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再開発が進む湾岸の豊洲エリア〔PHOTO〕gettyimages
全国民必読 まもなく不動産(東京・大阪)大暴落へ あなたが思っているより早く来る!相続税の心配など、無用です
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42250
2015年02月25日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
オリンピック開催という「錦の御旗」のもとに首都圏の再開発が進んでいる。しかし早晩バブルが弾けることは不動産業界の暗黙の了解だ。ババをつかまされないためには、いち早く逃げ出すしかない。
■いつ売り抜けるか
「最近、私のところに不動産の相談に来る人たちに、よく同じことを聞かれるんです。『東京オリンピックの前に、売り抜けられますか?』とね」
こう話すのは、榊マンション市場研究所の榊淳司氏だ。
「たいていは7000万~8000万円もするような、立地のいい都心の物件を購入している人たちです。自分で住んでいる人、投資用に購入している人と様々ですが、みな'20年のオリンピックを一つの節目と見ている」
今年1月に相続税法が改正され、これまで相続税を払う心配のなかった中流層の人たちが節税スキームを学ぼうとセミナーなどに通っている。「都心の一等地でなければ税がかからなかったが、郊外の一軒家に住んでいるような家庭でも相続税の対象になる」という話がメディアで喧伝されているからだ。
だが、ちょっと待ってほしい。相続をする10年後、20年後に自分の所有する不動産の評価額は今のままなのだろうか。
節税スキームの代表的な例に、タワーマンションの一室を取得するというものがある。高層マンションは一戸当たりの所有する土地が狭いため、相続税を計算する際の評価額が下がり、現金を相続するよりも大幅に節税できるからだ。ただし、そのような努力をしても、不動産市場自体が暴落してしまえば、なんの意味もない。
そして現に、相続問題に頭を悩ませていることが馬鹿らしくなるほど大きな暴落の兆候が、ひたひたと迫りつつある。
一般の人の耳に届くことはまだ少ないが、首都圏の不動産業者のあいだで最近、とみに話題に上るテーマがある。それが「2019年問題」だ。'19年という年が注目されているのには、いくつか理由がある。冒頭の榊氏のところに相談に来る人たちのように、オリンピック後の値崩れを警戒する人たちが、早めに売り抜けようとするというのもその一つだ。
■完全に供給過多なのに
カルチャースタディーズ研究所代表で、編著書に『地価下落時代に資産を守る!』がある三浦展氏はこう警告する。
「日本も東京もすでに成熟期にあるので、前回の東京オリンピック('64年)のときとは状況が異なる。巨額の投資をしても東京全体の経済を浮揚させる効果は少なく、むしろ施設維持負担が重くのしかかる危険性が高い」
にもかかわらず、オリンピック会場の跡地には数千戸規模のマンションが建設される計画もあるというのだから、供給過多になるのは火を見るよりも明らかだ。
他に'19年が注目される要因として、世帯数の減少がある。「e住まい探しドットコム」代表で住宅コンサルタントの平賀功一氏は語る。
「国立社会保障・人口問題研究所が'13年に発表した推計によると、日本の世帯総数は、'19年の5307万世帯でピークを迎え、'35年には4956万世帯にまで減少すると見込まれています。すでに日本の総人口は減少を始めていますが、世帯総数がかろうじて増加していたおかげで、住宅市場規模の縮小は抑えられてきました。しかし、'19年を境に、『最後の砦』である世帯総数も減り始め、『縮小マーケットの時代』に突入するのです」
ただでさえ住宅が余り始めるのに、住む人間そのものが減っていくのである。いま、不動産業界は相続税対策ブームや団塊ジュニア世代による購入によって、それなりの活況を呈しているが、それも長く続かないということは業界内の暗黙の了解である。
ある中堅ハウスメーカーの社長はこう漏らす。
「'19年頃に住宅の建設需要がピークアウトするのは周知の事実です。国内の顧客に対しては、『いい家を建てれば値下がりしませんよ』とセールスしていますが、すでに住宅は供給過多になっている事実は決して伝えない。
国内市場だけでは食っていけませんので、大手商社と組んで、東南アジアなど海外で家を売る動きも活発化しています。国内の営業マンはそんなこと、おくびにも出しませんがね」
■外国人投資家が逃げ出す
現在の不動産ブームを煽っているのは不動産業者だけではない。外国人を中心とした投資家たちが円安を背景に新築マンションを買い漁っているのだ。前出の榊氏が語る。
「山の手線内の新築マンションの半分は、投資用として購入されています。この3月に竣工になる物件がたくさんありますが、そのような部屋が賃貸に出されると、都心の賃貸市場は完全に供給過多になります」
投資家たちは値上がりを期待している富裕層なので、物件に借り手がつかなくとも騒ぎ立てない。だが、賃貸市場の状況を見れば、需要と供給のギャップが拡大していることは明らかだ。
自身でもシンガポール人に東京の物件を紹介しているというS&Sインベストメント代表の岡村聡氏は語る。
「海外の投資家たちは、不動産の価格ではなく利回り(年間賃貸収入を物件価格で割ったもの)に着目するのですが、東京の物件の利回りは3~5%と高い。すでに大きく値上がりしてしまったシンガポールや香港の物件だと1~2%ですから、たとえ億ションであっても、彼らの目には東京の物件は割安に映るんです。
