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日銀の緩和策が限界を露呈 株価と日本国債の危うい関係(週刊ダイヤモンド)
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/789.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 2 月 24 日 08:39:05: igsppGRN/E9PQ
 

日本銀行の黒田東彦総裁は2月18日の金融政策決定会合後の記者会見で、追加緩和について、「現時点では必要ない」と述べた
Photo:EPA=時事


日銀の緩和策が限界を露呈 株価と日本国債の危うい関係
http://diamond.jp/articles/-/67356
2015年2月24日 週刊ダイヤモンド編集部


国債市場がにわかに不安定化している。2月に入って長期金利が急騰(国債価格が急落)したのだ。金利リスクが意識された結果、株価も国債の入札に左右される局面が出てきた。市場関係者からは、国債市場の著しい機能低下を招いた日本銀行の金融緩和策に対して、限界説も聞こえてくる。

 債券市場の一大イベントであるはずの日本国債の入札が、株式市場を大きく揺さぶる局面が目立っている。

 2月17日、「不調に終わるのでは」と市場関係者の間でうわさされていた20年物国債の入札が堅調な結果となったことで、日経平均株価は再び1万8000円の大台に乗せる展開となった。

 一方で、国債の入札が不調に終わった場合は逆に、株価が下落に転じるのが、ここ最近の株式相場の傾向だ。

「国債の入札結果に振り回されるのは、それだけマーケットが金利リスクに敏感になってきた、つまりは国債価格の急落(長期金利の急騰)を意識し始めたことの裏返し」。そう語るベテランの債券市場関係者はさらに、株価と国債の不安定な関係は日本銀行の限界をも暗示していると指摘した。

 入札は昨年まで順調で、むしろ金利の低下に歯止めがかからないことが市場では問題視されていた。

 黒田東彦総裁率いる日銀が異次元の金融緩和策として国債を大量に買い入れている副作用で、市場に出回る国債の量が急減していることを受け、長期金利が急落していたためだ。

 長期金利の指標となる10年物国債の利回りが一時、0.195%と史上初めて0.1%台まで低下したのは1月20日のことだ。

 しかし2月に入って様相は一変。国債市場は一気に不安定化する。

 3日、長期金利が一時0.365%まで急騰(国債価格は急落)したのだ。10年物国債の入札が市場予想を大幅に下回って、需要の乏しい低調な結果に終わり、国債売りが膨らんだためとされる。

 13日の5年物国債の入札でも、金融機関からの応札額が2013年4月以来の少なさとなり、長期金利は0.435%まで跳ね上がった。

 大半の国債を日銀が買い上げる緩和策のせいで、日銀以外に買い手が極端に減り、市場機能が著しく低下したことの表れといえた。

 前出の債券市場関係者は、「日本国債を売買してきた国内の大手銀行や証券の債券ディーラーたちは、すでに日銀による今の過度な緩和策に限界を感じている」と日銀による緩和策の限界説を唱えた。

 というのも、国債市場では昨年まで、緩和策の流れに乗った「日銀トレード」で一定の収益を上げることができた。日銀トレードとは、国債入札において新発国債を低い利回り(高い価格)でも購入し、落札価格以上で買ってくれる日銀にすぐさま売却して薄い利ざやを積み上げていく取引だ。

 しかし、想定外の金利上昇(国債価格の低下)で、日銀トレードによる利ざや稼ぎは難しくなった。

 国債入札の不調などで金利上昇が続けば、中央銀行である日銀の緩和策に対する信頼は足元から崩れかねない。

■スイス中銀のちゃぶ台返しで市場の信頼失墜

 間の悪いことに、欧州では中央銀行に対する市場の信頼を失墜させる事件が起こったばかりだ。

 1月15日、たった1日でスイスの通貨が対ユーロで3割も急騰した「スイスフランショック」がそれだ。

 スイスの中央銀行であるスイス国立銀行は11年から、過度なスイスフラン高に悩まされていた自国経済を守るため、為替市場で無制限にスイスフランを売って、ユーロを買う「上限制」を敷いていた。これを突如、撤廃したのだ。

 その3日前まで「上限制の維持は金融政策の柱」とまで主張していたにもかかわらず、あっさりとちゃぶ台返しをしたわけだ。

 日本円に例えるなら、1ドル120円だった為替水準が、わずか1日で85円に急上昇するほどの激烈な為替変動で、損失を被った市場関係者も少なくなく、市場には中央銀行に対する疑心暗鬼が今なお渦巻いている。

「前回の追加緩和のようなサプライズを市場に与えることが良いと勘違いしている日銀が、スイス中銀のようなネガティブサプライズを引き起こす可能性は否定できない」と外資証券幹部は警戒する。

