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ギリシャのチプラス首相(左)は強気だが……(ロイター)
【世界を斬る】ギリシャ問題は「衰退するEUの象徴」 破産も脱退もありえない
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150225/dms1502250830005-n1.htm
2015.02.25 夕刊フジ
先週末、米ハドソン研究所の会議室で、日本でも問題になっているギリシャのEU(欧州連合)脱退についての話し合いが行われていた。ギリシャの経済破綻は、私が取材したり研究したりしている問題とは離れているが、日本の報道と米国で聞く話が食い違っているので、会議に加わった。
「ギリシャの労働組合を背景とする社会主義や共産主義者らによる新政府が、EUからの脱退騒ぎを起こしているが、いまさら脱退を言い出すこと自体おかしな話だ。ギリシャは2010年すでに倒産し、それ以降はEUに管理されている」
現地アテネから帰ったばかりというIMF(国際通貨基金)に関係している経済学者がこう指摘すると、ハドソン研究所の経済学者が次のように述べた。
「あわせて3700億ドル(当時38兆円)、GDPの2倍以上というギリシャの借金は2010年、すべて銀行からEUに肩がわりされている。いまさらギリシャが破産することはありえないし、EUは政治的にギリシャを放り出すことはできない」
ギリシャの銀行からの借財はすべてEU、つまりヨーロッパ中央銀行やIMFが肩がわりして、タダに近い利息をギリシャからとり立てている。その代わり、ギリシャに対して、働かないうえ、多過ぎる役人、つまり左翼政党の支持者の大量解雇を行うことや生活保護費の大幅削減を要求し、強制してきた。
ところが、1月に行われた総選挙で、労働組合を主力とする政党が勝ち、反EU、反ドイツ勢力と組んで政府をつくり、EUの締めつけに反発して脱退騒ぎを起こしている。つまりギリシャは、財政的にヨーロッパなど世界の金融機関や経済と切り離され、EUに管理、支配されているが、新しくできたナショナリスティックな政府がそれに猛反発しているのである。
このギリシャのEU脱退問題が世界経済に直接、影響を及ぼすことはありえない。つまり第2のリーマン・ショックにはなり得ないが、ハドソン研究所の学者が言うようにEU側もギリシャを追放することは難しい。
ギリシャは財政赤字のなかで膨大な国防費を支出し、世界で10番目の強力な軍事力を持っている。地理的にもトルコや地中海の南、アフリカの国々に対抗する軍事的な重要拠点だ。ギリシャは、そうした国々からEU諸国に来る移民のための入り口で、不法移民を追放するための出口になっている。
ギリシャはEUにとって政治的に極めて重要な国だ。このため、EU諸国が力をあわせてギリシャを助けている。ギリシャよりも貧しいラトビアやポーランドからの資金が、働かないギリシャに注ぎ込まれている。
アメリカの友人は、「ギリシャ問題は衰退するヨーロッパの象徴だ」とも言っていた。これは、ギリシャを切り捨てられないヨーロッパを哀れんでの発言なのだ。
■日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。
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