04. 2015年2月27日 21:05:15
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>運用益が6兆6233億円 GPIFが予想超える日本株買い、「余力」大きく期待残る 2015年 02月 27日 19:43 JST [東京 27日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本株買いが、市場予想を上回るペースで進んでいる。それでも買い余力を残しているほか、3共済などが追随する見通しであり、さらなる買いが期待されている。ただ、同ペースで買い進めば年内にも目標中央値に達するため、警戒感も出ている。
「想定以上の買い入れ規模だ」──。大和証券・投資戦略部マーケットアナリストの熊澤伸悟氏は、GPIFによる10─12月の買い入れ額を試算して驚いた。 GPIFが27日公表した2014年12月末時点の国内株式の運用比率は19.80%と、9月末の17.79%から2ポイント上昇。運用資産額と収益額を用いて試算した買い入れ額は約1兆7000億円に上った。 3カ月で1兆7000億円の買い入れは、年間に換算すれば6.8兆円。日銀が実施しているETF(上場投資信託)の年間購入額3兆円の2倍超にのぼる。 2013年に海外投資家が買い越した15兆円には及ばないものの「GPIFの買いは、すぐには売り出さない玉。3カ月で1兆7000億円と大きな金額を実際に買っていたことに安心感を覚える」(いちよしアセットマネジメント・執行役員運用部長の秋野充成氏)との声が出ている。 買い余力も依然大きい。昨年12月末から2月末までTOPIXは8.2%上昇。同期間の保有資産の売買を考慮せずに大和証券・熊澤氏が試算したところによると、GPIFの国内株式の保有割合は、足元で21%程度という。ただ、それでも目標としている25%までの買い余力は5兆円を超える規模だ。 さらに共済年金による保有比率変更も後押しする。国家公務員共済年金(国共済年金=KKR)は25日、国内株式の資産配分を現行の8%からGPIFと同様の25%に引き上げた。地方公務員共済年金や私学共済年金なども同水準近辺に変更するとみられており、3共済が国内株式を25%に引き上げた場合の買い入れ額は、約3兆5000億円と試算されている。 みずほ証券・投資情報部長の倉持靖彦氏は「GPIFや3共済など公的年金による買いに加え、6月の株主総会にかけて企業の自社株買いの活発化などが追い風となる。国内景気や企業業績の回復モメンタムの加速、ROE(株主資本利益率)革命なども追い風となり、4─6月期にも日経平均2万円にタッチする」との見方を示す。 もっとも年後半には株高基調が失速する可能性も指摘されている。GPIFが3カ月で1兆7000億円の買い入れペースを続ければ、年内にも目標である25%に届く公算が大きいためだ。 さらに9%積み増す「のりしろ」もあるが、目標値に達すれば積極的な買い増しは限られる。BNPパリバ証券・日本株チーフストラテジストの丸山俊氏は「GPIFの国内株式割合が25%となれば、従来通り上値で売り、下値で買うという逆張りスタンスに戻る。公的年金による国内株の買い入れは、売り手を遠退かすアナウンスメント効果も強く、押し上げ分がはがれる怖さもくすぶる」との見方を示している。 (杉山容俊 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LV11L20150227 >円安や株高、債券高が進んだことが寄与
コラム:「4月円高・5月円安加速」の根拠=池田雄之輔氏 2015年 02月 27日 18:30 JST 池田雄之輔 野村証券 チーフ為替ストラテジスト
[東京 27日] - 海外ヘッジファンドの人たちとのお決まりのやりとりといえば、最近はこんな感じである。「為替相場、急に動かなくなりましたね」「まあ、去年から走り続けてきましたから、一休みというところでしょう」 確かに為替市場は、昨年7月末から今年1月末までの6カ月間で米ドルが対円で12.5%、対ユーロでは15.7%、それぞれ上昇するという激変をみせた。この間、日本では日銀の追加緩和、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の新ポートフォリオ発表(いずれも昨年10月31日)、突然の衆院解散・総選挙(昨年12月14日)という大イベントの連続が、ヘッジファンド勢の「ドル買い、円売り」を盛り上げた。 