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大塚家具、父娘げんかの原因は「2人とも経営が駄目だから」?娘社長のブレる経営迷走
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150219-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 2月19日(木)6時1分配信
大塚家具(本社東京、ジャスダック上場)は2月13日、創業者の大塚勝久会長が3月で取締役から外れて経営から退き、長女の久美子社長に経営権限を集中すると発表した。同日、同社は久美子社長を中心とする新経営体制を「会社提案」として株主総会(3月下旬)に提出。同社筆頭株主でもある勝久氏は、この会社提案に真っ向から反対する「株主提案」を株主総会へ提出したが、17日にはこの株主提案を同社として反対することを取締役会で決議。
世間の注目を集める、創業者会長である父と、外部で華麗なビジネスキャリアを積んできた娘との経営権争いは一旦収束の兆候を見せたが、勝久氏が18.04%の株を所有する最大株主ということもあり、いまだに火種がくすぶる状態が続いている。
大塚家具は勝久氏が創業し、一時は日本最大の家具販売チェーンを形成するなど隆盛を極めていた。しかし、2007年までは700億円台で推移していた売上高は減少に転じ、外部にいた久美子氏を09年に社長に迎えたが、経営改革にいそしんだとされる久美子氏は14年7月に解任され、勝久氏が社長復帰(会長兼任)した。その後、今年1月には久美子氏が社長、勝久氏が会長という体制に戻り、冒頭の発表で勝久氏は経営から退くという経緯だった。
勝久氏が社長時代、大塚家具に買い物に行くと入り口受付で個人情報登録(入会申し込み)をさせられ、案内に付く店員が必ず割り当てられた。例えば「ベッドを買いたい」ということなら、大型店舗内のあちこちに置かれたベッドをくまなくかつ詳細に説明され、「これだけの選択肢があるならこれでいいか」などと、どれかは買ってしまうことになる仕組みだった。そして、それらのどれも実は安くはない値付けだったのを覚えている。
久美子氏はこの方策を変え、オープンな入場方法に切り替え、来客トラフィックを増やそうとした。ところが、それによっても同社の年商は550億円ほどに減少し、低位安定的に推移してきた。14年に至りしびれを切らした勝久会長が、社長に兼任復帰したわけだ。
勝久氏は直ちに以前の販売方法に舵を切り直した。結果は、財務的には悲惨なものだった。年商は前年比微減の550億円強だったが、営業損益は4年ぶりの赤字で、その額は4億円以上に上った。この結果を受けて、久美子氏が昨年末に社長再登板となったわけだ。
●駄目だから、喧嘩してしまった
経緯を一見すると、久美子氏に軍配が上がったように見えるが、どうか。久美子社長は勝久氏の経営について次のように批判する。
「2014年10月に従来型店舗に変えた新宿ショールームでは、11月にサーモセンサーで人数カウントした結果、2013年に月間3万8000人だった来店客数が、14年には3万人へと2割以上も減った」(2月12日付東洋経済オンライン記事『速報!大塚家具、父・勝久会長が「退任」へ』より)
しかし、客数が減ったのに「売上高もその分減った、ということではない」(同記事)ともしており、つまり14年の大幅赤字は店舗を勝久方式に戻すための設備や経費の出費だったということである。
以上より、結論としては「久美子方式も勝久方式も、両方とも駄目だった」ということになる。両者とも共同経営者として、売り上げを09年以降押し上げていない。「駄目だから、喧嘩してしまった」というのが正しい。
●「会社の再ポジショニング」という難題
そのため、経営権を再び握った久美子氏が対峙しているのは、販売方法の模索ではなく、それを超えた「会社の再ポジショニング」という難題だ。
経営学者マイケル・ポーター氏の「競争の3大戦略」に当てはめて分析すると、「コストリーダーシップ戦略」を取っているのはニトリとイケアであり、「差別化戦略」はカッシーナ・イクスシーだろう。久美子氏が描く大塚家具の戦略というと、焦点を絞り切れていない。
「本当はみんなちょっといいものを提供してくれるお店を求めているはずだ。(略)大塚家具は高級家具だけ、と思われがちだが、本当は幅広く扱っている。(略)今後はサービスそのものをビジネスにしていきたい」(同記事)
「競争の3大戦略」における3番目の戦略は「選択戦略」といい、コストリーダーシップ戦略か差別化戦略のどちらかに絞るべきとしている。久美子氏のように全部をやろうとするのは駄目であり、どこかに自社をポジショニングしなさいと演繹できる。
「差別化戦略」を取っているカッシーナ・イクスシーは絶好調だ。12年の売り上げを15年にはほぼ倍増の100億円強にすると見込み、営業利益は6億円を超えるとしている。コストリーダーシップ戦略は取れないだろう大塚家具は、カッシーナ・イクスシーの戦略点にポジショニングするのも選択肢だ。
ただし、差別化戦略点では顧客の絶対数は少なくなる。家具の場合なら富裕層だ。実際カッシーナ・イクスシーは国内に4店舗しか展開していない。
現在15店舗の大塚家具は、これを5店ほどに減少して大幅な利益増を目指すという戦略肢がある。父娘は、同社をどこに導いていくのだろうか。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)
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