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日本郵政の闇 一般信書の事実上独占を国が放置 ヤマト、メール便廃止で宣戦布告か
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150226-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 2月26日(木)6時1分配信
1月22日、国土交通省5階にて開かれたヤマト運輸の記者会見で、「クロネコメール便」を3月31日の受付分をもって廃止することが発表された。
クロネコメール便とは、A4サイズ以下、厚さ2cm以下の荷物を配達し、受取人の郵便受けに投函するサービス。料金は全国一律で、厚さ1cm以下であれば82円、2cm以下であれば164円で配送できるという低価格から、主に法人がダイレクトメールやカタログを発送する際に使われており、個人でもインターネットオークションなどで利用されている。
国交省の調査によると、クロネコメール便の取り扱い冊数は年間約20億冊で、同様のサービスである日本郵政の「ゆうメール」は約33億冊。他社サービスを含めた市場全体の取り扱い冊数が約56億冊なので、ヤマト運輸と日本郵政がほぼ市場を二分しているといえる。
●知らないうちに郵便法違反となるケースが続出
そのクロネコメール便が廃止されるとのニュースは、多くの人々に衝撃を与えたことだろう。廃止の理由について、ヤマト運輸の山内雅喜社長は会見で「信書の定義や範囲が曖昧で、お客さまが容疑者になるリスクを放置できない」と語った。
これはいったいどういう意味なのだろうか。そこで郵便法に詳しい星野法律事務所の木川雅博弁護士に話を聞いた。
「メール便に『信書』を同封すると郵便法違反となり、3年以下の懲役、または300万円以下の罰金に問われることがあります。これは事業者だけではなく、利用者も罪に問われます。では、信書とは何か。定義としては『特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書』です。具体的には特定の人に向けた請求書や証明書、もちろん手紙も信書になります。ダイレクトメールであっても『○○様へ』と特定の人に向けたものは信書に分類される。ただ、法律家ならともかく、一般の人が信書かどうか判断するのはなかなか難しいでしょう。知らないうちに郵便法や信書便法に違反しているケースは結構あると思います」
実際にヤマト運輸に限っても2009〜13年度の間、メール便で信書を送り、郵便法違反となったケースが8件もあったという。
では、なぜヤマト運輸をはじめとした一般企業は信書を扱えないのだろうか。
「憲法が保障する『通信の秘密』を守るためという側面もありますし、民間業者に信書を含む郵便を委ねてしまうと、離島などの過疎地域に郵送する場合、そこだけ配送料金を高くしたり、通常より配達まで日数がかかってしまう可能性があります。それを防ぎ、国民の誰もがどこでも荷物を出せ、また受け取れるようにするために、郵便法によって信書を取り扱える業者を制限しているのです」(同)
つまり、日本国民の誰もが平等に郵便を利用できるようにするために、郵便法が存在するわけだ。それでは、ヤマト運輸が信書を取り扱えるようにするための方法はないのだろうか。
「3時間以内の配達や配達料金が1000円を超えるなどの高付加価値サービスである『特定信書』はバイク便などで取り扱えますが、手紙などの『一般信書』を取り扱えるのは実質的に日本郵政のみ。というのも、全国に約10万本のポストを設置しないと一般信書を取り扱えない等の厳しい参入規制があるのです」(同)
コスト面から見ても、ヤマト運輸をはじめとして日本郵政以外の企業が信書を取り扱うのは、ほぼ不可能に近い。
●クロネコメール便廃止は、総務省への問題提起?
この信書の問題に対し、ヤマト運輸は顧客に信書を同封していないかを確認し、署名してもらうなどの対応策はとってきた。さらに、信書を中身ではなく見た目で判断できるよう、荷物の大きさ、重さで判断する「外形基準」を導入するように総務省に提言したが、ヤマト運輸の主張が反映されることはなかった。
そのような経緯をたどり、ヤマト運輸はクロネコメール便の廃止を決断。これは、ただ顧客が郵便法に違反することを防ぐためではなく、日本郵政が一般信書の取り扱いを独占していることに対する一種の問題提起ともいえるだろう。
ヤマト運輸はクロネコメール便の代替サービスとして、内容物を事前に確認する法人向けの新サービス「クロネコDM便」を4月から始める。サービス内容や価格はほぼ据え置き。個人向けでは、現行の宅急便に最小サイズを追加して対応する予定だが、こちらはクロネコメール便よりも料金が上がる見通しだ。
クロネコメール便を利用していた人にしてみれば4月から少々不便になるため、不満が噴出するのは間違いなさそうだ。近い将来、これをきっかけに郵便法が改正され、さまざまな企業が信書を取り扱えるようになる日がくるのだろうか。
千葉雄樹/A4studio
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