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コラム:勝者不在の緩和ドミノ、日銀は耐え切れるか=斉藤洋二  インタビュー:物価上昇鈍化、気にする必要ない=高橋進氏
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/656.html
投稿者 蟲 日時 2015 年 2 月 18 日 07:06:45: VXoEun45fU5tI
 

コラム:勝者不在の緩和ドミノ、日銀は耐え切れるか=斉藤洋二

2015年 02月 17日 13:22 JST
斉藤洋二 ネクスト経済研究所代表

[東京 17日] - 黒田日銀の量的・質的金融緩和(QQE)が今年4月に導入から2年を迎えるが、3月には欧州中央銀行(ECB)も19カ月にわたる総額1兆1400億ユーロ規模の量的緩和に乗り出す。

一方、カナダ、オーストラリア、中国など多くの国々においても低インフレ・低成長の克服に向け金融緩和が進められていることから世界的に低金利が定着し、主要国の10年物国債利回りは日本0.4%台、ドイツ0.3%台、フランス0.6%台、イタリア1.6%台、スペイン1.5%台、利上げが議論されている米国でも2.0%台にとどまる(2月17日東京時間午前11時現在)。

さらに、日本国債は1月に一時6年債までマイナス金利になったほか、ドイツ国債に至っては本稿執筆時点でも6年債まで利回りがマイナス圏で推移している。

マイナス金利とは、お金を貸した方が利息を支払い、お金を借りた方が利息を受け取ることであり、このような金融論の常識が覆ってしまった世界が中期債にまで広がることなど、資本主義の歴史をひも解いても、寡聞にして知らない。

超低金利の理由は、経済成長力が減速し資金需要が落ち込む一方で、株式などリスク性資産がすでに相当程度値上がりしていることを嫌気した緩和マネーが安全資産へと流れ込んでいるせいである。

また、償還以前に高値で売却できるとの相場先高観が市場に根付いているためだ。したがって、債券市場が内包するバブルが拡大しつつあることは否定しがたく、我々は「バブル崩壊」と隣り合わせにいることを心に留め置く必要があると言えよう。

<世界的な通貨安競争に突入>

超金融緩和が進む中で懸念すべき副作用は2つある。一つは、各国金融当局が政策段階で意図したか否かを問わず世界的な通貨安競争が進んでいることである。

通貨切り下げは対外競争力を高め、輸出増加による国民所得の拡大を目指す上で簡便な手法と言える。一方、貿易相手国にとっては自国通貨の切り上げとなり対外競争力を失って輸出鈍化そして雇用の減少がもたらされる。これは近隣窮乏化政策と言われ、1930年代の米英独仏などの間で行われた通貨戦争にその原型が求められる。

当時の通貨戦争は金本位制のもとで起こった大恐慌からの脱出を目指して演じられ、各国は保護貿易そしてブロック経済を推進した。この時期は英国から米国へと通貨覇権が移行するいわば国際金融界の権力の空白期間にあたり、通貨安競争が結果的に1940年代の第2次世界大戦につながったともされる。

一方、現代の通貨安競争はリーマンショック後の低成長から脱することを目的としている。変動相場制下で金融政策を梃子(てこ)として行われていることや、米国が国際金融の盟主として存在感を維持している点が往時と異なる。

目下、米国はドル高を許容しつつも近隣窮乏化的な通貨安競争をけん制しており、主要各国の行動もおのずから歯止めがかかることになるだろう。しかし、どの国も成長減速と財政悪化に苦しむなか、金融緩和に伴う通貨安競争が一層激化していく懸念を拭えない。主要各国が、1930年代の教訓を生かして金融政策の運営において対外的な均衡も図る節度を持ち続けることができるのか注目されるところだ。

このような環境下、日本において金融政策および財政政策のフル稼働によりデフレ不況脱出が図られたことから、円相場は対ドルで50%下落する一方で株価は2倍に上昇した。これは1930年前後の昭和恐慌時において、金本位制への復帰、再離脱を経て実質的な通貨切り下げで不況を脱したことを思い起こさせる。

実際この間に、中韓はじめアジア各国から円の切り下げに対し非難の声が上がってきたが、米国など国際金融界においてはおおむね許容範囲と受け止められている。とはいえ、今後については国内産業界からの声を背に、米国から円安けん制の発言が飛び出せば、市場は混乱する可能性があることには注意を要しよう。