 しかも足元では、黒田日銀の土台がにわかに揺らぎ始めている。

 黒田体制の理論的支柱である岩田規久男副総裁が4日の記者会見で、日銀の金融政策の鍵を握る予想インフレを測る指標として、自身の理論のよりどころとしていた「ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)」には欠陥があることを自ら認め、市場関係者の批判にさらされている。

 また、日銀内部からも「追加の金融緩和は日本経済に逆効果」と“反黒田”ののろしも上がり始め、黒田日銀は苦しい政策運営を迫られている。

 株価は1万8000円台の定着をうかがうが、しばらくは中央銀行に翻弄される国債の入札が水を差す場面が散見されそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山口圭介)


 

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コメント
 
01. 2015年2月24日 10:17:35 : nJF6kGWndY

>日銀の緩和策が限界を露呈

当たり前だ

全ての金融経済の問題が日銀の金融政策だけで解決するはずがないのはとっくに明らか

そして、それは政府も同じ

基本は国民や企業の努力、それに海外情勢など、多くの要因が影響する

>株価と日本国債の危うい関係

財政赤字=国債残高が増えるほど、不安定化していき

多くの外的要因の影響も高まっていくのは必然


02. 2015年2月24日 16:56:18 : WvG4J68JJY
末端庶民の年金や介護や生活最低限に日銀が「異次元に金融緩和」をすれば、それは消費に直結するので、税収にもなるのに、そう言う話が出ると、「日銀の緩和策が限界を露呈」と言うお話が出だすのは「不思議チャン」。
何も国や自治体を通さなくても良い。
国や自治体を通せばそれだけ公的債務が増えるだけ。
直接、日銀が国や自治体などを通さず、民間融資で「異次元の金融緩和をしてインフレターゲット」すればそれで済む話。
昔の「古き良き日本」の頃はそう言う民間銀行の融資姿勢だったし、それで焦げ付いても良きインフレで庶民の借金がインフレ分はチャラだった。
今の若い人はそれを知らない。
インフレで借金チャラにする分を、今は国や自治体が民間に配分せず「踏倒し独り占め」なのだと言う事を。

03. 2015年2月24日 17:50:54 : ijMdy78in2
衆院が原田早大教授の日銀審議委員起用を可決、参院も同意見通し
2015年 02月 24日 17:02 JST
http://jp.reuters.com/news/pictures/articleslideshow?articleId=JPKBN0LS0JZ20150224&channelName=topNews#a=1
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[東京 24日 ロイター] - 衆院は24日午後の本会議で、日銀審議委員に早稲田大学・政治経済学術院特任教授の原田泰氏を起用する政府の同意人事案を与党などの賛成多数で可決した。

国会同意人事は衆参両院の同意を得なければ白紙となるが、両院とも与党が多数を占めており、25日開会で調整中の参院本会議でも同意を得られる見通し。

原田氏は、3月25日に任期を迎える宮尾龍蔵審議委員の後任となる。大胆な金融緩和を提唱するリフレ派の中でも、岩田規久男・日銀副総裁と並ぶ代表的な論客。岩田氏や浜田宏一・米イエール大名誉教授との共著もある。

日銀審議委員は、日銀の最高意思決定機関である政策委員会のメンバーで、同委員会は総裁1人、副総裁2人、審議委員6人の計9人で構成。月に1─2回、定例開催している金融政策決定会合では当面の金融政策運営の方針などを決めている。

●原田 泰(はらだ・ゆたか)氏

1950年生まれ。74年東大農卒、経済企画庁入庁、財務省財務総合研究所次長、大和総研専務理事などを経て2012年早稲田大学政治経済学術院教授。経済学(学習院大)博士。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LS0JZ20150224?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPTopNews+%28News+%2F+JP+%2F+Top+News%29


04. ひでしゃん 2015年2月24日 20:26:34 : dsqbUTCLpgzpY : 9IQbDxI5Uo
日本は日銀券発行額に枠を設ける為に金本位制にもどす
自国通貨を棄損する金融緩和策は邪道
日銀は国の財政規律を棄損する国債購入をしてはならない
国債暴落金利急騰のリスクを日銀が引き受けることになる
管理相場は市場の攻撃に対抗しうるか?
ポンドショックが思い出される
現状の超低金利で国債を購入するリスクが市場で意識され買い手不在になれば突然日本国債が暴落するのは必然
日銀は金融機関の準備金超過額について金利を付けてはならないマイナス金利を導入すべし

05. 2015年2月25日 07:50:44 : jXbiWWJBCA

【第367回】 2015年2月25日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
黒田日銀総裁は「財政再建強硬論者」なのか?

