種の取材の定石通り、直近(2月第3週分)の「投資部門別株式売買動向」をみると、やや意外な実態が浮かび上がってきた。通常の活況相場では買いの主体になるはずの「個人」が、この局面で実に5週連続の売り越しとなっていたのである。しかも、2月第3週分の売り越し額は6691億円と、約3か月半ぶりの高水準だった。
一方、2月第3週に買い方として目立ったのは、「外国人投資家」だ。が、その買い越し額は1538億円に過ぎない。前週(158億円)を大きく上回ったとはいえ、「個人」の売り越し額の4分の1にも満たず、「個人」の売りを吸収して相場を押し上げる力はなかったことが浮き彫りだったになったのである。
このほか、「投資部門別株式売買動向」に登場する他の投資主体は、「生保・損保」、「都銀・地銀」、「投信」、「事業法人」などが軒並み売り越していた。
買い手はいったいどこに隠れているのだろうか。
ヒントになったのは、GPIFが27日公表した2014年10〜12月期の運用実績だ。GPIFは昨年10月末に鳴り物入りで変更した運用方針に従って、年金資金の運用を国内債券から内外株式にシフトしていたのである。
それによると、昨年末の国内株の比率は19.80%(9月末は17.79%)と過去最高になっていた。株価上昇の影響を除いても、10〜12月期に1.7兆円ほど日本株を買い込んだ計算だ。
GPIFは継続投資が原則だ。今年に入ってからも、ほぼ同様のペースで日本株買いを続けていたと見て、まず間違いないだろう。3ヵ月たてばはっきりするが、このGPIFの買いが、このところの株高相場を支えた買い方の主力だったと考えられるのである。
もう一つの官制相場の主役、日銀のETF買いも健在だ。日銀自身の発表によると、月間の買い入れ額は、過去最大だった1月(買い入れ額3443億円)に続き、2月にも1322億円と、「黒田バズーカ2」が公表された昨年10月(1323億円)並みの水準を維持していた。
世界的に異次元の金融緩和が継続されているうえに、東京市場ではこうした公的機関の買いという強烈な援護射撃があって、日経平均株価は先週末(27日)も続伸。
2000年4月20日以来の高値を約15年ぶりで連日更新する結果となったのである。同日の終値で計算した東証1部の時価総額は、552兆9986億円。こちらも、バブル期のほぼ9割と歴史的な水準に達した。
■あとは実体経済の力強さだが……
だが、先行きについて取材すると、市場関係者の中に意外なほど冷ややかな反応が多いのには驚かざるを得なかった。
年度末に向けて、GPIFを中心にした“官制相場”の演出がさらに強まる可能性があるものの、すでに利益を確定するために利食い売りをして身軽になった個人投資家たちから継続的な買いが入ってくるかどうか、予断を許さないというのである。
その理由は、大きく分けて2つあるらしい。
第一は、年金や日銀がこれほど派手に“官制相場”を演出して、その副作用を心配しないでよいのかという不安である。早い話が、リスクを取り過ぎの積極運用に失敗して、将来の年金の支払いが懸念されるような事態になってもおかしくないため、自分の判断で行う資産運用には慎重姿勢を採っている個人投資家が少なからず存在するというのだ。
そして、第2は、相場がこれほどの高値圏にある中で、さらに買い進むほど、実体経済に力強さが感じられないというのである。
マクロ経済を見ると、四半期GDPの実質伸び率は3期ぶりにようやくプラス成長に転じたばかりだし、12月に今年度第3四半期決算を公表した企業をみると、業績の上方修正をした企業の数も、上方修正した幅も、前評判に遠く及ばなかったので、今一つ相場の先行きに自信が持てないというのである。景気も、企業業績も米国頼みとか。原油安頼みとかいった現状ではあまりに心もとない、という声も聞かれた。
こうなると、改めて懸念されるのが、掛け声倒れに終わってきたアベノミクスの第3の矢、すなわち成長戦略の不在だ。“官制相場”に費やしてしまった年金資金の保全や、膨れ続ける日銀のバランスシートへの不安を顕在化させないためにも、実体経済という裏付けが求められている。
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