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日銀・黒田総裁の顔には焦りが滲み出てきた〔PHOTO〕gettyimages
「暴落説」が強まる一方で「株価2万5000円」は本当なのか 全国民必読 日本経済「異変とこれから」【第1部】
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42149
2015年02月19日(木) 週刊現代
何かがおかしい!いったい何が始まろうとしているのか 株・円安・原油安!
これほど先行き不透明な時代はない。先を読み違えれば取り返しのつかない痛手に苦しむ時代ともいえる。自らの身を守るには情報武装するしかない。何が起きるのか。プロたちが激論を交わした。
■日経平均5000円も
日本株は乱高下を繰り返し、マーケットでも楽観論と悲観論が交錯する。何が起きているのか、これからどうなるのか。いちよしアセットマネジメント執行役員の秋野充成氏と、ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表取締役の菊池真氏が意見をぶつけ合う。
菊池 私は日経平均株価が年内に1万円割れまで下落し、最終的には5000円にまで暴落する事態はあり得ると考えています。
秋野 1万円割れというのは大変なことですよ。私のメインシナリオは、逆に今年も昨年同様に株高が続いていくというものです。今年後半に日経平均が2万円を超えて、年末には2万2000~2万3000円をつけてもおかしくない。その先には、いま超強気派の人たちが言っている2万5000円も見えてきます。
菊池 見通しが割れましたね。今日は互いに意見をぶつけ合いましょう。
秋野 そうですね。
菊池 今年の株価を考える際に、まず見ておかなければいけないのは2015年度の企業業績です。結論から言えば、私は日本企業の'15年度業績は減益に陥る可能性があると見ています。
秋野 また意見が分かれましたね。私は、10%内外の増益を予想しています。菊池さんはどうしてそうお考えなのですか。
菊池 国内要因と海外要因2つの側面から見て、'15年度は今年度より厳しい環境になると考えるからです。
まず国内については、昨年4月からの消費増税の悪影響が尾を引き、そのうえ円安による物価上昇に賃金上昇が追い付いていない。われわれ株式市場に身を置く人間は上場企業のことばかりを考えがちですが、上場企業の就業者数の何倍もの人が働く中小企業では、賃上げなどありえない状況が続いています。つまり、'15年度は依然として厳しい。
秋野 なるほど。言いたいことはありますが、続けてください。
菊池 次に海外要因を見ると、ここがより重要なのですが、欧州経済が不透明感を増しているうえ、原油安によってロシアやブラジルに代表される新興国経済が厳しい局面を迎えています。加えて、資源国ではない中国経済なども成長の限界という構造的な問題に直面している。そのため、'15年度の世界経済は今年度より厳しさを増していくと考えざるを得ない。
こうした世界的な景気悪化懸念をマーケットが織り込み始めるのが、ゴールデンウィーク(GW)明けくらいというイメージです。そこで世界的に株式市場の調整局面が訪れ、日本では数ヵ月間で日経平均が1万2000円くらいまで下がってもおかしくない。
秋野 では、私の考えを言わせて下さい。まず国内要因から言うと、今年度は1ドル=120円台の円安水準が続くでしょう。そのため、日本企業は相対的に優位なポジションを維持できると思います。さらに、今後は原油安の効果で消費者物価が上がらないので、実質賃金がプラスに転じる可能性もある。そうなれば、当然消費は上向いてきます。
海外要因では米国の内需が堅調なのが大きい。米国では株高や原油安の恩恵で個人消費が盛んになってくるため、米国の内需を取り込める日本企業に大きくプラスに働くわけです。米国経済に大きく乗っかっている日本はその恩恵を受けやすいわけで、中国や欧州よりも株価が上がりやすい環境にあるといえます。
菊池 確かに、米国経済はいま世界の中で唯一いい状態にあります。今後も米国優位がずっと続いていくし、さらにその優位性はどんどん強まっていくでしょう。しかし、世界経済を牽引するほどの力があるとは思えませんが。
■官製相場には限界がある