財政再建の重要性を首相に直言
「お里が財務省」だから?
2月12日に行われた経済財政諮問会議の席上で、黒田日銀総裁が安倍首相に対し、将来の国債利回りの上昇リスクと財政再建に向けた努力の必要性について「財政の信頼が揺らげば将来に金利急騰リスクがある」(『日本経済新聞』2月12日)と直言したとされる。これは議事録に載っていないオフレコ発言だが、会議の関係者を通じて外に聞こえてきた。 
このオフレコ発言をどう聞くべきか。日経の記事の見出しのように、「政府と日銀、転機の蜜月」と捉えるべき話なのだろうか。 
黒田総裁は、就任時以来、政府の財政規律について強硬な発言をする点で、これまでの多くの日銀総裁と一味違っていた。他の総裁は、財政は日銀の専管事項でないこともあってか、建前あるいは将来の言い訳の前振りで、理念として財政再建の重要性に言及する印象だったが、黒田総裁は財政再建のために消費税率を引き上げるべきだという意見を隠さない。 
遠慮無く言うなら、黒田総裁には「お里が財務省だからなあ」と感じさせるところがある。 
彼は、経済政策に対する信条として、金融緩和の物価とGDPに対する効果を強く信じていて、財政政策に関しては景気対策に適当だと思っていないのかもしれない。金融緩和で景気を拡大して、財政再建を援護射撃できると考えているかのようなイメージだ。 
しかし、黒田総裁が強く求めた消費税率の5%から8%への引き上げは、彼の第一の目標であったはずのデフレ脱却に対して強い逆風となった。彼は、どこに自分の見立て違いがあったのかを、考えておくべきなのではないか。 
黒田総裁の強硬姿勢は
本音なのか演技なのか
 2月12日の経済財政諮問会議では、民間議員側から、財政再建目標に関して、プライマリーバランス(「PB」、基礎的財政収支)のGDP比を目標として、これを2020年までに3.3%縮小する案が提出された。PB赤字の対GDP比が着実に縮小するなら、いいのではないか、という現実的に妥当な提案だ。改善しているということの説明をしやすい点で、好印象でもあろう。
しかし、GDPに対するPB赤字は政府試算では( 「中長期の経済財政に関する試算」2015年2月12日、内閣府)、2013年度が5.7%、2014年度が5.2%なので、2020年にPBを黒字化するとしてきた今までの目標よりも、財政再建のペースが緩やかなものになる公算が大きい。
もともと、財政再建は、経済環境に合わせてペースをコントロールすべきもので、一律に機械的に進めるべきものではない。また、結果の数字も、様々な不確定要因の影響を受ける。消費税の「増税」とか、予算を通じた「PB黒字化」とかを、硬直的なスケジュールの下で行うことには、無理が伴いやすい。 
しかし、巷間言われるように、財務省では増税を決めることが「手柄」なのであれば、誰が、何時、その担当なのかが重大な問題になる。 
財務省的には、黒田氏の財政再建に対する「ブレない情熱」が好ましく見えているであろうことは想像に難くない。 
ここで、可能性が2つある。 
黒田総裁が、本当に強硬に財政再建を求めている可能性と、実際には柔軟であるべきだと理解しながら、役回り的に財政再建強硬論者を「演じている」可能性だ。黒田氏は、秀才揃いの財務官僚の中でも特別に頭の良い人だと聞こえている。後者である可能性も捨てきれない。だとするなら、なかなかの役者でもある。 
まずはデフレ脱却を
財政健全化はその後
(1)「物価」及び物価に対する世間の「物価期待」にはある程度の粘着性があり、(2)経済環境としては、マイルドなインフレ状態が定着していることが望ましいため、(3)「まず」デフレ及びデフレ期待が定着した状態を脱して物価が上昇する状況を経済政策で作ろう、という優先度の設定がアベノミクスの根本的な考え方だ。 
加えて、(4)デフレ脱却は名目GDPの成長を通じて財政再建にもプラスだ。 
従って、時間的順番として、デフレ脱却を目指すことが先であり、財政再建は後だ。その方が上手くいく。 
大まかに、どのような政策が有効かは、(A)低インフレ・デフレ&ゼロ金利であるかないか、(B)完全雇用か、で場合分けして考えるべきだろう。 
完全雇用ではないが、マイルドなインフレがあってゼロ金利ではないとき、景気回復による雇用改善を目指すには、金融政策で実質金利を下げることが効果的だ。ゼロ金利ではないマイルドなインフレ状態は、金融政策が効きやすい。こうした環境を作ることは、デフレ脱却の目的の1つでもある。 
しかし、低インフレまたはデフレの状況下で、政策金利がゼロになってしまうと、通常の金融緩和だけ(短期国債の買い入れ)を行っても、金利は低下しないし、貸出増に繋がる資金需要が乏しい一方で、金融機関は日銀準備預金に資金を置いておくことに機会費用が発生しないので、金融緩和の効果が乏しい。 
