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大塚家具、骨肉の争い泥沼化の父娘は、実は対立していない ビジネスモデル分析より考察(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan94/msg/144.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 3 月 03 日 07:06:05: igsppGRN/E9PQ
 

              【父・勝久氏のビジネスモデル】


大塚家具、骨肉の争い泥沼化の父娘は、実は対立していない ビジネスモデル分析より考察
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150303-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 3月3日(火)6時0分配信


 大塚家具創業者の大塚勝久会長と、その長女の久美子社長が経営権をめぐって激しく対立し、連日メディアを賑わせています。その骨子は、勝久氏が推し進めてきたビジネスのやり方を、久美子氏が否定し新たな大塚家具へと「ビジネスモデルを変革」するというもの。

 本件に関する一連の報道で「ビジネスモデル」という語が一人歩きしましたが、そもそも両者の主張するビジネスモデルとは、何を指すのでしょうか。

 本稿では9つのセルを使って大塚家具のビジネスモデルを細かく分析し、父と娘のビジネスの類似点や相違点をクリアにします。ビジネスモデルを紐解けば、報道とは大きく異なり、実は両者のビジネス構造は決して対立しているわけではないことが浮き彫りになります。

●父・勝久氏のビジネスモデルは?

 勝久氏は1969年3月に家具・インテリア全般を販売する大塚家具センターを創業し、78年に社名を現在の大塚家具に改め順調に経営を続けます。大きな転機は93年。バブル崩壊後の不景気のさなか勝負に出るのです。この年の3月に会員制を導入し、翌年には大量の輸入家具の取り扱いを開始。同時に顧客に付きっきりで接客する販売方式を採用します。これにより高所得者にターゲットを絞り、まとめ買いを促すスタイルに大きく方向転換を図りました、これが、現在の大塚家具の原型です。

 では、勝久氏のビジネスモデルから、どんなビジネス構造が見えてくるのでしょうか。2月26日付本連載記事『実は経営者も「ロジック」に弱い?成功企業が実践している「儲ける仕組み」』でも説明した通り、ビジネスモデルの定義は、「顧客満足(顧客価値)」と「利益」を同時創出すること。両者が揃って初めて儲ける仕組みが実現します。それを可視化できるのが、筆者が考案した9セル(ナインセル)です。さっそく大塚家具を9セルに当てはめてみましょう。

 ※図表は本文冒頭の【詳細図表】リンク参照
 

 図上段の顧客価値を見てください。(1)結婚、引っ越しなど人生の転機を迎える人の中で、特に高所得者をターゲットとし、(2)高級家具に囲まれた生活空間を提案します。その際には、(3)会員制による付きっきりの接客を行います。ここが、他社にはない独自のビジネスとして際立っていました。

 次に、2段目の「利益」を見てみます。(4)は(1)の中でも特にまとめ買いをしてくれるお客様に、(5)高額の家具を買ってもらうことが、同社にとって最も大きな利益をもたらします。こうしたお客様は(6)購入時に十分な利益をもたらしますが、リピーターになる顧客も多かったので安定基盤が築かれました。

 この顧客満足と利益が、客観的に判断できる大塚家具のビジネスモデル・シンキングであり、これを実現するための方法が3段目の「プロセス」です。(7)広大なショールームをつくり、新聞の折り込みチラシで認知度を高めお客様に来店してもらうルートも確保します。この中で同社の強みは(8)従業員の接客能力や商品提案能力でした。(9)提供する高品質な家具は、子会社(非連結)である秋田木工をはじめ国内外の協力工場から仕入れました。

●父・勝久氏のビジネスモデルを数字で読むと?

 9セルで分析したビジネスモデルは、数字でも確認できます。

 ※図表は本文冒頭の【詳細図表】リンク参照

 93年に会員制を導入、94年に輸入家具の大量導入を確立した時点で大塚家具のビジネスモデルは確立し、以後右肩上がりで急激に成長します。付きっきりの接客や広大なショールーム、広告費による高コスト体質ながらも、品質の良さと接客能力の高さで、一時は売上高営業利益率10%を超えることもありました。

 その後、イタリアのカッシーナやその他の高級輸入家具ブランドも日本に本格参入し競合が少しずつ増えたものの、03年から07年まで大塚家具のビジネスは安定していました。

 しかし、このビジネスモデルにも陰りが見え始めます。08年にリーマンショックが起きると消費者の財布の紐は固くなり、ニトリやIKEAなどリーズナブルな価格帯のインテリアショップに顧客が流れ始めました。高コスト体質で経営していた大塚家具は売り上げの変動にもろく、ピークの01年には75億円、リーマン直前の07年には47億円あった営業利益が、08年には12億円にまで一気に低下してしまうのです。そのタイミングで勝久氏は娘の久美子氏を社長に任命しました。

 当初、久美子氏は勝久氏のやり方を踏襲するかたちで経営を続けましたが、業績を劇的に改善させるために、勝久氏のつくりあげた体制にメスを入れていきます。それについては、次稿でお伝えします。
(文=川上昌直/兵庫県立大学教授)


 

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