秋野 私が日本の景況感がそれほど悪くならないと考えるのは、ここへきて日本企業の国内回帰の動きが出てきているのも大きい。パナソニックが一部の白物家電を国内生産に戻すと報じられていますが、私の取材では大企業だけではなく、中小企業でも同様の動きが出始めています。昨年よりだいぶ雰囲気が変わってきている。1ドル=120円台の円安水準が続けばこの流れが加速し、景気にプラスに働きます。
菊池 そこには反論させてもらいます。確かに企業の設備投資マインドは上がってきていますが、ほとんどの設備投資は海外で行われているのが実態で、パナソニックなどの動きは限定的なものではないですか? そもそも、なぜ企業経営者が海外に設備投資をするかというと、人口が伸びていて拡大するマーケットがそこにあり、なおかつ販売地に近くて輸送費が安く、人件費やインフラコストも安く済むからです。人口減少でコストが高い日本で商売するよりはずっといい。企業経営者は為替トレーダーではないのですから、円安だから日本に工場を移すなどとは考えないでしょう。
秋野 いや、トータルコストで見ると日本で生産したほうがメリットのあるところもあります。確かに日本は人件費が高いですが、現在は人数をそれほど必要としない工場も増えていますから。さらに、国内回帰が増えれば、行き過ぎた円安の歯止め効果にもなります。そうなれば、ドル建てで日本株を買う海外投資家にとっては好機到来。彼らの日本株買いを後押しする材料になります。
菊池 株価を占うのにもう一つ見ておきたいものがあります。それは需給、すなわちどれだけの売り買いが見込めるかということです。いまあちこちで官製相場という言葉が使われ、日本銀行とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が大量の買いを入れるので日本株は下がらないと言われていますが、間違った見方です。
秋野 といいますと?
菊池 まずは「買い方」の問題です。日銀は年間3兆円規模で日経平均などの指数に連動するETF(上場投資信託)を買うことになっていますが、一日に買うのは300億~400億円という限られたロットに過ぎません。また、日銀は'10年12月にETFを買い始める際にルールブックのようなものを示していて、なるべくマーケットにインパクトを与えない形で買うという内容を記している。ですから、株が怪しい動きをしている時でも、日銀が株を猛然と買い進むようなことはできません。
秋野 おっしゃることはわかります。ただ、日銀による3兆円の買いのインパクトは大きいものです。日銀は日経平均、TOPIX、JPX400という3つの指数それぞれに連動するETFを買いますが、日経平均型に投じるのが1・5兆円ほどです。これほど大きな資金が投じられると、ファーストリテイリング(ユニクロ)などの品薄株は大きく値上がりせざるを得ない。結果として、日経平均全体を押し上げることになります。
菊池 ではGPIFはどうですか。GPIFの買い余力は最大5兆~6兆円と巨額です。ただし、GPIFが運用している資金は、良くも悪くもわれわれの年金資産。株価を押し上げ、利回りが悪化するような買い方をすれば当然国民から猛批判を浴びます。調整局面で押し目を買うことは想定されても、GPIFが買うから株価が上がるというのはおかしな議論でしょう。
秋野 それはそうですよね。
■GW明けに何かが起きる
菊池 需給の観点で話を続けると、「数量」の問題もあります。日銀とGPIFの買い余力を合わせると8兆~9兆円ほどある一方で、海外投資家はすでに'13年度と'14年度に合計15兆~16兆円を買い越しています。海外投資家がこの買い越し分を売りに転じれば、官製マネーではとてもじゃないですが支えきれない。そして私は前述したような国内・海外の景気不安要因があるため、海外投資家が日本株の売りに回ってくる可能性があると考えているわけです。
秋野 そこが大きく見方が違うポイントですね。私は今年も海外投資家は日本株を買い越してくると見ています。さきほど申し上げたように企業業績が増益になると見ているのが一つ。また一つには、いま米国のFRB(米連邦準備制度理事会)が6~9月にも利上げに踏み切ると言われていますが、これが年後半まで後ずれする可能性があるからです。そうなれば、日銀緩和に加えて、このほど欧州でECB(欧州中央銀行)が実行を決めた金融緩和のおカネが市場にジャブジャブと溢れることになる。そうした過剰流動性相場にあって、海外投資家が日本株を大きく売り越すというシナリオは考えづらい。