金融政策には、量的緩和のメッセージ効果、インフレ目標提示による将来の緩和継続の約束、社債や株式・不動産など信用リスクのある資産の買い入れなどの純粋な金融政策とは言い難いものも含めた、追加的な工夫が必要になる。 
こうした場合、需要追加的な財政政策(資源配分の効率とフェアネスの観点では減税や給付金がいいと思うが)で資金需要を発生させることが効果的であるし、逆に財政を引き締めてしまうと資金需要の縮退と物価下落への圧力が働く。先般の消費増税によるデフレ脱却へのマイナス効果は、この失敗のパターンだ。 
完全雇用状態といえるほど景気が良い場合、問題が起こるならインフレの行きすぎであり(当然、自然な金利はゼロではないはずだ)、こうした環境下では、財政再建を加速することが可能だし、インフレが行きすぎている場合は金融引き締めが効果的だ。 
なお、好景気で完全雇用、かつ低インフレ&ゼロ金利という状況は、おめでたい状況かと思えるが、そもそも起こりにくい。 
黒田総裁は、デフレ下での増税がデフレ脱却の障害になって、そもそもの政策の優先順序(最優先はデフレ脱却)に反することを理解されているのだろうか。この点に深く納得されているなら、財政再建強硬派の「演技」をするくらいは構わないだろう。そして、安倍首相の側でも、それは演技なのだと分かっているならさらに良い。 
金利急騰のリスクはある
一部金融機関の破綻もあり得る
ところで、「金利急騰リスク」はあるのか、また、あるとするならどのような形で表れるものなのか。 
将来、金利急騰のリスクは「ある」と筆者は考えている。そして主な影響は、将来に一部金融機関の破綻が起こることではないだろうか。 
内閣府が作成した 「中長期の経済財政に関する試算」(2月12日、経済財政諮問会議提出資料1)によると、経済の再生が順調に進む「経済再生ケース」では、長期金利が2016年度には1.8%、2017年度には2.3%に上昇すると予想されている。現状の延長に近い「ベースライン ケース」でも、2016年度に1.5%、2017年度に1.7%と推移して、2018年度には2.0%と、2%に達することが予想されている。
これらの数字は、昨年夏に発表された前回の試算よりも、物価・金利とも上昇が後ズレしているが、いずれにせよ、日銀が購入を止めて長期国債市場が自然な価格形成に近づいた時に、金利が跳ねる可能性がある。 
当面は、日銀が長期国債市場をほぼ完全に制圧しており、長期金利の大きな上昇はあるまいが、物価目標達成が視野に入り、あるいは安倍政権の弱体化など事情が変わって、日銀が長期国債購入を止めるようにでもなると、10年国債で2%近辺への利回り急上昇は、起こっても不思議ではない。 
年金や生命保険会社などの運用需要から、長期金利が実質ベースでどんどん上がっていくことは考えにくいが、短期間で1%〜2%上昇することは、2016年後半くらいからあってもおかしくないと想定すべきだろう。 
金融機関に蓄積されるリスク
預金者はそろそろ警戒を
現在の長期金利は不安定だが0.4%前後と、特に地銀や信用金庫など、貸出が伸びない金融機関にあっては、さすがにこの水準で国債を買って資金運用しても、経費を賄うに不十分な状態になっているはずだ。 
そして、彼らの目下の苦境は、外資系証券や大手証券などの証券会社にはビジネスの大チャンスである。すぐには顕在化しないリスクを取らせながら期間当たりの利回りを少々乗せたボラティリティを売る方向のポジションの仕組み商品や、外貨建ての債券、いわゆるオルタナティブ運用の商品などが、運用難の地銀や信金などのポートフォリオに増えているに違いない(共通点は実質的な手数料が厚いことだ)。 
長期金利の上昇、あるいは、金利上昇に伴う円高への転換など、直接のきっかけになるイベントは様々だろうが、長期金利を巻き込んだ超低金利下で蓄積されたリスクポジションが、将来裏目に出て損失を発生し、金融機関の経営を圧迫する可能性がありそうだ。 
もちろん、国債及びその他の固定利付き債券の利回り上昇(価格下落)が、金融機関のバランスシートを傷める効果も相当にあるはずだ。 
日銀としては、最も避けたい事態である「金融システム不安」すなわち、預金を受け入れる金融機関の破綻が、長期金利が急騰するような事態では発生しかねない。これは日銀にとって、自分の庭先での火事の発生のようなものだ。 
 そう考えると、黒田総裁が将来の国債利回り急上昇の可能性に神経質になるのも、もっともな話だ。 
当面は、こうした問題が無いだろうが、しかし、ここで述べた程度の事態は少々のきっかけで、わりあい短期間に起こり得ると考えておかねばなるまい。来年くらいから、要警戒の時期に入ると考えるべきだろう。 
運用に不安のある地銀や信金などに預金をお持ちの読者は、財産の保全に気を配るべきだろう。「預金保険で保護されるのは、一人につき、一行当たり1000万円まで」という基本を忘れずに、お金の置き場を考えていただきたい。 
http://diamond.jp/articles/-/67400 

