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ピケティ氏(右)の人気に“便乗して”アベノミクス批判の論陣を張り始めた民主党(コラージュ)
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150222/plt1502221037001-n1.htm
2015.02.22 夕刊フジ
世界的なベストセラー「21世紀の資本」を書いた仏経済学者、トマ・ピケティ氏(43)。格差問題や富の再配分に焦点を当て、経済成長のあり方を分かりやすく解説したことで注目された。ピケティ氏の人気に“便乗”して、野党や一部メディアが安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」を批判するなど、日本でも格差論争が巻き起こっている。
■異例のベストセラー
「低成長の中で格差が広がっている」
1月末、東京・内幸町の日本記者クラブ。来日したピケティ氏はフランス語のアクセントが残る英語でこう語り、足踏みを続けている日本経済について警鐘を鳴らした。
ピケティ氏によると、日本では、上位10%の高所得者層が全所得の約40%を占有。米国よりはマシだが、欧州よりも格差は広がっているという。
日本の格差是正に向けた措置として、ピケティ氏は「若い世代を利する税制改革をするべきだ」と述べ、資産に対する累進課税の強化や低所得者層への社会保障の拡充を訴えた。また、消費税増税について問われると、言葉は少ないながらも「日本の成長にはあまりいい結果を生んでいない」との見解を示した。
主催者によると、この日集まった報道関係者らは約300人。フランスから迎えたゲストでは、ミッテラン元大統領、シラク元大統領に次ぐ動員記録だという。数日間の日本滞在中、ピケティ氏は各メディアのインタビューや東大での特別講義などを精力的にこなし、売れっ子ぶりを見せつけた。
「21世紀の資本」では世界中の研究者と共同で、各国の過去の税務データを集め、所得と資産の格差がどのように推移してきたのかを分析。株式や預金、不動産といった資本の収益率(r)が、所得や産出の年間増加率である経済成長率(g)を上回る「r>g」という不等式を示し、資本主義の下では格差が広がりやすいと警告した。
出版は2013年8月。格差の広がる米国では、リーマン・ショックを引き起こした張本人である金融機関のトップらが高額の報酬を得ていることが批判の的となっていたこともあり、ベストセラーになった。
昨年12月に邦訳版が売り出されると、日本でも新聞やテレビ、雑誌がピケティ氏を取り上げる機会が急増した。日本語版の発行部数は早くも13万部を突破。お堅い経済の専門書としては異例の売れ行きという。解説本も続々と出され、低迷している出版業界からは「救世主のようだ」という声も漏れてくるほどだ。
■仏社会党のブレーンとしての横顔
ピケティ氏は1971年、パリ郊外生まれ。パリ経済学校の設立に携わり、現在は教授を務めている。米マサチューセッツ工科大で教えた経験もあるエリートだ。
欧米メディアなどによると、2007年の仏大統領選では、社会党の女性候補、ロワイヤル氏の経済顧問を務めた。政治的にはリベラル主義者として知られているようだ。
その影響もあるのか、保守派を中心に、ピケティ氏に批判的な見方も少なくない。
海外では、英経済紙フィナンシャル・タイムズがデータの扱い方を問題視。また、米ハーバード大のグレゴリー・マンキュー教授は「r(資本収益率)を下げようとすれば、投資が鈍り、資本家も労働者も貧しくなる」などと批判した上、「ピケティ氏は金持ちが嫌いなようだ」と攻撃し、話題となった。
年明けには、ピケティ氏はフランスの最高勲章の受勲候補に入ったが、「仏政府は勲章の授与よりも経済成長の回復に集中すべきだ」としてこれを辞退したことが伝えられた。現オランド政権とは一定の距離を保っているようだ。
■格差論争、日本に上陸
ピケティ氏をめぐる論争は日本にも飛び火している。
1月29日の衆院予算委員会。民主党の長妻昭代表代行は「21世紀の資本」に触れた後、経済協力開発機構(OECD)の調査を示しながら「所得格差が拡大すると経済成長が低下する。税の再分配機能を強めていくべきだ」と追及し、論戦がヒートアップ。
首相は「ピケティ氏も成長は否定していない」「しっかり成長して、成長の果実がどのように分配されるかということが大事だ。成長せずに分配だけを考えていけば、じり貧になっていく」などと応酬し、アベノミクスの推進によって経済成長を目指す考えを改めて強調した。
4月の統一地方選、来年7月の参院選と、今後も選挙はめじろ押しだ。こうした中、政権を攻める材料に事欠いていた民主党は、ピケティ・ブームに乗っかる形で、格差問題を前面に打ち出してアベノミクスに対抗する構えだ。一般の労働者や若者の支持を得たい思惑が見え隠れする。ピケティ氏来日中には、岡田克也代表が懇談の機会を設ける念の入れようだ。
朝日新聞など一部メディアもピケティ氏を好意的に取り上げ、格差論争を展開している。
ただ、いま起きている格差論争には少し違和感を覚える。ピケティ氏が主張する、資産を多く持たない若い世代の税負担の軽減化や、多国籍企業に有利な法人税制への切り込みにはうなずける。
だが、ピケティ人気に便乗したアベノミクス批判論者の中には、「格差」についてことさら主張し、分配ばかりに目が向いているものが多い。
また、国内の景気回復が遅れている大きな要因の一つは、昨年4月の消費税率8%への引き上げに伴う駆け込み需要の反動減だが、そもそも消費税増税には民主党も賛成していたはずだ。
アベノミクスが始まってから、雇用環境の改善も進んできた。平成26年の平均有効求人倍率は0.16ポイントの上昇となり、23年ぶりの高水準だった。26年平均の完全失業率も0.4ポイント改善した。
国内外でアベノミクスの成否に対する関心が高まっているだけに、日本経済の成長のあり方や格差是正に向けた具体的な取り組みについて、国民的な議論が深まることを期待したい。
とはいえ、「21世紀の資本」は700ページを超える分厚いハードカバー本で、値段は税込5940円とお高い。アベノミクス批判論者が読んでほしいであろう一般の労働者や若者には手を出しにくいかもしれない。(米澤文)
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