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FRB(米連邦準備理事会)本部 photo Getty Images
FRBが利上げの必要性を示す可能性
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42210
2015年02月23日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
2月18日、FRB(米連邦準備理事会)は、1月に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨を公表した。要旨の特徴は、景気判断が上方修正される一方、低金利策の必要性を説く“ハト派”の姿勢が確認されたことだ。
FRBがハト派色を維持している最大の理由は、インフレ懸念が低迷していることに加えてドル高へのけん制の意味があるかもしれない。足元で市場の利上げ期待が高まっているだけに、今後、FRBのハト派スタンスがどう変わるのかは冷静に考えるべきだ。ドル高が米景気回復のペースを鈍化させるリスクにも注意が必要だろう。
■緩和策の正当化に苦心するFRB
足許、市場は利上げ期待を高めている。一方、FRBは低金利環境を正当化しようとしている。ハト派な議論が目立った要旨の内容は、米金利の低下、ドル高圧力を生むかと思われた。しかし、ギリシャ懸念がある中でも金利の上昇圧力とドル買いの動きは根強い。
景気判断の上方修正を考えると、FOMCでの景気認識に特段の違和感はないといえる。雇用環境の改善等に支えられて2015年上期の景気判断は上方修正された。エネルギー価格の下落は消費者支出の増大を支えている。同時に、FRBは利上げに対する慎重な姿勢も維持している。
堅調な景気判断と、低金利策の重視という関係には、矛盾を感じる方もいるはずだ。景気判断が上方修正されれば、金融政策正常化の重要性はより厳密に論じられてもいい。そうした議論がストレートに打出せない背景にはドル高への懸念があるのだろう。
■ドル高抑制というFRBの課題
ここでFRBが低金利環境の必要性を低下させれば、ドルはさらに買われやすい。それは、米景気を圧迫するだろう。要旨では見通しの上方修正にもかかわらず、ドル高の影響から中期の成長期待は殆ど変っていないことが示された。これはドル高へのけん制だ。
つまり、ドル高抑制がFRBの重要課題の一つに挙がっている可能性は排除すべきではない。当面、ギリシャ懸念などの国際的な金融情勢、低インフレ環境を拠り所に、低金利策の必要性を訴える可能性がある。FRB内には、足許のドル高を落ち着かせ、よりしっかりとした回復を定着させたいという動機があると考えられる。
しかし、市場は雇用統計などを追い風に、利上げ期待を高めている。指標の回復が続けば、FRBはスタンスを変え、利上げの必要性を示すかもしれない。今後の政策がデータ次第であるという議論を額面通り受け取れば、指標の結果次第でFRBがハト派のスタンスを転換する可能性は排除できないからだ。
投資家は低金利に慣れ親しんでいる。そのため、金利上昇は怖い。同時に金利上昇期待があるがゆえにドルを買う。いずれも景気へのマイナス面を内包している。そして、期待先行のドル買いは、何らかの材料をきっかけに、相場の流れを急変させやすい。いうまでもなく、それは米国の景況感を悪化させる。
景気判断は引き上げられたが、政策に決められた経路はない。足許の通貨切り下げ競争の中、ドル高のマイナス面は意識されやすい。そのため、利上げもしづらい。その環境は持続可能ではないだろう。更なるドルの上昇が相場の調整リスクを高める可能性は慎重に考えた方がよいだろう。
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