菊池 ただ、欧州の場合は中央銀行の国債買い入れへの抵抗感が強いドイツの存在が大きいので、金融緩和を止める可能性がある。
秋野 それは同意します。どこかで止めるでしょうが、ECBは'16年9月までは緩和をすると明言しています。当面は市場にマネーが回る状況に変わりはありません。
続けて海外投資家が日本株を買い越すと思う理由を話すと、今年はコーポレートガバナンス改革の年になるからです。これまで稼いだ利益を内部留保でため込んでいた日本企業の経営者たちが、攻めの投資や配当、賃上げなどに資金を振り向ける契機になるでしょう。海外投資家からすれば、買いの材料になります。
菊池 確かにコーポレートガバナンス改革は株高要因でしょう。ただ、私はさきほどGW明けくらいから日経平均が1万2000円ほどまで売られると言いましたが、これはあくまで下げの「前半戦」の話です。次に5000円まで暴落する可能性がある下げの局面が「後半戦」です。その暴落劇は、日銀への信認が失われたときに幕開けすると考えています。
というのも、日銀の異次元と言われる金融緩和策が始まって間もなく2年が経ちますが、景気浮揚効果はまったく出ていません。日銀が銀行から国債を買い取っても、銀行はそのカネを民間企業に貸し出すわけではなく、日銀の当座預金に積んでいるだけだからです。
秋野 カネを借りて勝負しようする企業がほとんどありませんね。一方で円安による副作用は確実に出てきていると。
菊池 はい。円安は自動車メーカーなど一部の大企業に恩恵があるだけで、中小企業や生活者には打撃でしかありません。
では、日銀の金融緩和が効果をもたらしているのは何かと言うと、確実に言えるのは長期金利の低利安定です。日本はすでに世界的にも最悪レベルの財政赤字を抱えていて、日本国債を外国人に買ってもらおうと思えば、本来なら3%くらいの金利をつけなければいけない。しかし、金利がそこまで高騰するということは、国債価格が暴落することを意味する。そこで、日銀に国債を引き受けてもらって、金利を低く抑えているわけです。
秋野 確かに、財務省には嬉しい政策になっています。
■海外投資家の動き次第
菊池 つまり、表向きは景気を浮揚させると言いながら、日銀の金融緩和の「真の目的」は財政赤字の穴埋めにあるのではないでしょうか。こうした日銀の矛盾をマーケットが指摘する日が、そう遠くない将来に来ると思うのです。その際には、まず円という通貨に対する信認が失われて、円がすさまじい勢いで暴落するでしょう。海外投資家は円資産を持つこと自体を大きなリスクと見做すので、日本株をとにかく理屈抜きで
手放そうとします。日本株全体の約3割をもつ海外投資家が一斉売りに走れば、誰も買い支えることなどできません。私が日経平均が5000円になるというのは、こういうシナリオを想定しているからです。
秋野 確かに日銀の金融緩和の矛盾というのは私も同意します。しかし、だからこそ逆に、日銀は本当に景気が浮揚するまで緩和を続けるしかないと思うのです。それも生半可なものではなく、日経平均が3万円になるほどにやらなければいけない。そこまでいけば、経営者のマインドが本当に上向いて、貯めこんだおカネを大きく動かし出すはずです。それができないのであれば、菊池さんがおっしゃるように、海外投資家は売ってくるでしょう。
菊池 海外投資家がいつ動き出すかは読めません。しかし、それが年内であってもおかしくはないと思うのです。
あきの みつしげ/'63年生まれ。いちよしアセットマネジメント執行役員運用部長。中央大学卒。第百生命保険相互会社(現マニュライフ生命)有価証券部企業調査担当などを経て現職
きくち まこと/'65年生まれ。ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表取締役。早稲田大学卒。日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)、外資系投資顧問のファンドマネージャーなどを経て現職
「週刊現代」2015年2月21日号より
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