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これからもドル高は進むか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42313
2015年03月02日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
2月24日、25日の両日、FRBのイエレン議長は上院銀行委員会で証言を行った。市場は証言内容をハト派と受け取り、一時、ドル安が進んだ。その後、1月のコアCPIが市場予想を上回ったことなどを受け、金利引き上げ時期の可能性を読み込んで再度ドル買いが進んだ。
この動きを見る限り、今後もドル高へ期待が根強い可能性を想起させる。FRBの想定や、一般的な認識以上に、一部の市場参加者のドル高期待は強いのかもしれない。今後の為替市場の動向を的確に予測するためには、FRBの金融政策に対するスタンスを冷静に分析し、市場参加者の動きを考える必要がある。
■過剰とも言える市場のドル高期待
イエレン議長の証言を客観的に評価すると、特段、真新しい材料は見当たらない。議長は、利上げのリスクに言及し、今後、数回の会合で利上げが行われる可能性が低いことを示した。市場はこれをハト派と受け取り、金利引き上げの時期が後ずれする可能性から、一時、ドルが売られた。
ドルが売られた背景には、市場がFRBの想定以上に利上げを期待していたことが想定される。議会証言は、「金融政策の正常化に対して辛抱強くいられる」というこれまでの考えを踏襲した。景気が予想通り回復すれば会合ごとに利上げを検討するという発言も、正常化は指標次第という考えに沿う。
これまで、多くの市場参加者は年央の利上げを予想していた。FRB会合の複数回との表現を2回と仮定すると、利上げは今年6月以降ということになる。5月はFOMCが開催されないためだ。イエレン議長の過去の発言に照らしても、今回の証言に真新しい部分は少ない。市場は、その発言をドル売り材料ととらえた。
その後、1月のコアCPIでは前月から+0.2%と、市場予想を上回った。それほど高くはない物価上昇率であるにもかかわらず、市場はそれをドル買い材料にした。こうした動きを見る限り、FRB等が想定する以上に、市場はやや過剰と言えるほどドル高を期待しているのかもしれない。
■市場は自己正当化しがちである
足許の市場は、自己正当化の心理に強く影響されているのかもしれない。それは、わずかな物価上昇率であるにもかかわらず、市場はその数字でドル買いに転じたことからも明らかだ。議会証言後にドルが弱含んだことも、物価に対する反応を増幅した可能性がある。当面、経済指標の改善がドル買い圧力を支える可能性は排除すべきではない。
問題はドル買いが景気を圧迫することだ。今後の焦点は、利上げによる景気への懸念よりも、利上げと、ドル高、どちらが先に景気を圧迫するのかというポイントに移りやすいといえる。
コアCPIに対するドル買いは新興国通貨の売り材料となった。自己正当化の論理によるドル高はもろ刃の剣だ。ドルの上昇は、多くの投資家には心地いいものだろう。翻って、それは米景気を下押しする。足許、通貨安が新興国の輸出増加につながるとも言い難い。
実際の利上げに対しても、初動動作として市場はリスク回避的に動く可能性がある。それは株価などの調整リスクを高める。ドル高は米国への期待と通貨安競争に支えられている。それだけに、利上げというファクトがドル売りの契機になる等、慎重に今後の動向を考えるべきだろう。
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