昨年オープンした虎ノ門ヒルズの住宅などは半分以上が外国人に買われたと見られていて、実際、夜になっても明かりがつかない部屋が多い。他に外国人に人気なのは、『3A』と呼ばれる赤坂、青山、麻布のエリア。同じ高級住宅地でも白金などは見向きもされない。要するに自分が住むためや、長期的に人に貸すために吟味して買っているのではなく、『後々売りやすいブランド物件』に目をつけているだけなのです」
当然のことながら、このような値上がり重視の投資家たちは「売り時」を見計らっている。
「外国人が大量に東京の物件を買ったのは'13年から'14年です。キャピタルゲインを狙う彼らが物件を売り始めるのは、購入から5年後になる。
なぜ5年後かといえば、明確な理由があります。日本の税制では取得して5年以内の不動産の売却益には39%の税がかけられるのですが、5年以上保有すると税率は21%に下がる。つまり最近、投資用にマンションを買った人たちが、一斉に売り始めるのが'19年前後なのです」(岡村氏)
このように、'19年に不動産が暴落する要因はいろいろと考えられる。問題は、'19年までは暴落が起こらないのかということだ。
つまるところ、景気は人間の気持ちと市場のムード次第で良くもなれば悪くもなる。いまはまだ大半の人が値上がりするだろうと考えていたとしても、ふとしたことがきっかけで、一足先に売り抜けようと考える人が出始めれば、そこから先は一直線。少しでも他人を出し抜いて早く売ってしまえとばかりに、大暴落がやってくる。
とりわけ外国人投資家たちは機を見るに敏だ。'11年3月に竣工になった、有明のマンションでは、同時期に起こった東日本大震災がきっかけで、中国人オーナーたちの解約が数十件もあったという。そこに暮らすことを前提としない投資家にしてみれば、多少の違約金を払ってでも、下落市場から逃げ出そうとするのは当然のことだ。
結局、ババをつかまされるのは物件が自宅ゆえに、容易に売り抜けられない一般人ということになる。前出の榊氏は次のようにアドバイスする。
「もし東京郊外に家があって、もう少し年を取ったら都心のマンションにでも引っ越そうと考えているのなら、家が売れるうちに早めに引っ越したほうがいい」
まもなく不動産の暴落はやってくる。都心の物件ですらバブルが崩壊するのだから、郊外や地方の物件は、下手をすると売りたくても値段がつかない可能性が高い(詳細は次章で)。投資家たちが売りに転じたら、もう手遅れ、あなたが思っているよりも早く「その日」はやって来ると考えておくべきだろう。
では具体的に、首都圏と近畿圏の価値が下がるエリア、下がりにくいエリアを見てみよう。
榊氏は「町の強さを見るのに鉄道路線を使って考えることが多い」という。
「東京から延びている路線でその先に強い町があるところは値下がりしにくいのです。例えば横浜につながる東急東横線は強いですが、同じ東急でも田園都市線は行き着くところが『田園』なので下落し始めると怖い。二子玉川などはいまは人気がありますが、立地の実力以上に『イメージ』で高値がついている。地方で進行している暴落の波が東京に押し寄せてきたとき、最後の防波堤になるのが山手線です。二子玉川などのような世田谷区の地価は下落していく可能性が高い。
また、豊洲、有明、晴海といった湾岸部は都心へのアクセスがよいことに加えて、オリンピックの影響で人気が再燃していますが、そもそも開発業者たちが頭で設計図を引いたような町は魅力が薄い。吉祥寺や下北沢のような自然に形成されてきた魅力ある町に比べると価格が落ちるのも速いでしょう」
■杉並・練馬が危ない!
「現役世代と引退世代の比率を測る現役世代負担率を計算すると、将来の地価の下落を予測できます」と語るのは前出の三浦氏。三浦氏が麗澤大学の清水千弘氏と行った研究によると、'40年時点での地価が'10年時点の3分の1以下になると推計される町の中には、我孫子市、青梅市、浦安市、杉並区、練馬区、松戸市、多摩市、春日部市など、首都圏を代表するような住宅地が上がっている。練馬や杉並のような23区内でも、人口減少という構造的な地価下落要因からは逃れられないのだ。
30年で3分の1になるということは、かつて日本が経験したことがない規模の下落である。あと数年でつるべ落としのような暴落が始まることは明らかだ。
「一方で東京の東側には北千住や押上、曳舟など都心に近い割に地価が安いところがある。庶民的で物価も安く、駅前マンションや大学も増えており、若い世代も流入しているので、これから伸びる町になるでしょう」(前出の三浦氏)
大阪を中心とした、近畿圏はどうか。「そもそも首都圏のようなバブルはほとんど起きていない」と、大阪のマンション建設業者は語る。だが、バブルが起きていないからといって安心してはいけない。
「バブルが起きないのは大阪の経済力が弱い証拠。東京で暴落が起きたら、その波は間違いなく大阪にも押し寄せるでしょう。
梅田の北ヤードなど、大規模な再開発が行われたところは、それなりのバブルが見られたので大きく値を落とすでしょう。中央区、北区、西区の駅近に建ったタワーマンションも危ない。
逆に北摂や帝塚山、阪神間といった人気の住宅エリアは、需要に基づいた売り方しかされていないので、それほど大きく値崩れすることはないでしょう」
一方、近畿で唯一バブルの様相を呈しているのが「京都」だ。
「京都と言っても、御所の周辺や下鴨の高級住宅地といった狭い地域ですが……。東京の富裕層がセカンドハウスとして買っており、中には東京の山手線内と同じくらいの坪単価がついているマンションもあります。ほんの数百mも外れれば半値以下になるので、バブルがはじければ大きく値下がりするでしょう」(前出のマンション建設業者)
アベノミクス、オリンピックといった耳触りのいい言葉で活況を呈しているように見える不動産市場。しかし、きらびやかなタワーマンションが薄氷の上に建てられているのだとしたら……。氷がひび割れる音を聞き逃してはならない。
「週刊現代」2015年2月28日号より
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