<日銀の実質債務超過リスク>

超金融緩和によりもたらされる第2の副作用は中央銀行の経営の不安定化だ。中央銀行は何よりも政府からの独立性を堅持することを優先させ金融を担っているとはいえ、財政の悪化そして破綻懸念が高まれば物価安定に専念することはできなくなる。

つまり、財政的な配慮が求められるのは現代の中央銀行にとっては避けて通れない事実である。その例が2012年7月、南欧諸国の財政不安に伴い発生したユーロ危機に際してのドラギECB総裁の「(ユーロ防衛のために)何でもする」との発言だ。

実際、リーマンショック以降、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和を行い非伝統的な資産購入を進める過程でバランスシートを膨らませたが、中央銀行の中でも日銀の増加は凄まじく、総資産残高は国内総生産(GDP)比で見た場合、6割と突出している。

日銀はこの間、長期国債を年間50―80兆円の規模で買い進んできたが、2月10日時点でバランスシートは313兆円に達し、資産サイドに国債(263兆円)が積み上がり、負債サイドでは当座預金(178兆円)が発行銀行券(88兆円)を大きく上回っている。

日銀は、買い入れ国債の平均残存期間について7―10年程度を目標としている。実際、報道によれば、2月1―10日に買い入れを行った国債の平均残存期間は7.9年程度だったという。日銀による長期国債の購入額も毎月の新規発行額を上回る規模に達している。

国債市場における日銀はまさに「池の中の鯨」の様相を呈し、多くの池の住人たちは巨鯨の成長に自由度を失い、市場原理に基づいた価格形成は難しくなった。

一方、「池の中の鯨」の存在に慣れきってしまえば逆に「池の中の鯨」がいなくなってからのことが気になるのも人の世の習いだ。これまでデフレ脱却が最優先として語ることがはばかられてきた出口戦略だが、国債購入の停止に始まり保有国債の処理・売却に向けての概要が示されても良い時が来ているのではないだろうか。

2006年3月に日銀は量的緩和を停止し、わずか1年で保有短期国債が順次償還を迎えて金利を正常化させた。しかし、量的緩和の1年での解消は、「失われた10年」の傷をさらに大きくすることとなった。

つまり、日銀が今後取り組むべき出口戦略の規模と終了するまでの期間の長さを考慮すれば、現在のバランスシートを健全な範囲内に圧縮することは時間もかかり、その間日銀のポートフォリオはマーケットの変動にさらされ続けることとなる。

さらに、日銀は国債のみならず上場投資信託(ETF)や上場不動産投資信託(REIT)などリスク性資産もポートフォリオに組み入れているが、日銀の資本金はわずか1億円であり、法定準備金2.9兆円、そして債券や外国為替等の取引に関わる損失引当金3.8兆円を含めても、総資産に対する比率は2%強しかない。

市場環境の悪化で保有資産がその比率を超えて毀損(きそん)した際には、実質債務超過となる恐れが高まる。中銀の場合、債務超過=破綻というわけではないが、このような状態に陥った場合、日銀券の信認が低下することを肝に銘じておく必要があるだろう。

これまで述べたように今後日本は超金融緩和の副作用である通貨安競争に巻き込まれ、さらに日銀のバランスシート拡大に対する市場の目が一段と厳しくなると仮定すれば、円安基調が当面持続すると考えても良いのではないだろうか。

*斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年、一橋大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。為替業務に従事。88年、日本生命保険に入社し、為替・債券・株式など国内・国際投資を担当、フランス現地法人社長に。対外的には、公益財団法人国際金融情報センターで経済調査・ODA業務に従事し、財務省関税・外国為替等審議会委員を歴任。2011年10月より現職。近著に「日本経済の非合理な予測 学者の予想はなぜ外れるのか」(ATパブリケーション刊)。
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0LL03T20150217


 
インタビュー:物価上昇鈍化、気にする必要ない=高橋進
2015年 02月 17日 22:20 JST
[東京 17日 ロイター] - 経済財政諮問会議議員の高橋進・日本総合研究所理事長は17日、ロイターのインタビューに応じ、足元物価上昇鈍化は、実体経済上、気にする必要はないとの認識を示した。

