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ワタミ新社長、抱負は「普通の会社」って大丈夫か…深刻化する売り上げ減と赤字拡大
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150220-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 2月20日(金)6時1分配信
居酒屋チェーン大手ワタミは3月1日付で清水邦晃常務が社長に昇格する。桑原豊社長は15年3月期に2期連続の最終赤字となる業績不振の責任を取り、代表権のない取締役に退く。
清水氏は兵庫県出身で、明治大学在学中にワタミの居酒屋でアルバイトをしていた。1991年に大学を中退し、そのままワタミフードサービス(現ワタミ)に入社。44歳と若いが、グループの介護事業を軌道に乗せるなどの実績を買われ、経営再建を託された。まず昨年10月、居酒屋事業の中核子会社ワタミフードサービス社長に就任し、立て直しを急いだ。ワタミフードサービスと宅配事業のワタミタクショクなど、3社を統合することを決定した。
ワタミは15年3月期の業績予想を大幅に下方修正した。売上高は当初計画の1700億円から1540億円に減額となり、前期実績の1631億円を下回る。当期利益は20億円の黒字から30億円の赤字に修正。前期(49億円の赤字)に続き2期連続の最終赤字となる。
赤字の原因は、主力事業である居酒屋事業の低迷だ。居酒屋を含む国内外食は当初686億円の売り上げを計画していたが、632億円に下方修正。営業利益は3億円の黒字としていたが、21億円に赤字は膨らむ見通しだ。昨年4月の消費増税以降、特徴のある業態の店舗を選ぶ傾向が消費者間で強まり、総合居酒屋の「和民」「わたみん家」は苦戦に陥った。さらに元社員の過労死裁判などを通じてワタミにブラック企業とのイメージが定着し、業績悪化が加速した。
消費増税後、国内の既存店売上高は前年割れが続く。4〜12月に全店の1割強に当たる70店を閉鎖したため、12月の全店売上高は前年より14.8%減少した。
新社長に就任する清水氏は、1月23日付日本経済新聞のインタビューで、ブラック企業というイメージの払拭を最優先課題に挙げた。過酷な労働環境という世評が居酒屋の客数減や介護施設の入居率低下、食事宅配販売の伸び悩みにつながったと分析。イメージを回復させるために、「残業の削減や休日の取得を徹底して、きちんとした普通の会社にする」と決意を語った。
上場企業新社長の抱負がブラック企業イメージの払拭とは前代未聞であり、それほどダメージは大きかったということだ。
●進まないビジネスモデルの転換
現在のワタミにとって深刻なのは、創業者である渡邉美樹・前会長が打ち出したビジネスモデルの転換が機能していないことだと指摘されている。政界に軸足を置いていた渡邉氏は12年、中期経営計画策定を主導するとの理由で常勤取締役に復帰。13年5月、新しい中計を発表すると再び取締役を退いた。
新中計は5年後の18年3月期に連結売上高を2700億円、13年3月期実績(1577億円)より7割も伸ばすという強気の見通しを立てた。成長の原動力となるはずだったのが、高齢者向け宅配弁当(宅食)事業。13年3月期の売上高388億円を5年後には2.8倍の1100億円に伸ばす。居酒屋など国内外食事業は733億円から15%増の850億円、有料老人ホームなどの介護事業は388億円から550億円に引き上げる。居酒屋主体から宅食を柱とするビジネスモデルへ転換を図るものだが、遅々として進んでいない。
宅食事業の15年3月期の売上高は当初470億円を計画していたが、405億円に下方修正した。客数が減ったためだが、13年10月には1日28.9万食の宅食件数があったが、14年になると新規参入が相次ぎ、競争が激化。14年12月には1日24.6万食まで減った。中計を策定した1年前の水準に逆戻りしたわけだ。
中計の破綻が現実となった今、渡邉氏が打ち出したビジネスモデルは根本的な見直しを迫られている。
(文=編集部)
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