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忠誠心に欠く「中国人」…中国から逃げ出し日本に戻る製造業、地方創生に追い風
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150218-00000503-biz_san-nb&ref=rank
SankeiBiz 2015/2/20 12:05
中国に生産拠点を移した日本企業の「国内回帰」の動きが広がっている。パナソニックやシャープ、キヤノン、ダイキン工業、TDKなどが海外生産する製品や部品の一部を国内に切り替える方針を打ち出している。円安の加速や人件費や電気代の高騰で、「世界の工場」と呼ばれてきた中国での生産メリットが低下していることが背景にある。地方創生を目指す政府にとっても企業の国内回帰は大きな援軍となりそうだ。ただ、大規模投資には“及び腰”なところが少なくなく、日本国内の「ものづくり」が本格化するかは見通しにくい。このため、優遇策など政府の“援護射撃”を求める声が企業サイドから高まっている。
■パナ、シャープ、キヤノン続々…
家電大手のパナソニックは、中国で生産し、日本で販売する製品を国内生産に順次切り替える。縦型洗濯機を静岡県袋井市の工場、電子レンジを兵庫県神戸市の工場に生産移管する方向で検討している。すでに家庭用エアコンは滋賀県草津市の工場への移管を一部で始めている。為替相場が1ドル=120円前後まで円安が進み、海外で生産した製品を輸入すると採算がとれなくなっているという。このため同社は中国を含め海外で生産する家電約40機種を国内に切り替える方針だ。
一方、シャープの高橋興三社長も先月、テレビや冷蔵庫の生産の一部を栃木県矢板市や大阪府八尾市の工場に移す方向で検討していることを明らかにした。高橋社長は「1ドル=120円で(国内生産に)移した方がよいものは出てくる。工程数の少ないものから移したい」と話す。
キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長も、円安を背景に今後3年をめどに生産額ベースで国内生産比率を現行の43%から60%程度に高める方針を示した。1〜3年周期で、事務機などの現行機種を減産し、新機種製造へと切り替えるが、このタイミングで海外生産を減らし、日本で新機種を生産する体制にするという。
御手洗会長は「工場の自動化や内製化で生産効率を高めてきた成果が出てきており、今こそ日本で製造を強化するタイミング」と指摘する。さらに「生産現場の人材の質は日本が圧倒的に高い。優れた技術者により、(国内の)生産力が上がる」と強調する。
電子部品大手のTDKも中国で生産する部品の3割を段階的に国内に移管する方向で検討に入った。TDKは、中国で25の主要生産拠点を持ち、売上高全体の4〜5割程度が中国生産とみられる。このうち、スマートフォンや自動車向け電子部品の生産を順次国内生産に切り替える。
同社によると、中国の工場の従業員の定着率が落ちているほか、人件費も高騰している。こうしたリスクを軽減するため、秋田県や山梨県にある既存工場の遊休施設を活用する方向で検討しているという。
このほかダイキン工業は家庭用エアコンの一部生産を中国から滋賀県草津市の工場への移管を進めているが、さらに台数を増やす方針だ。ホンダも国内販売する原付きバイクの一部を熊本県大津町の工場への移管を検討している。日産自動車も円安で国内生産のメリットが大きいとし、日本からの輸出を増やすという。
■忠誠心に欠く「中国人」
日本の製造業の国内回帰は円安の影響が大きい。かつては過度の円高で、製造業の海外生産を加速させたが、今は円安となり、日本に輸入する場合、マイナスになるケースも出ているという。このため、日本で消費する製品を国内に戻す動きが目立っている。
さらに、ここ数年で中国や東南アジアの最低賃金が上昇。現地では給与や社会保険料も上昇を続けている。日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば、ここ約10年間で日本の対中投資企業の平均月給は米ドル建てで2倍となり、現地生産のメリットは薄れてきているのが実情だ。
また、「特に中国では雇用を維持するのが難しくなっている」(電機メーカー幹部)との声も出ている。現地では社員の日本企業への忠誠心が低く、突然集団でいなくなるケースもあるという。全体的に工場の賃金が上昇しており、条件が良い所にすぐに行ってしまうこともあるようだ。
■国内の地方創生に追い風
日本企業の中国離れは雇用がなく、財政的にも苦しい日本の地方経済に明るい兆候といえる。工場が新設され、雇用が増えれば、地方が潤うためだ。国内回帰を明らかにした企業には、地方自治体からの問い合わせも多いとの声も聞かれる。
だが、製造業の国内回帰が地方経済の活性化につながるか不透明な部分もある。国内に生産を戻すパナソニックやシャープ、ダイキン工業は新たに工場を作らず、既存施設の空きスペースにラインを設けて対応する。また工場の自動化や内製化で生産効率を上げるため、期待するほど雇用が拡大しない恐れもある。
ただ、過度の円高が解消されて、日本企業が国内に生産を戻す動きは確実に出ている。この動きを加速させるためには政府の施策がカギを握りそうだ。
国内では東日本大震災以降、全国の原発の稼働が止まり、電気代が高騰している。法人税率も高く、まだ海外の方が魅力的と思っている日本企業も多いという。
ある電機メーカーの首脳は「電気代や工場新設の優遇措置を与えた、ものづくり特区を作れば、さらに国内に戻る会社も増える」と話す。政府が生産拠点として日本が魅力的と思える施策を打ち出すことで、さらに製造業の国内回帰が加速し、地方創生につながる可能性も出てきそうだ。
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