2015年2月25日 加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
監査法案の提出で“宣戦布告”
米政界で最も注目の男vsFRB
「ランド・ポール上院議員とFRB(米連邦準備制度理事会)が戦争状態になっている」(CNNマネー、2月11日)。彼は共和党の2016年大統領選挙の有力候補者の1人であり、昨年、このコラムでも紹介したように、10月27日号の米「タイム」誌の表紙で「米国の政界で最も興味深い男」と紹介された人物である。


アイオワ州での演説で、米連邦準備制度理事会(FRB)への監査強化を主張したランド・ポール上院議員
Photo:AP/AFLO
 ポール議員は、2月6日(金)にアイオワ州での演説でFRBへの監査を強めるべきだと“宣戦布告”した。彼が提出したFRB監査法案は一部の民主党議員も含め、30人が共同提案者となっている。FRBは既に米政府監査院(GAO)や他の組織に財務状況を監査されている。しかし、ポール議員の法案はFRBの政策判断の是非までもGAOに監査させ、議会のFRBへの支配力を強めようとするものである。

 下院でも同様の法案が提出されており、共和党を中心に100人を超える議員が共同提案者になっている。数年前にも同様の動きがあったが、民主党優位の上院で否決された。しかし、今年から上院、下院共に共和党が優位となる。

 強い危機感を抱いたFRBは即反論を開始した。2月9日(月)にジェローム・パウエル理事が、この法案は中央銀行の独立性を侵害すると全面的に反対する講演を行った。ダラス連邦準備銀行のリチャード・フィッシャー総裁など、多くの地区連銀総裁がそれを援護射撃するスピーチを展開している。

 米国の“良識的”なコメンテーターの大半はFRB側に付いて、ポール議員の主張を批判している。確かに金融市場の観点から言えば、この法案には行き過ぎの面がある。透明性向上のために、FRB職員の私的な電子メール等も全て公開させるという。そうなれば、職員の率直な意見交換はしにくくなる。加えて、水面下で議論している戦略についての情報も公開していったら、世界の金融市場はその都度大騒ぎとなり得る。

 仮に上院を通ったとしても、大統領は拒否権を発動するだろう。よって、現実にFRBの独立性が剥奪される確率は低いと思われる。しかし、注目されるのはこの議論の背景だ。前述のようにポール議員はアイオワ州でFRB批判の演説を行った。同州は大統領選挙全体を左右し得る重要な州だ。保守派が多い中西部には、FRBの量的緩和策に不信感を抱く有権者が多いと同議員は計算したようだ。

 一昨年全米で行われた世論調査では、共和党支持者の83%がFRBへの監査を強めるべきだと回答していた。大きな政府を嫌う人々は、市場から証券を大規模に購入し続けてバランスシートを膨張させたFRBに生理的嫌悪感を抱いている。また、FRBが大規模に購入した証券に将来損失が発生したら、納税者に被害が及ぶ恐れがあるため、量的緩和策は事実上財政政策の領域に入っているといえる。だとすると、議会が監視を強めるのは当然だという考えもポール議員にはあるだろう。

 彼は、FRBのレバレッジ比率は破綻したリーマン・ブラザーズの3倍になっており、民間金融機関なら存続不可能な状態だと主張している。中央銀行と民間金融機関をひとくくりにはできない。

 しかし、日本銀行や欧州中央銀行(ECB)も含め、量的緩和策が世界的にニューノーマルになったこの時代において、中央銀行はその財務の健全性、リスクを国民にどのように説明すべきか。この議論はそんな課題を提起していると思われる。

(東短リサーチ取締役 加藤 出)
http://diamond.jp/articles/-/67413


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