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日本銀行の黒田東彦総裁は2月18日の金融政策決定会合後の記者会見で、追加緩和について、「現時点では必要ない」と述べた
Photo:EPA=時事
日銀の緩和策が限界を露呈 株価と日本国債の危うい関係
http://diamond.jp/articles/-/67356
2015年2月24日 週刊ダイヤモンド編集部
国債市場がにわかに不安定化している。2月に入って長期金利が急騰(国債価格が急落)したのだ。金利リスクが意識された結果、株価も国債の入札に左右される局面が出てきた。市場関係者からは、国債市場の著しい機能低下を招いた日本銀行の金融緩和策に対して、限界説も聞こえてくる。
債券市場の一大イベントであるはずの日本国債の入札が、株式市場を大きく揺さぶる局面が目立っている。
2月17日、「不調に終わるのでは」と市場関係者の間でうわさされていた20年物国債の入札が堅調な結果となったことで、日経平均株価は再び1万8000円の大台に乗せる展開となった。
一方で、国債の入札が不調に終わった場合は逆に、株価が下落に転じるのが、ここ最近の株式相場の傾向だ。
「国債の入札結果に振り回されるのは、それだけマーケットが金利リスクに敏感になってきた、つまりは国債価格の急落(長期金利の急騰)を意識し始めたことの裏返し」。そう語るベテランの債券市場関係者はさらに、株価と国債の不安定な関係は日本銀行の限界をも暗示していると指摘した。
入札は昨年まで順調で、むしろ金利の低下に歯止めがかからないことが市場では問題視されていた。
黒田東彦総裁率いる日銀が異次元の金融緩和策として国債を大量に買い入れている副作用で、市場に出回る国債の量が急減していることを受け、長期金利が急落していたためだ。
長期金利の指標となる10年物国債の利回りが一時、0.195%と史上初めて0.1%台まで低下したのは1月20日のことだ。
しかし2月に入って様相は一変。国債市場は一気に不安定化する。
3日、長期金利が一時0.365%まで急騰(国債価格は急落)したのだ。10年物国債の入札が市場予想を大幅に下回って、需要の乏しい低調な結果に終わり、国債売りが膨らんだためとされる。
13日の5年物国債の入札でも、金融機関からの応札額が2013年4月以来の少なさとなり、長期金利は0.435%まで跳ね上がった。
大半の国債を日銀が買い上げる緩和策のせいで、日銀以外に買い手が極端に減り、市場機能が著しく低下したことの表れといえた。
前出の債券市場関係者は、「日本国債を売買してきた国内の大手銀行や証券の債券ディーラーたちは、すでに日銀による今の過度な緩和策に限界を感じている」と日銀による緩和策の限界説を唱えた。
というのも、国債市場では昨年まで、緩和策の流れに乗った「日銀トレード」で一定の収益を上げることができた。日銀トレードとは、国債入札において新発国債を低い利回り(高い価格)でも購入し、落札価格以上で買ってくれる日銀にすぐさま売却して薄い利ざやを積み上げていく取引だ。
しかし、想定外の金利上昇(国債価格の低下)で、日銀トレードによる利ざや稼ぎは難しくなった。
国債入札の不調などで金利上昇が続けば、中央銀行である日銀の緩和策に対する信頼は足元から崩れかねない。
■スイス中銀のちゃぶ台返しで市場の信頼失墜
間の悪いことに、欧州では中央銀行に対する市場の信頼を失墜させる事件が起こったばかりだ。
1月15日、たった1日でスイスの通貨が対ユーロで3割も急騰した「スイスフランショック」がそれだ。
スイスの中央銀行であるスイス国立銀行は11年から、過度なスイスフラン高に悩まされていた自国経済を守るため、為替市場で無制限にスイスフランを売って、ユーロを買う「上限制」を敷いていた。これを突如、撤廃したのだ。
その3日前まで「上限制の維持は金融政策の柱」とまで主張していたにもかかわらず、あっさりとちゃぶ台返しをしたわけだ。
日本円に例えるなら、1ドル120円だった為替水準が、わずか1日で85円に急上昇するほどの激烈な為替変動で、損失を被った市場関係者も少なくなく、市場には中央銀行に対する疑心暗鬼が今なお渦巻いている。
「前回の追加緩和のようなサプライズを市場に与えることが良いと勘違いしている日銀が、スイス中銀のようなネガティブサプライズを引き起こす可能性は否定できない」と外資証券幹部は警戒する。
しかも足元では、黒田日銀の土台がにわかに揺らぎ始めている。
黒田体制の理論的支柱である岩田規久男副総裁が4日の記者会見で、日銀の金融政策の鍵を握る予想インフレを測る指標として、自身の理論のよりどころとしていた「ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)」には欠陥があることを自ら認め、市場関係者の批判にさらされている。
また、日銀内部からも「追加の金融緩和は日本経済に逆効果」と“反黒田”ののろしも上がり始め、黒田日銀は苦しい政策運営を迫られている。
株価は1万8000円台の定着をうかがうが、しばらくは中央銀行に翻弄される国債の入札が水を差す場面が散見されそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 山口圭介)
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