また、日銀の2%の物価目標については、諸外国でも期限を区切っていないとし、一般論として、「2年」と区切らなくても良いのではないかと述べた。

<足元物価上昇鈍化、実体経済上「気にする必要ない」>

緩やかな景気回復を見通すなか、追加緩和の是非については「物価目標との兼ね合いで日銀がどう判断するかだ」との見方を示した。

原油価格の低下は「経済全体としてみればプラスだ」と指摘。円安についても「急激に円安が進むのはリスクがあるが、緩やかに円安が進むのであれば経済にとってそうデメリットがあるとは思えない」と語った。

円安によるデメリット効果は「原油安でかなり相殺されている」とも述べ、「足元物価上昇率が鈍化するということ自体、実体経済上からは、そう気にしなくてよい」との認識を示した。

ただ、それを踏まえた金融政策判断は日銀の専管事項と繰り返した。

<物価目標、一般論として「2年」に区切らなくても良い>

一方で、日銀の物価目標については諸外国では「中期的」目標として期限を区切っていないことなどを挙げ、「一般論として言えば、2年と区切らなくてよいのではないか」と語った。

<実質賃金、4月以降プラスに>

16日発表された2014年10─12月期実質国内総生産(GDP)成長率は年率換算プラス2.2%と3四半期ぶりにプラス成長となったが、事前の民間予想には届かず、反発力に乏しい内容となった。

高橋氏は「消費の戻りが鈍いのは間違いない」としつつも、「緩やかな回復とのシナリオを変える必要はない」と指摘。今後のカギを握る実質賃金の行方について「4月以降、消費税引き上げ分がはく落することに伴い、プラスに転じることは間違いないとみている。そのもとで、消費が徐々に回復することが期待される」と見通した。

<財政健全化計画中の増税は一度>

夏までに策定する財政健全化の具体策に関しては、2006年の歳出・歳入一体改革の時の反省をもとに、経済再生と歳出抑制に取り組むと強調。

歳入改革に関しては、2017年4月に消費税率を10%に引き上げることは決めているが「それ以外は増税しない覚悟で取り組む」とのべ、増税に頼らない姿勢を示した。

「増税ができると思ったら、歳出抑制は鈍る。歳出抑制はできなくなり、経済活性化のインセンティブもなくなる」と語った。

(吉川裕子 スタンレー・ホワイト 編集:田中志保)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LL12V20150217  

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コメント
 
01. 2015年2月18日 07:48:12 : jXbiWWJBCA

経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層
【第163回】 2015年2月18日 森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]
日銀新人事案が暗示する市場への発信力低下
――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト
日銀審議委員の候補となった
「リフレ派」原田氏の変化

 5日、安倍内閣は早稲田大学政治学研究科教授の原田泰氏を、日銀審議委員の候補として国会に掲示した。今回の人事案は、3月25日に任期を満了する宮尾龍蔵委員(元神戸大学教授)の後任人事である。後任候補となった原田教授は、学術的には現日銀副総裁の岩田規久男氏と考え方が近く、徹底した金融緩和で日本経済を押し上げデフレ脱却を図る、いわゆる「リフレ派」の1人と見られている。

 しかし最近は、「CPI前年比+2%」という日銀の目標に対して、同氏の姿勢にやや変化が見られる。すなわち「物価目標はあくまで手段だ」という姿勢を見せ始めている。たとえば、1月のロイターのインタビューでは「物価目標はあくまで手段であり、現在のように原油安で物価動向が見えにくい局面では景気をみて政策判断すればよい」「2%目標を(2015年度に)達成できなくても良いのではないか。2%程度の(実質)経済成長が続けられるような政策運営が重要」「日銀が追加緩和に踏み切る場合の手段としては、引き続き国債買い入れの増額が適切」と述べている。

当面の金融政策には中立

 筆者は、原田氏の審議委員就任は当面の金融政策に対して中立と解釈している。ポイントは、前任の宮尾委員が昨年10月31日に「5:4」の僅差で採択されたサプライズ緩和(QQE2)に賛成していたことである(図表1参照)。したがって、原田氏が後任となることで、現行金融政策に対する賛否の分布が大きく変わるとは想像し難い。

 その意味では、10月のQQE2に反対票を投じ、今年6月30日に任期満了を迎える森本宜久委員(元東京電力取締役副社長)の後任人事がより注目される。なお、森本委員の後任候補が国会に掲示されるのは、5月頃と推測される。


