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〔アングル〕5月からCPIマイナスの声、日銀には「我慢の時間」
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0W12FB20150227
2015年 02月 27日 16:27 JST
[東京 27日 ロイター] - 1月全国消費者物価(コアCPI・増税の影響を除く)は、前年比でわずか0.2%の上昇幅にとどまり、原油価格下落の影響が本格的に出始めた。多くのエコノミストは5月ないし6月から半年程度はコアCPIが再びマイナスに落ち込むと想定。2%を目指す日銀にとって、追加緩和の風当たりが強まる「我慢の時間」が到来するとの声が出ている。
<近づくCPIマイナス圏>
「マイナス圏に陥るのは、従来見通しよりやや遅れて5月以降」──。1月CPIの結果を受け、エコノミストの間では、こうした見方が主流になってきた。
1月はガソリンや灯油価格の下落を主因に、前年比プラス0.2%と予想以上に上昇幅が縮小した。
SMBC日興証券・チーフエコノミストの牧野潤一氏は「円建てドバイ原油価格が1月に前年比49%の下落となり、これに1カ月遅れて動く傾向のある石油製品物価は、2月にコアCPIを0.7ポイント程度押し下げる見込み」とし、「コアCPI前年比は、2月にマイナスに転じる公算」とみている。
一方、ニッセイ基礎研究所・調査室長の斉藤太郎氏は「2月に入りガソリンの店頭価格が上昇に転じ始めていることや、電気代はまだ値上げが予定されていることから、従来見通しよりマイナス圏突入が遅れそうだ」としている。
バークレイズ証券・チーフエコノミストの森田京平氏も、ガソリン価格の反転などから、CPIがマイナスに落ち込む時期を従来の5月からやや遅れて、7月ごろからとみており、11月ごろまでは前年割れが続く可能性が高いと推計している。
食料・エネルギーを除く総合(米国型コア)をみても、前年比は横ばい。第一生命経済研究所・主席エコノミスト、新家義貴氏は「消費増税後の消費不振の影響が遅れて出ている可能性がある。日銀は米国型コアの伸び率が拡大することにかなり期待しているもようだが、今のところその兆候は見られない」と指摘している。
<容易でない期待インフレ率引き上げ>
エコノミストの多くは、今後半年弱にわたって、原油価格の下落が光熱費や交通・通信費を中心にCPIを押し下げると予想している。
日銀が追加緩和に踏み切るかどうかは、原油価格下落の影響で物価が低下すること自体よりも、期待インフレ率の動向次第とBOJウオッチャーの多くはみている。日銀自身がそう説明しているためだ。
今後、マイナス圏の物価が約6カ月間継続した場合に、期待インフレ率の動向は気になるところだ。
一部のエコノミストは、足元の物価下落で人々のデフレマインドが復活する可能性はあるものの、原油価格下落は一時的なうえに、経済全体にプラスであるため、必ずしも期待インフレ率を押し下げるとは言い切れないとの見方を示している。
ただ、黒田東彦総裁は27日の講演で「原因が何であれ、予想物価上昇率に影響すると、デフレ均衡からの脱却に影響する」と言及した。たとえ原油価格下落の影響が原因でも、昨年10月のように期待インフレ率を押し下げる恐れについて、全く否定することはできないとのニュアンスがにじみ出ているとも見える。
今のところ、ガソリンや灯油価格の下落にもかかわらず「人々のインフレ期待は踏ん張っている」と、斉藤氏は分析。明らかに過去の傾向とは異なるとの見方を取っている。
確かに内閣府の消費動向調査から割り出したインフレ期待は、今年1月になっても若干の下げ幅にとどまり、大きな変化は見られない。
しかし、斎藤氏は日銀が目指すインフレ期待の上昇には懐疑的だ。「日銀が期待インフレ率を2%程度引き上げてコアCPIの2%達成を目指しているとしたら、それは非常に高いハードルで難しい。3年かかっても無理だろう」とみている。
<意外に多い企業から「緩和不要」の声>
CPIの前年比がしばらくマイナス圏で推移し、期待インフレ率の上昇もままならないとなれば、追加緩和を予想する声が出てきて当然だ。
とはいえ、当面の間、追加緩和は歓迎されないという雰囲気が、あちらこちらで強まっている。
政府は、消費の停滞が続く中で、原油下落のメリットを相殺しかねない追加緩和には反対姿勢を示している。
2月ロイター企業調査によれば、企業も7割程度がもう追加緩和は不要であり、円安コストがこれ以上大きくなることに、抵抗感を示す声が大きくなっている。
日銀の内部では、2015年前半については原油価価格下落の影響が広がり、CPI上昇率は低下するが、実体経済面では円安と原油安、株高という追い風が強いため、年後半には物価を押し上げるとのシナリオが多数を占めているもようだ。
黒田総裁も国会や会見で「16年度末までには当然2%に達している」と発言。2%の物価目標は、達成可能との「信念」を維持している。
だが、市場には「年後半の物価上昇はエネルギー価格に依存する結果と言える。日銀のいう物価上昇とは違うものだ」(斉藤氏)との見方もある。
基調的な物価上昇が実現しなければ、期待インフレ率上昇の実現も難しく、逆に期待インフレ率の上昇がなければ基調的な物価上昇も難しいという日本の物価の実態を示している可能性が高い。
森田氏は「今後の物価動向を見極める上では、エネルギー以外の項目についても、注目度を高める必要がある」と指摘している。 (中川泉 編集:田巻一彦)
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