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【日本の解き方】NHK「預金封鎖」特集への疑問 なぜインフレ目標に言及しないのか
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150221/dms1502210830003-n1.htm
2015.02.21 夕刊フジ
16日に放送されたNHKの「ニュースウオッチ9」で、「“預金封鎖”もうひとつのねらい」という特集があった。
敗戦直後の預金封鎖には財政を立て直す狙いがあったという内容で、特集の最後にはキャスターが「今の日本と当時と安易に重ね合わせるわけにはいかない」としながらも「終戦直後の出来事と片付けられない」「財政健全化は常に肝に銘じなければならない」などとコメントしていた。
預金封鎖とは銀行預金などの金融資産の引き出しを制限することで、69年前の1946年2月16日に実施された。
当時の預金封鎖は、猛烈なインフレ対策として強制的に貨幣の流通速度を減らすためといわれていたが、番組では「財産税を課税する必要からだった」という当時の大蔵大臣、渋沢敬三氏の証言記録が紹介された。
筆者も大蔵(現・財務)官僚であったので、預金封鎖の事実は知っていた。若いときには、戦後の財政史をよく調べたものだが、『昭和財政史−終戦から講和まで』(全20巻)という資料でよくまとめられており、さらに必要があれば、その元資料も保存文庫という資料室で調べることができた。
戦後の財政史を勉強した人には、預金封鎖が財産税のためであることは以前から知られていたことである。と同時に、当時の猛烈なインフレのために、財産税があまり意味がなかったこともわかっている。
番組では財産税について「国民が持つ10万円超の預金や不動産に最高90%課税をし、敗戦による国の借金を国民に負わせる異例の措置」と説明され、400億円の収入があったとしている。
1946〜49年のインフレ率を東京都の小売物価指数でみれば、それぞれ514%、169%、193%、63%だった。このため、一般会計歳入の名目値は、1189億円、2145億円、5080億円、7586億円と増えている。
一方、財産税は46年度以降、数年間で400億円程度が徴収されたが、その間の猛烈なインフレによって、実質的には財産税による税収はたいした金額にはならなかった。預金封鎖は2年間ほど行われたが、財産税による徴収よりインフレによる目減りのほうが大きかったのだ。
インフレによる実質的な資産の目減りを、経済学の世界では「インフレ税」と呼ぶ。税法による課税ではないが、インフレが実質的な税と同じということを意味する。インフレは、政府債務の実質的な削減にもなる。戦後の史実に学ぶ教訓としては、精緻な税制を構築するより、インフレ税のほうが効果があるということだ。
もちろん戦後のようなハイパーインフレになっては国民生活が混乱する。しかし、今ではもっと良い政策がある。現在先進国で例外なく行われているインフレ目標は、ハイパーインフレにならないような仕組みだ。同時に、債務の実質的な削減にも役立つ。
預金封鎖と財産税よりも、今はインフレ目標のほうが優れた政策であるのに、なぜNHKは報道しないのだろうか。財政健全化を強調するのであれば、インフレ目標にも言及するべきだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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