出所:バークレイズ証券
日銀のコミュニケーションが
わかりにくくなるリスクあり

 市場の観点からは、原田氏の審議委員就任によって、日銀のコミュニケーションが一段とわかりにくくなるリスクには警戒せざるを得ない。

 前述したように、原田氏は「2%目標を(2015年度に)達成できなくても良いのではないか。2%程度の(実質)経済成長が続けられるような政策運営が重要」と述べている。この点は、「2015年度を中心とした期間にCPI前年比2%」を達成するという姿勢を堅持している黒田総裁や岩田副総裁と、明らかに異なる。

 その結果、原田審議委員が実現した場合、「物価安定の目標」の達成時期に関して政策委員の間で差があることを市場が感じ取る機会は増えそうだ。

政府による「2度目のはしご外し」

 では、リフレ派の中心と目される原田氏が「物価目標は手段だ」「CPI2%目標を2015年度中に達成できなくても良いのではないか」という具合に姿勢の変化を見せている背景は、何だろうか。

 それは他でもない政府自身が、最近の原油価格下落の下、過度な金融緩和で円安になることを是認しない姿勢を見せ始めていることと関連していると思われる。実際、経済に対する政府の公式見解を示す場である直近1月の月例経済報告では、日銀の「物価安定の目標」の達成に関する表現が、従来の「できるだけ早期に」から「経済・物価情勢を踏まえつつ」に修正されている。

 この政府の姿勢転換について、黒田総裁や岩田副総裁ははしごを外された感覚を持っているのではないか。2015年10月に予定されていた消費税率引き上げを昨年11月に安倍首相が先送り決定したことに続いて、「2度目のはしご外し」を今、黒田総裁・岩田副総裁は感じ取っていることであろう。

 いずれにせよ2015年は、市場にとって日銀のコミュニケーションが一段とわかりにくくなる年となりそうだ。

日銀の2つの新しいコミュニケーション
原油価格下落の「2次効果」の強調とCPIの二分法

 もちろん日銀自身、コミュニケーションを明確にするための工夫を凝らしている。ここ最近でも、日銀は2つの新しいコミュニケーション戦略を展開している。

 第1に原油価格下落の「2次効果」(交易条件の改善による景気押し上げ)の強調である。つまり原油価格が下がる中でも、交易条件の改善ひいては需給ギャップの縮小を通じて、CPIは十分サポートされるとアピールしている。

 第2にCPI の「二分法」(dichotomy)である。これは、日銀のコアCPI見通しを「原油の影響」と「実勢」に分け、「実勢」はこれまでと何ら見方を変えていないという点を強調するものだ。この二分法は1月20〜21日の決定会合で初めて採用された。

 こうした新しいコミュニケーション戦略によって、日銀は(1)「2015年度を中心とした期間にCPI前年比2%」を達成するという姿勢を堅持していること、(2)実際にCPIはその目標の実現に向けて順調に上昇していること、の2点を伝えようと努力している。目的は原油価格が下がる中でも、予想インフレ率を2%に引き上げ、かつ、つなぎとめる(アンカーさせる)ことにある。

 原田氏が実際に審議委員に就任した場合、こうした日銀のコミュニケーション努力に対して、同氏の「2%目標を(2015年度に)達成できなくても良いのではないか」という姿勢が、どのような化学反応を起こすのか注目したい。はっきりしていることは、市場にとって日銀のコミュニケーションがわかりにくくなるリスクがあるということだ。

日銀コミュニケーションに
おける2つの制度上の問題

 日銀のコミュニケーションについては、日銀自身の努力の他に、日銀だけではいかんともしがたい制度上の問題も2つある。

 第1に、議事要旨の発表が次回決定会合の後にずれ込む。第2に、決定会合の回数が多く無用なサプライズを引き起こすリスクがある。しかも実務の観点からは、両者は相互に関連がある。つまり、決定会合の多さという2つ目の課題が、議事要旨の発表が次回決定会合の後となってしまうという1つ目の課題の原因になり得る。

制度上の問題(1):
議事要旨の発表が遅い(日銀法第20条)

