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ユニクロ下請け工場のブラックな実態! 月300時間労働、灼熱地獄、違法な罰金…(リテラ)
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/823.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 2 月 25 日 19:48:05: igsppGRN/E9PQ
 

搾取工場を生み出すユニクロの柳井正社長(「株式会社 ファーストリテイリング」トップメッセージより)


ユニクロ下請け工場のブラックな実態! 月300時間労働、灼熱地獄、違法な罰金…
http://lite-ra.com/2015/02/post-897.html
2015.02.25. リテラ


 日本最大のアパレルチェーン・ユニクロを展開するファーストリテイリング(以下、ユニクロ)の柳井正会長兼社長がここにきてメディアでさかんに独自の経営哲学を語っている。

「日経ビジネス」(2月9日号/日経BP社)特集「善い会社 2015年版 いま必要とされる100社ランキング」でユニクロは2位に輝き、特集のインタビューの中で柳井氏は次のように語っている。

「私にとっての『善い会社』とは『長期的に成長し、収益を上げられる会社』だ。成長性と収益性が高ければ、顧客、地域社会、従業員、取引先、株主などすべてのステークホルダー(利害関係者)とウィンウィンの関係が結べる。」

 こうした柳井氏のユニクロ哲学は従来から繰り返しているもので、目新しさはない。どうやら今回のインタビュー乱発は「ユニクロブラック企業」批判の再燃を恐れて、打ち消しに躍起になって引き受けたようだ。

 というのも、1月11日に、中国における多国籍企業の活動を調査する労働NGO(本部・香港)・SACOMが発表した「中国国内ユニクロ下請け工場における労働環境調査報告書」では、ユニクロのブラックな労働環境が明らかにされたからだ。

 ユニクロの製造取引先は世界に100社ほどあるとされているが、その70%は中国。SACOMが潜入調査した2社(Pacific社、Luenthai社)は下請け工場のなかでも重要な役割を担っている。Pacific社は、ユニクロのCSRレポート(2014年)でユニクロの経営手法”One Table Management”の例としても挙げられているほどだ。

 今回の報告書によれば、Pacific社で月平均134時間、Luenthai社で月平均112時間の時間外労働が推計され、月の合計労働時間は300時間を超える事実が明らかになったのだ。

 中国の労働法36条では、1日8時間、週44時間までという労働時間制限が設けられ、同法38条では、雇用者は労働者に最低週1日の休暇を確保しなければならないとも規定されている。さらに、41条では、時間外労働時間は月に36時間を超えてはならないと明記されているが、ユニクロの下請け工場では労働法を無視しているのだ。

 なお、日本での標準的な労働者の労働時間は月間で約170時間程度。300時間となると、残業時間は130時間に上っていたことになる。これは月80時間という過労死ラインを圧倒的に超えているのだ。たとえば、ワタミで2008年に新入社員の飛び降り自殺があったが、この自殺は、月141時間の残業が原因だとして労働災害に認定されている。

 報告書によれば、労働環境も劣悪だ。作業現場全体に排水があふれ、換気設備や事故防止等の対策も不十分。深刻なのは、工場内の異常な高温だ。染料部門の染料タンクは運転時に非常に高温になり、100〜135℃にまで達することもある。染料部門は灼熱地獄と化すのだ。

「作業員は(略)染料タンクのそばに立って、タンクから重い生地を取り出さなければならず、生地の重量は、600キロにまで及ぶ。室温は38-42℃にまで達することから、仕事中多くの男性労働者が上半身作業服を着用していない。(略)聞き取り調査に答えた労働者は『あまりの暑さに夏には失神するものもいる』、状況は『まるで地獄だ』と話した。こうした状況に対して、高温手当てというものが支払われる場合がある。しかし、1日7ドル、月に100〜150ドルがこれにあたるが『実際無意味に等しい』と労働者は話す」(同報告書)

「1日7ドル、月に100〜150ドル」とは、日本円(1ドル=110円)で「1日770円、月に1万1000〜1万6500円」だ。しかも、作業員が高温の染料タンクのそばで作業しているにも関わらず、染料タンクを囲む囲いやゲートはなく、労働災害によるケガのリスクが増大している。さらに、染物部門では異臭を伴う有害な化学物質が使用されているが防護措置を講ずることができず、健康影響リスクにもさらされているのだ。

 さらに、工場全体には容赦ない罰金制度がある。
「Pacificでは、労働者を処罰するため、58種類の規則が制定されており、そのうち41の規則は罰金制度を含んでいる。罰金制度は労働者と商品の質をコントロールする方法として頻繁に使われる。実際、各々の作業場には、労働規程には定められてない罰金制度と規則があり、作業場のホワイトボードに書いてあるだけのものもある。(略)たとえば織物の部署では、製品の品質保持のために重い罰金制度が採用されている。商品に品質上の欠陥が見つかったり、織り機によごれがあったりした場合は、その労働者に一日の生産ノルマを達成した際に出される割増金から罰金が差し引かれる(罰金の額は労働者の行った行為によって異なるが約50〜100人民元の間である)。労働者が、食事休憩以外の機会に昼寝をとった場合は100人民元が手取りから差し引かれる。(略)時間外労働の長い状態から考えれば休憩をとることは認められるべきであるが、管理者は労働者を機械のように扱い、休憩もなく働かせている」(同報告書)

