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円安で国内生産回帰の幻想 トヨタ社長「そういう考えはない」、キヤノンは無人工場
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150223-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 2月23日(月)6時0分配信
日本企業が中国など海外に移した生産拠点を、国内に戻す動きが広まっている。円安は国内生産品の輸出競争力を高める半面、海外生産品の輸入コストを押し上げる。円高で製造業の生産拠点の海外移転が進み日本は空洞化したといわれたが、円安になった今、工場は日本に戻ってくるのだろうか。
国内回帰を鮮明にしているのが電機メーカーだ。パナソニックは、中国など海外で生産し日本で販売する家電製品約40機種を国内生産に切り替える方針だ。洗濯機は袋井工場(静岡県)、電子レンジは神戸工場(兵庫県)に移管する。すでに家庭用エアコンは草津工場(滋賀県)へのシフトを始めている。
シャープは昨年12月から、八尾工場(大阪府)で家庭向けの空気清浄機とイオン発生機の試験生産を始めた。中国で生産していた空気清浄機や冷蔵庫の一部を八尾工場に戻すためだ。シャープは家電や複写機など、完成品の多くを海外で生産している。
ダイキン工業は家庭用エアコンの一部の生産を、中国から草津工場(滋賀県)に移管を完了した。
TDKは、中国で生産している電子部品の3割を段階的に国内に戻す。中国で25の生産拠点を持ち、売上高全体の4〜5割程度が中国での生産品とみられている。このうち、スマートフォンや自動車向け電子部品の生産を順次国内生産に切り替える。秋田県や山梨県にある既存工場の遊休施設を活用する。
キヤノンは約4割の国内生産比率を、2〜3年をメドに6割まで引き上げる方針。ホンダは東南アジアでつくる日本向け二輪車の一部生産を、日本に移すことを検討中だ。
●既存の国内工場を活用
製造業が国内回帰を進めるのは、円安により、海外生産した製品を輸入すると採算が取れなくなったからだ。大手メーカーは1990年代以降の円高進展に背中を押されて、生産拠点を次々と海外に移転した。部品メーカーもこの動きに追随し、国内で販売する製品についても海外で生産し、それを逆輸入してきた。円安が進んだため、生産の一部を国内に切り替えたほうが有利になった。
しかし、ここ2年ほどの円安で、国内で生産しても採算が取れるようになってきた。ただし、これは工場を国内に新設して海外工場を閉めるという本格的な国内回帰を意味せず、あくまで日本市場向けの生産の一部を国内に戻すだけである。既存の国内工場を活用して生産するので、新工場をつくるわけではない。
海外の生産拠点から撤退するわけではなく、市場に近い国で生産する基本方針に変わりはない。中国やインドなど成長する市場は現地で生産したほうが輸送コストがかからず、その国の消費者ニーズに合った製品を開発しやすいからだ。
●為替の影響を受けない「地産地消」
円安によって国内生産を増やす動きは相次ぐものの、大型の設備投資を伴う国内回帰が本格的に進む可能性は低いとみられている。トヨタ自動車の豊田章男社長は、生産の国内回帰について「我々にそういう考えはない」と語り、九州で生産している高級車レクサスの一部を今夏以降、米国工場に移す計画に変更はないと明言した。米国で発売する自動車は米国で生産する方針だ。
キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長は、生産の国内回帰を進める理由について「生産現場の人材の質は日本が圧倒的に高い」と指摘している。同社は円安になる前から、新製品の国内生産にこだわってきた。人件費に影響されにくい、ロボット主体の無人工場のノウハウがあるからだ。
製造業の製造コストに占める人件費の割合は、25%程度といわれている。部品調達コストや減価償却費、研究開発費が、残りのコストの大半だ。これらの費用は、どこに生産拠点があっても基本的に変わらない。ロボット主体の無人工場であれば、国内に生産を戻しても為替の影響を受けないと判断していることがわかる。
生産の国内回帰を進めるキヤノンの御手洗会長兼社長やパナソニックの津賀一宏社長も、国内回帰を進める一方で全面的に海外拠点から撤退する考えは持っていない。一時1ドル=75円台まで進んだ超円高に苦しんだ製造業は、需要のある地域で必要なモノを生産するという、為替の影響を受けない「地産地消」方式に移行している。
日本で生産するのは日本向け製品のみであり、海外向け製品を製造する工場が日本に戻ってくることはないという見方が強い。
(文=編集部)
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