ユーロについても、欧州中央銀行(ECB)の量的緩和発動(1月22日)、ギリシャ総選挙(1月25日)というイベントへの意識が「ドル買い、ユーロ売り」を決定的にした。原油価格の急落、スイス中銀の通貨ペッグ放棄、といった歴史的事象も相次いだ。あるジュネーブの投資家は「年初の3週間で、1年分のエネルギーを使い果たしたよ」と疲れ切っていた。 当面、日欧のイベントは低調となりそうだ。ようやく訪れた相場の安定である。しかし、誰もこの落ち着きが続くとは思っていない。なにしろ、米国は2004年以来、実に11年ぶりとなる「リフトオフ」(利上げ)に間もなく着手する。筆者は、ドル高、円安が加速する時期として「5月」に注目している。一方、4月にかけては円高材料がいくつか重なる。 <「米国株の3カ月サイクル」に要注意> 「4月円高、5月円安加速」のシナリオに絡んでくるキーワードは、米連邦準備理事会(FRB)、米国株、ギリシャ、の3点である。 2月24日、就任後3度目となったイエレンFRB議長の半期議会証言は、いつも以上に注目度が高かった。前任のグリーンスパン、バーナンキ両議長に比べて講演の回数が目立って少ないこともあり、早ければ6月とされる「リフトオフ」の時期についてのヒントを今度こそ、と誰もが期待した。 日本時間25日午前0時、「利上げ前にフォワードガイダンスを変更する」「ガイダンス変更、どの会合でも利上げが可能との意味」と、証言文の内容が速報で伝わると「早期利上げか」と市場は沸き立ち、瞬時にドル高が進んだ。しかし、数分後からは「証言文は思ったほどタカ派ではない」「6月利上げの可能性は高くない」との見方が広がり、かえってドル安に押し戻された。 12月、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文には、利上げ開始までの時間的余裕を示す「フォワードガイダンス」として「忍耐強く(patient)」との文言が盛り込まれた。イエレン議長はこれを、「少なくとも次の2回のFOMCでは利上げをしないとの意味」と解説してきた。 今回の議会証言でイエレン議長は、「忍耐強く」の文言削除があれば、間もなく「会合ごとに利上げを検討」と説明し、一方で「だからといって、文言削除のあと2会合後に利上げをするとは限らない」とわざわざ念を押した。 一部の有力アナリストは「イエレン議長がトークセラピー(talk therapy)をはじめた」という。「みなさん、大丈夫。ガイダンスが削除されても安心してください」というメッセージだ。そう考えると、イエレン議長は次回3月18日のFOMCで「忍耐強く」とのガイダンスを取り外す下地を整えたということになる。 そして、そのような準備を急いでいるということは、やはり9月以降というよりも6月FOMCでの利上げ開始をイエレン議長は基本シナリオに据えている公算が大きい。3月の声明文変更はすでに市場に織り込まれた可能性が高いが、4―6月期には米金利が上昇しやすい時期を迎えると予想される。 米金利上昇は基本的にはドル高シナリオを意味するが、円安になるとは限らない。どちらかというと、4月にかけての相場は、ドル高、円高、ユーロ安となりそうなのである。 第一の理由は、「米国株の3カ月サイクル」にある。過去2年間の米国株のサイクルを振り返ると、2013年、14年ともに12月に「クリスマス休暇前の調整」をみている。しかし、それ以外の調整を順にたどると、13年7月、10月、14年1月、4月、7月(末)、10月、15年1月、と見事に3カ月周期になっている。不思議と、調整が起こるのは月前半か月末である。 おそらく、影響しているのは企業の決算発表シーズンである。決算は1、4、7、10の月半ばに集中するが、業績発表が相次いでいる間は株価が安定していることが多い。個別株の相対感に投資家の意識が向かうからかもしれない。 一方、「決算が本格化する前」ないしは「一段落した後」には、割高と意識されている株価水準を調整しようという動きが強まるように推察される。「決算直前、直後の株安」は、ヘッジファンド勢の円ショート巻き戻し(円買い戻し)をもたらすため、円高要因となる。今年1月は前半と月末に2度の調整を強いられた。次に要注意となるのは4月である。 <一筋縄ではいかないギリシャ問題> 「4月円高説」第二の理由は、ギリシャにある。2月20日のユーロ圏財務相会合。翌日の内外各紙には「4カ月の支援延長で合意」との見出しが躍った。