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2015年02月24日
少し前の話になってしまいましたが、2月9日に2014年通年の国際収支速報が発表されました。単なる目安ですが2014年の年間平均為替は1ドル=105.95円で、2013年の97.60円、2012年の79.79円からさらに円安となった年でした。
その中で貿易・サービス収支、経常収支、・日本への資金流入、日本からの資金流出が、どのように変化していたのかを見極めておく必要があります。
2014年通年の貿易・サービス収支は13兆4569億円と過去最大の赤字で、2013年の12兆2521億円の赤字、2012年の8兆3041億円の赤字から、円安でもますますの赤字拡大となっています。
2014年の経常収支は2兆6266億円の黒字で、2013年の3兆2343億円の黒字、2012年の4兆6835億円の黒字から減少が続いています。日本の経常収支の黒字ピークは2007年の24兆9490億円で、たった7年で約10分の1になってしまいました。
それでも拡大する貿易・サービス収支の赤字を補えているのは所得収支(2014年からは第一次所得収支)の黒字が拡大しているからで、2014年は18兆712億円と過去最大の黒字で、2013年の16兆4755億円の黒字、2012年の14兆1322億円の黒字から、増加が続いています。円安で海外からの受取配当・利息が膨らんだ影響もあります。
ここまでが経常収支で、ここからが資金の流入・流出を集計した金融収支です。2013年までは資本収支と呼んでいましたが同じものです。
金融収支の項目には直接投資・証券投資(株式とファンド・中長期債・短期債)・金融派生商品・その他投資・外貨準備増減がありますが、ここでは2014年と2013年の直接投資と証券投資(株式とファンド・中長期債)を取り上げ、それぞれ資金流入と資金流出の両面からみてみます。
2014年の本邦企業による海外直接投資は12兆5929億円で、2013年の13兆3860億円に比べてわずかに減少しているものの、依然として(円安進行にもかかわらず)高水準となっています。
逆に2014年の海外企業の日本への直接投資は1兆196億円と、2013年の3624億円からさすがに増加していますが、円安だけでは日本に直接投資する魅力が増したとはいえないようです。
直接投資の差し引きでは、2014年は11兆5733億円の資金流出で、2013年の13兆237億円の資金流出より減少したものの、依然として高水準です。
証券投資のうち、2014年の本邦投資家による海外株式・ファンド投資は6兆6743億円の取得超過(資金流出)で、2013年は逆に6兆6263億円の処分超過(資金流入)でした。つまり本邦投資家は2013年に売却していた海外株式などを2014年になって「さらに高値・さらに円安」で大幅に買い戻したことになります。
逆に海外投資家による国内の株式・ファンド投資は、東証が集計する上場株式だけの数字とは少し違い2014年は3兆7365億円の取得超過(資金流入)で、2013年の16兆6919億円の取得超過(資金流入)から大きく減少しました。
また2014年の本邦投資家による海外の中長期債投資は4兆4663億円の取得超過(資金流出)で、2013年は逆に7748億円の処分超過(資金流入)でした。これも本邦投資家は2013年に売却していた海外の中長期債を2014年になって「さらに低利回り・さらに円安」で大幅に買い越したことになります。
さて最も実感とかけ離れていたのが海外投資家による本邦中長期債(ほとんど日本の中長期国債)投資で、2014年は何と12兆3535億円もの取得超過(つまり資金流入)で、2013年の6826億円の処分超過(資金流出)から様変わりとなりました。
日銀の集計でも外国人による国債保有額(短期国債を除く)は、2013年末の34兆3000億円から2014年末には史上最高の46兆円となっていますが、2014年末の国債発行残高(短期国債を除く)は874兆円もあるため、外国人の国債保有比率はまだ5.2%です。
つまり2013年と2014年の日本の国際収支統計では、大幅に減少した経常収支の黒字に対し本邦企業の対外直接投資と本邦投資家の証券投資が依然として高水準で、その結果の巨額資金流出を2013年は海外投資家の日本株投資、2014年は海外投資家の日本国債投資による資金流入で埋め合わせていたことになります。
やや「実感」と違っていたのではありませんか?
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