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「黒田総裁の警告の真の意味を探る」(EJ第3983号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/414677083.html
2015年02月27日 Electronic Journal
世界中で量的金融緩和をしているのに、日本の異次元緩和は財
政赤字の穴埋めのためにお札を刷るマネタイゼーションではない
かと非難する国が少しずつ出てきています。
そういう状況のなかで、国債をリスク資産とみなして、金融機
関の国際ルールの見直しを仕掛ける動きが出てきているといわれ
ています。もともと自国国債は「リスクゼロ」ということになっ
ており、金融機関がいくら自国国債を保有しても、何の問題もな
かったのです。
しかし、海外では国債もリスク資産とみなし、規制を強化すべ
きという議論が始まりつつあるのです。もし、そういう議論が本
格化すれば、金融機関の保有する国債の量が規制される可能性も
出てくると思われます。
かつてのバーゼル合意のように、国際的に活動する銀行の自己
資本比率や流動性比率などに関する国際統一基準のようなものが
国債についてもいわれるようになったらエライことになります。
もっともそういう規制が簡単に決まるとは思えませんが、議論が
海外ではじまるだけでも、現在大量に国債を保有している日本の
金融機関のなかには国債を手放すところが出てくるはずです。
まして日本国債はランクが低く、ますます売られる可能性が高
いのです。そうすると、国債価格は暴落し、長期金利が跳ね上が
る可能性があります。したがって、黒田日銀総裁は、物価目標2
%を達成するために異次元緩和を継続して行うかたわら、消費税
増税を行うなど財政再建に力を入れる必要があることをオフレコ
発言で安倍首相に強く進言したのです。
黒田日銀総裁は、追加緩和の後で消費税再増税が延期されたこ
とについて、「追加緩和が間違っていたとは思わない」として、
次のように述べています。
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追加緩和はあくまで2%の物価目標を早期に実現するためであ
り、増税延期で追加緩和が間違っていたとか、緩和時期を待つべ
きだったとは考えない。財政への信認が失われるリスクは実際に
起きる確率は非常に低いが、そのリスクは無視できるほど小さい
とは思わない。もし財政規律が失われれば、公共サービスや所得
の再分配機能、景気の調整機能に障害が生じる。
──黒田日銀総裁 http://bit.ly/1z80ylq
―――――――――――――――――――――――――――――
日本の国債は現在でもほとんど国内で消費されています。確か
に最近では、外国人投資家が保有する日本国債が2014年末で
約46兆円になり、7年ぶりに過去最高を更新しています。欧米
の金利低下で、政府系ファンドやヘッジファンドが日本国債を投
資先として見直す動きが広がっているからです。
日銀によると、2013年末の外国人の国債保有額(短期国債
を除く)は34兆3千億円。財務省の集計では2014年末には
保有残高は12兆円増え、年末ベースで過去最高だった2007
年の41兆円を上回り、過去最高になっています。しかし、日本
国債全体から見れば、その割合は5%弱に過ぎず、現在でもほと
んど国内で消費されているのです。
2014年第3四半期(暫定値)の日本国債、860・7兆円
の保有者別内訳(国債・財融債合計)は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
民間銀行 ・・・・・・・・・・・・ 32・8%
保険・年金基金 ・・・・・・・・・ 26・6%
その他金融機関 ・・・・・・・・・ 21・5%
社会保障基金・地方自治体など ・・ 7・5%
投信・証券など ・・・・・・・・・ 3・4%
海外(外国人) ・・・・・・・・・ 4・8%
家計 ・・・・・・・・・・・・・・ 2・2%
非金融法人企業 ・・・・・・・・・ 0・8%
非営利団体 ・・・・・・・・・・・ 0・4%
http://bit.ly/1wchsF1
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しかし、国債がリスク資産とみなされ、それによって金融機関
が規制されるようになると、金融機関は国債を手放さざるを得な
くなるので、国債を国内資金でファイナンスできなくなってしま
います。そうなると、「財政破綻」が現実味を帯びてくることに
なります。
つまり、国の借金が1千兆円あろうと2千兆円あろうと、それ
が国内資金でファイナンスされてさえいれば、財政破綻の心配は
ないのです。要するに財政赤字の額ではないということです。た
だ、それができなくなると、リスキーな状態になるのです。黒田
総裁が安倍首相に「財政再建に取り組む姿勢を見せて欲しい」と
要請したのは当然のことであり、そのいわんとすることは安倍首
相に通じていると思います。
しかし、昨年12月22日の経済財政諮問会議で安倍首相は次
のような発言をしているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
財政再建を進めるうえで、政策経費を税収などでどのくらいま
かなえるのかを示す基礎的財政収支だけでなく、債務残高のGD
P比にも着目すべきではないか。 ──安倍首相
―――――――――――――――――――――――――――――
安倍首相はどうしてこのような発言をしたのでしょうか。
安倍首相は基礎的財政収支を黒字化する財政均衡主義には反対
なのだと思います。安倍首相はアベノミクスの成長戦略を成功さ
せることによって名目GDPを上げようとしています。そうすれ
ば、債務残高がGDPに占める割合が小さくなります。これを積
み上げて行けば、財政は自然に健全化するという考え方です。
安倍首相がこのように発言したのは、それを推進するよう勧め
る一派が自民党内にいるからです。これは「国土強靭化」を目指
すグループであり、そのグループの主張に首相は傾いていること
を意味しています。 ─── [検証!アベノミクス/65]
≪画像および関連情報≫
●「追加緩和」に否定的な発言をする黒田総裁の本音
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2015年2月17日から開かれている日銀の金融政策決定
会合の結果が、今日発表される予定だ。「政策変更なし」と
発表される公算大で、株式市場への影響は限定的だろう。市
場の注目は、その後の黒田総裁の記者会見で、先行き追加緩
和の可能性を匂わす発言があるかに向かっている。楽天証券
経済研究所のチーフストラテジスト窪田真之氏は、市場の追
加緩和期待を高めるような発言があれば、円安、株高が進む
可能性があるが、今回はそうした発言は出ないと予想される
という。FRB(米国の中央銀行)や、ECB(欧州中央銀
行)は、金融政策の方針について、市場と対話することを重
視している。金融政策の変更で市場にショックを与えないよ
うに、政策変更の可能性を少しずつ市場に織り込ませる努力
をしている。2014年10月、米FRBはQE3(量的緩
和第三弾)を終了した。これは、2年以上前から、何度も市
場との対話を通じて市場に伝えてきたことなので、市場に驚
きを与えることはなかった。ECBは今年の1月に量的緩和
を導入した。これも、事前に市場と対話しながら方針を伝え
ていたので、市場に驚きを与えることはなかった。日銀も、
欧米の中央銀行を見習って、市場と対話していく方針を打ち
出している。ただし、実態は、必ずしもそうなっていない。
日銀は、かつて金融政策の方向性について、完全な秘密主義
を貫いていた。近年は、昔に比べると政策に関する情報を出
すようになってはいるが、それでもFRBやECBに比べる
と、秘密主義の側面が強いと言わざるをえない。
http://bit.ly/1BAjPmx
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