アテネではチプラス首相が高らかに勝利宣言した。 しかし、この支援合意には2つの条件と、締め切りが設定されている。まずは、23日までに財政再建のための「改革リスト」を提出すること。こちらは、バルファキス財務相が何とかまとめて、支援国側の承認を得ることができた。 問題は、次なる関門である。ギリシャは改革の実行計画書を、それぞれの財政改善効果の金額試算も示し、必要な法整備についてはギリシャ議会を通す、という形で完成させなければいけない。締め切りは4月末。あと2カ月で完成させ、ドイツなど支援国側の承認を得る必要がある。一筋縄ではいかないはずだ。 ギリシャ新政権は、議会の過半数に僅かにとどかなかった急進左派連合(SYRIZA)と、移民排斥を掲げる右派の少数政党「独立ギリシャ人」が連立して発足した。共通の政策目標は「反緊縮財政」の一点に絞られている。 今後、バルファキス財務相(実は急進左派連合の党員ではない)は、支援国側との交渉決裂、預金流出、一部預金封鎖、という金融危機を恐れて緊縮案の具体化を進めなければいけない。その過程で、反緊縮を強硬に主張するグループから突き上げを受ける展開が予想される。場合によっては、一部議員の造反により、連立政権の組み替えさえ必要になるかもしれない。 一方、支援国側にもギリシャに譲歩できない重大な理由が二つある。第一に、急進左派連合は2013年時点で「北大西洋条約機構(NATO)からの脱退」を党のマニフェストに掲げていたほど親ロシアである。現在の地政学情勢を踏まえれば、ギリシャの親ロシア政権が長期の政権基盤を築くことは欧州全体の安全保障に影響しかねない。 第二に、彼らを真似てスペインに昨年発足した反政府運動ポデモス(Podemos、英語ではWe canの意味)が、支持率で第一位まで躍進している。そしてスペインは今年末に国政選挙を控えている。欧州の中道勢力としては、急進左派連合の成功を追い風にポデモスがスペインで政権を樹立する、という最悪のシナリオは潰しておかなければいけない。 4月末の締め切りに向けて、ギリシャのバルファキス財務相、チプラス首相は与党内の急進グループと、強硬姿勢で臨むドイツら支援国側との板挟みになる。綱渡りの政権運営を強いられる公算が大きい。 米国株の3カ月サイクル、ギリシャ政局を踏まえると、4月にかけてリスクオフ傾向が強まる可能性が高い。ヘッジファンド勢は円ショートポジションを巻き戻し(円買い戻し)、一時的な円高をもたらすと予想される。場合によっては1ドル=115―116円への調整も見ておくべきだろう。 一方、米国は着実に利上げ開始へと歩を進めている。ひとたび市場のセンチメントが持ち直せば、米金利上昇、ドル高、円安、ユーロ安の流れが決定的になるだろう。5月から6月にかけて、1ドル=122―123円まで円安が加速すると予想する。ユーロは、対ドルで1.05前後まで大幅調整するリスクがある。 為替市場関係者の「一休み」も、あと数週間といったところだろう。 *池田雄之輔氏は、野村証券チーフ為替ストラテジスト。1995年東京大学卒、同年野村総合研究所入社。一貫して日本経済・通貨分析を担当し、2011年より現職。「野村円需給インデックス」を用いた、円相場の新しい予測手法を切り拓いている。5年間のロンドン駐在で築いた海外ヘッジファンドとの豊富なネットワークも武器。著書に「円安シナリオの落とし穴」(日本経済新聞出版社)。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LV0I920150227 コラム:米国のドル高抑制が招くリスクオンの円安=亀岡裕次氏 2015年 02月 27日 18:40 JST 亀岡裕次 大和証券 チーフ為替アナリスト
[東京 27日] - 米ドルの総合的な価値を示すドルインデックス(指数)には、主にインターコンチネンタル取引所(ICE)で先物として取引されているものと、米連邦準備理事会(FRB)が算出しているものがあるが、いずれの指数でみても昨年半ばから大幅なドル高を示している。 ICEドル指数は、2014年7月1日から足元にかけて19.3%上昇。同指数は、ユーロ、円、ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフランに対するドル為替の加重平均指数だが、ユーロが57.6%を占めており、14年のユーロ大幅安の影響を強く受けて03年9月以来の高水準にある。 