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ピケティ氏で話題の格差問題だが、いまや資本家も搾取の対象に
【経済快説】ピケティ氏の著作が話題だが…資本家も今や「カモ」状態に
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20150219/ecn1502191140006-n1.htm
2015.02.19 夕刊フジ
トマ・ピケティ氏の『21世紀の資本』(みすず書房)が話題だ。同書は、長期間・広範囲にわたるデータを元に、「r(資本収益率)>g(経済成長率)」なので、資本の持ち主がますます豊かになって、資本を持たない労働者との格差が拡大していると指摘する。
説明は別の機会に譲るが、r>gは金融理論的には当然のことなのだが、問題は「資本」の実質的な持ち主だ。ピケティ氏が問題視するように資本を相続するケースももちろんあるのだが、現代経済の先端では、資本家自身が「カモ」にされる現象が進行している。
日本の大手企業の経営者の収入が億円の桁に乗るようになってきたのは、過去10年くらいのことだが、米国企業のCEO(最高経営責任者)では、その1桁上の報酬を得る者が少なくない。
また、ヘッジファンドの運用者や投資銀行のトレーダーのような職種でも、円に換算すると数十億、数百億の年収がしばしばある。彼らの報酬は、「適正」あるいは「正当」なものなのだろうか。
筆者の理解では、スーパーCEOやファンドマネジャーは、もともと資本家が彼らを味方に付けようとして、買収しようとした対象だったが、今や、資本家の方をカモにしつつある。
機関投資家・個人投資家の別を問わず、企業の投資家は、なるべく短期間での利益を求める(同じ利益なら早く達成される方がいいのは当然だ)。この場合に、経営者を味方に付けることができると、コストカットで利益を出してくれたり、自社株買いでROE(自己資本利益率)を上げてくれたりするので、好都合だ。株主としての力を行使することに加えて、利益に連動する報酬を経営者に与えたり、自社株のストック・オプションを付与したりすることで、株主の利害と経営者の利害を近づけ、経営者をコントロールしようとした。いわば、株主による経営者の買収だ。
ストック・オプションを持った経営者の利害のポジションは、成功報酬型の手数料で資金を運用するヘッジファンドのファンドマネジャーに近い。両者は共に、出資者の資金で大きなリスクを取ることによって、自分の期待収入を拡大できる。投資銀行のトレーダーも、会社の資本を見せ金にして資金を借りて許される最大限のリスクを会社に取らせて、自分の期待収益を最大化する。
スーパーCEOにとっての株主、ヘッジファンドのファンドマネジャーにとっての投資家、投資銀行マンにとっての投資銀行の株主は、いずれも利用できる「カモ」なのだ。ピケティ氏が気づいているかは存じ上げないが、今や資本家も搾取されている。
現代の資本が必要としているのは、かつての工場設備のようなものではなく、マネジメントや世間の注目などであり、勝者はその持ち主なのだ。 (経済評論家・山崎元)
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