 中国の労働契約法上でも、このような処罰は認められていない。労働者を支援すべき労働組合も名ばかりだ。

「労働者によると、2009年、Pacificでは仕上げ工程部署の労働者たちが低賃金の待遇に対して小規模なストライキを行った。参加した労働者たちは賃金引上げを求めていたが、雇用側は暴力団を雇い、彼らに暴行を加えるなどしてストライキの動きを鎮圧させようとした。また、数年前には13〜15人あまりの労働者が、作業場の耐え難い高温に対してストライキを起こした。工場側はそのストライキを率いた代表者と積極的に参加していた他の労働者を解雇した」(同報告書)

 月300時間を超える合計労働時間、「まるで地獄」の灼熱労働環境、違法な罰金制度、暴力団を雇ってのストライキつぶし……ユニクロの下請け工場はまさにスウェットショップ(搾取工場)ではないか。

 搾取工場とは、低賃金、長時間など、劣悪な条件で労働させ、不当な利益を得ている工場のこと。1990年代、大手スポーツメーカー・ナイキの製造委託先工場の搾取工場問題が、本社のある米国での不買運動・訴訟問題にまで発展したことがある。搾取工場の問題は製造を委託する側の経営姿勢も問われるのだ。報告書でも下請け工場の問題というレベルではなく、ユニクロの発注費用の安さと納期の短さなどから、中国の下請け工場の労働者にしわ寄せが及んでいる問題を指摘しており、ユニクロの柳井会長兼社長は“ブラック経営者”の烙印を押されてしかるべきなのだ。

 NGOの報告書の発表に対して、ユニクロ側はすぐさま改善を約束。「日経ビジネス」(2月9日号/日経BP社)特集「善い会社 いま必要とされる100社ランキング」のインタビューの中で柳井氏は次のように「ブラックユニクロ」説を否定している。

「中国企業の工場で、労働者が劣悪な環境下で長時間働いているとNGO(非政府組織)から指摘された。それを聞いてびっくりした。担当者が取引先の労働環境をチェックしていたはずだったからだ。しかし、結果的に劣悪な労働実態を見抜けなかった。非常に残念だ。(略)とはいえ、この一件をもって『やっぱりブラック企業だ』と批判するのはいかがなものか。当社には全世界に100社ほどの取引先がある。その一部の事象を取り上げて、全体に問題があるかのように批判するのはおかしい」

 柳井氏は“一部の事象”というが、今回のようなブラックユニクロを批判する声はこれまでにもあった。2010年5月には、「週刊文春」(2010年5月6日・13日号/文藝春秋)の「ユニクロ中国『秘密工場』に潜入した!」と題する記事で、11年3月には単行本『ユニクロ帝国の光と影』(文藝春秋)で、ジャーナリスト横田増生氏が、国内店舗の店長の月300時間を超える労働時間の問題や中国工場(今回の報告書とは別の複数の工場)で長時間労働が常態化しているといった事実を指摘していた(今回のNGOの報告書は横田氏の記事を裏付ける内容でもあった)。

 こうした記述に柳井氏が激怒。文藝春秋に計2億2000万円の損害賠償と書籍の回収を求める裁判を起こしたものの、地裁判決(13年10月18日)で、「(記事の)重要な部分については真実である」として、長時間労働の実態を事実と認定し、二審判決(14年3月26日)でも「記事は真実か、真実と信じた相当の理由がある」として、「真実ではない」とするユニクロ側の主張を退けた。最高裁第三小法廷も2014年12月9日付でユニクロ側の上告を退けることを決定した。つまり、ユニクロはブラック企業という事実を裁判所が認めたのだ。

 しかし、日本のマスコミは中国のユニクロの下請けによる搾取工場問題をほとんど取り上げず、柳井氏の言い分ばかりを取り上げる。ユニクロのアメ(609億円の広告宣伝費(2014年8月期))とムチ(都合の悪い記事には2億2000万円の損害賠償裁判)のマスコミ対策により、日本では事実上、黙殺されているのだ。

 消費者のニーズを把握し、中国の工場でベーシックな商品を大量生産、卸などを通さずに自社店舗で販売するというSPA(アパレル製造小売り)の手法を活用し、急成長を遂げてきたユニクロだが、その内実は、中国の搾取工場で低コスト商品を大量生産、日本国内では“名ばかり店長”を酷使し大々的な広告費の投入で販売する、というものにすぎなかった。

 米経済誌「フォーブス」の2014年版世界長者番付によると、柳井氏の推定資産は179億ドル(1ドル100円換算で約1兆7900億円)で世界ランク45位、日本人としては孫正義ソフトバンク社長に次ぎ第2位だ。その多くは労働者から搾取したものなのだ。

 ユニクロは2020年には売上高5兆円を目指している(2014年8月期連結決算の売上高は1兆3829億円)が、搾取工場を生み出すユニクロのブラックな体質が続くようであれば、その主要な顧客となるはずの東アジアの人々も客離れを起こし、その達成はますます遠のくばかりだろう。

(小石川シンイチ)

 

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