ただし、ICEドル指数は為替取引量が比較的多い通貨で構成されており、米国の貿易取引量に準じた通貨構成とは大きく異なる。その点、米国経済への影響をみるには、米国の貿易量を基に重要貿易相手国の26通貨を加重平均したFRBのドル(ブロード)指数が適していると言えよう。このFRBドル指数は09年3月の高値(115.03)に接近した後、足元で頭打ち状態にあるとはいえ、14年7月1日から15年2月11日にかけては12.8%上昇した。 このようにドル高はかなり大幅であり、米国経済にはその影響とみられるものが散見される。 <米貿易収支の悪化につながり始めたドル高> まず、米国の財・貿易赤字は14年12月に大幅拡大し、12年3月以来の大きさとなった。これは、価格変動によるものではない。輸出物価を輸入物価で除した交易条件は、ドル高や原油安が始まった14年7月以降に上昇しており、貿易収支の改善に働いてきた。 貿易収支が悪化した原因は、物価変動を除いた実質貿易収支の悪化にあり、特に石油を除く実質貿易収支の悪化が目立つ。これは単に米国景気の回復度が強まって、輸入依存度が上昇したためとは考えにくい。14年の米国輸出は前年比2.7%増、輸入は同3.4%増となったが、同年12月は輸出が前年同月比1.4%増、輸入が同7.3%増となり、年全体に比べて輸入増が加速しただけでなく、輸出増が減速した。 また、14年の貿易収支が全体として前年より悪化するなか、石油輸出国機構(OPEC)、アフリカ、中南米、日本、英国、ロシアに対する収支は改善したが、12月の収支が前年同月より改善したのはOPEC、英国、日本にとどまり、悪化する国・地域が増えた。14年末にかけて世界景気が減速したとは言いがたいなかで、米国の輸出増が減速、輸入増が加速し、貿易収支が悪化した原因には、ドル高による価格競争力の低下もあるだろう。 なお、石油の実質貿易収支は、米シェールオイル・ガス生産の増加に伴う石油輸入の減少や米原油輸出の一部解禁により、長期的に改善してきたが、14年12月は悪化した。今年は原油安による採算悪化でシェールオイル生産が減速することで、石油の輸入減少と貿易収支改善が止まり、米貿易収支の悪化が進む可能性もある。 <ドル高が米経済に及ぼす負の影響が増大> 米輸出の減速を示唆するものが、米供給管理協会(ISM)製造業輸出受注指数の低下だ。15年1月に拡大・縮小の分岐点となる50をわずかに割り込んだ同指数は、ドル実効為替の上昇(低下)に遅れて低下(上昇)する傾向があり、昨年から続いたドル高を受けて輸出受注が減速しつつあるとみられる。輸入指数は低下せずに50を上回っているので、貿易収支が悪化しやすい状況にある。 また、輸出受注の減速は新規受注の減速を招きつつある。米国の景気回復とドル高(他通貨安)が輸入(=米国向け輸出)を通じて世界景気の回復を促す効果がある一方で、過度なドル高が米国輸出の減退を通じて米国景気を減速させる可能性も出てきた。 米国企業の14年10―12月期決算は全体的に事前の企業予想よりもやや上方修正されたが、15年1―3月以降の予想利益については下方修正されている。S&P500種の12カ月先予想1株当たり利益(EPS)はすでに14年12月以降、3カ月前比でマイナスに転じており、前年比でもマイナス転換に近づいている。これには、エネルギーセクターの減益予想が大きく寄与しているが、ドル高を受けて予想増益率を下方修正する企業が相次いでいることも影響している。 ドル高進行が緩やかであれば、米国外での需要増加が米国の価格競争力低下を補い、輸出企業や多国籍企業の売上・利益増が可能になるが、ドル高が過度になるとそうはいかなくなる。米国企業の予想利益減少で予想株価収益率(PER)は上昇しており、このままでは株高が持続しにくくなる。 米政府・FRBは、ドル高の悪影響を軽視できないだろうし、ドル高を招く自国の政策には慎重になるとともに、ドル高(他通貨安)を招く他国の政策には批判的となるだろう。 <ドル高を抑える米金融政策が円安をもたらす> 米国の雇用が改善している一方で、ドル高や原油安がインフレ率を押し下げている。輸入物価だけでなく生産者物価も前年比でマイナスに転じ、FRBが中長期目標を2%とする個人消費支出(PCE)価格の前年比は14年12月に0.7%にまで低下した。 最近は原油価格が底打ちし、ドル高が止まりつつあるため、期待インフレ率は5年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)で1%強から1.3%台へと反発しているが、まだかなり低い水準だ。FRBが金融引き締めに転換するには、少なくとも期待インフレ率が2%近辺に高まることが必要だろうし、それには再び原油安・ドル高が進まないことが必要だろう。 原油高による期待インフレ率上昇で米金利が上昇するなら、リスクオンのドル安効果もあってドル高は進みにくいが、FRBがタカ派姿勢を示すと、実質金利上昇とドル高を誘発し、リスクオフの株安、原油安、期待インフレ率低下を招きやすい。FRBは、原油高とドル頭打ちでインフレ期待が高まるまでは、利上げ期待を顕著に強めることは控えるはずだ。 次回3月18日発表の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で「忍耐強くいられる」との文言を削除した場合、6月の利上げ期待が強まるだろうが、ドル高などによる経済への逆風やディスインフレ圧力が強まれば利上げは遅れるとの条件を付けることで、米金利とドルの上昇は抑制されるだろう。 ただし、「ドル上昇抑制=円高シフト」と捉えるのは正しくない。米金利上昇とドル高が抑えられることにより、むしろ円相場は幅広い通貨に対してリスクオンの株高や原油高とともに下落しやすくなると考えられる。 *亀岡裕次氏は、大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。 ドル/円にダブルノータッチオプション観測、ボラ低下に対応 2015年 02月 27日 18:28 JST [東京 27日 ロイター] - 外為市場の一角で、ドル/円JPY=EBSの「ダブルノータッチオプション」と呼ばれるオプション取引が観測されている。一定期間中に想定レンジを一度も外れなければ利益を得られる仕組みで、背景には、目先、こう着相場が続くとの「読み」がある。 ドル/円はイベントや株高にも反応が鈍くなっており、3月6日発表の2月米雇用統計後も方向感は出ないとの声も多い。 「ダブルノータッチオプション」は、レートが一定期間中に特定の2つのレート(レンジの上限・下限の価格)いずれかに到達するかどうかを賭けるもので、1度もタッチしなかった場合に利益を得られる。 ドル/円は、1月半ばから概ね117─120円のレンジにはまり込んでいる。24─25日のイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言後も、方向性は出なかった。 ギリシャ支援協議をめぐるリスクもいったん落ち着き、1カ月物のドル円インプライドボラティリティは、それまでの10%前後から一時8%割れの水準まで低下。突発的なニュースがない限り、ボラティリティはここから上がりにくいとの見方も出てきた。 ある国内金融機関の為替ディーラーは「1カ月くらいは116円と121円を触らないだろうというダブルノータッチオプションを設定し、3カ月物の行使価格124円とか125円のドルコールを買うというのが流行っている」と話す。 ドル/円は、少なくても向こう1カ月はレンジ相場が続き、その後、米国の利上げなどを想定したドル高が始まるという「読み」をしている向きがあるというわけだ。 <米雇用統計に注目> 市場参加者の視線は、3月6日発表の2月米雇用統計に向いている。1月までの3カ月間で非農業部門雇用者数は100万人増加。2月も強ければ、早期の利上げ観測が強まる可能性もある。 非農業部門雇用者数や失業率は底堅い結果になるとみられているが、市場では「問題は平均賃金。比較的低い伸びにとどまるとみられており、利上げ前倒しを想起する結果にはなりにくいのではないか。ドル買いは限定的かもしれない」(信託銀行)との声も出始めている。 ソシエテ・ジェネラル銀行の為替資金営業部長、鈴木恭輔氏は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文から「忍耐強く」の文言が削除されるとの思惑が広がり、3月半ばにかけていったんドル買いの流れが強まるとみている。ただ、米国サイドからドル高けん制も出始めていることを考えると上値は伸ばし切れず「3月末までのドル/円のレンジは、118.00─120.50円とみている」という。 (杉山健太郎 :編集 伊賀大記) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LV0V720150227
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