 1つ目の課題である議事要旨の発表の遅さであるが、現在、日銀は議事要旨を「次の決定会合で承認した上でその3営業日後」に発表している。

 この背景には「日銀法第20条」がある。同条は「議長(筆者注:黒田総裁)は、金融調節事項を議事とする会議(筆者注:金融政策決定会合)の終了後、速やかに、委員会の定めるところにより、当該会議の議事の概要を記載した書類を作成し、当該書類について金融調節事項を議事とする会議において委員会の承認を得て、これを公表しなければならない」としている。ポイントは、「金融調節事項を議事とする会議において委員会の承認を得て」という部分だ。これによって議事要旨の発表は次回決定会合の後にずれ込む。

 議事要旨の発表の遅さの背景に日銀法という法律がある限り、日銀だけでどうこうできる問題ではない。しかし、スムーズな日銀コミュニケーションのためには、早急に改善される必要があるのではないか。

 Fedやイングランド銀行(BoE)は、次の決定会合(FedであればFOMC、BoEであればMPC)の前に議事要旨(minutes)を発表している。欧州中央銀行(ECB)も、2015年1月から理事会(Governing Council)の議事要旨を作成し、終了後速やかに公表するとしている。実際、今月19日、ECBは記念すべき初の議事要旨(1月22日の理事会)を発表するが、このタイミングは次の理事会(3月5日)の前である。

 主要中央銀行(日銀、Fed、ECB、BoE)で、議事要旨を次の決定会合の「前」ではなく「後」に発表するのは、今や日銀のみである。

制度上の問題(2):
決定会合の回数が多い(日銀法施行令第9条)

 2つ目の課題である、決定会合の回数が多く無用なサプライズを引き起こすリスクについては、「日銀法施行令第9条」が背景にある。これは法律ではなく施行令(政令)であることから、国会の決定ではなく政府の命令である。

 同条は、「政策委員会の議長(中略)は金融調節事項を議事とする会議(筆者注:金融政策決定会合)を、一月に二回、相当な間隔をおいて招集することを常例としなければならない」としている。したがって、毎月2回(つまり2日間)、日銀は金融政策決定会合を開いている。

 しかも、「展望レポート」を発表する4月と10月は3回(2日間の会合(=会合2回)および展望レポートを発行する1日の会合(=会合1回))、つまり政令が要求する以上の頻度で決定会合を開いている。

 この頻度の高さが続く限り、制度面だけでなく、実務的にも議事要旨を次の会合の前に出すことが難しくなる。

制度上の問題が具体化した例:
2014年10月31日のサプライズ緩和

 1点目の課題である議事要旨の発表の遅さと、2点目の課題である決定会合の頻度の高さが必要以上のサプライズを引き起こした例が、2014年10月31日のサプライズ緩和(QQE2)だ。

 この決定会合のたかだか3週間ほど前に当たる10月6〜7日の会合の後、黒田総裁は記者会見で「『物価安定の目標』に向けての道筋を着実に辿っている」「当面1%台前半で推移した後、今年度の後半から少しずつ加速していき、2015年度を中心とする期間に2%に達する可能性が高い」と、従来の見方を強調していた。

 そして、同月31日の会合で突如、追加緩和に打って出た。それまでの黒田総裁の物価観を把握していた市場は、強烈なサプライズに直面した。市場(特に株式市場)では、「これぞ黒田流」などとの評価が聞かれた。

 しかし、その後発表された10月6〜7日の決定会合の議事要旨では、「物価が前年比1%を割るリスク」についてすでに議論がなされていたことが明らかとなった。もし、この議事要旨が10月31日の会合の前に発表されていたら、市場はQQE2を事前に織り込み、より冷静な反応をしたであろう。つまりQQE2のサプライズは、少なくとも部分的には、議事要旨の発表の遅さという制度問題に根差したものである。

「サプライズ依存型」のコミュニケーションは、長続きしない。明確なメッセージに基づくコミュニケーションの確立には、以上2つの制度上の課題も改善される必要がある。審議委員候補となった原田教授の人事案と合わせて、2015年の日銀を考える上で、「人事」と「コミュニケーション」がとりわけ重要となりそうだ。
http://diamond.jp/articles/-/66960 
 


02. 2015年2月18日 16:15:35 : nJF6kGWndY

こちらはも市場の反応は薄い

大して巻き戻さないな

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJW3NG6JTSEN01.html
日銀:金融政策の維持を決定、8対1−原油安の影響見極め 

  (ブルームバーグ):日本銀行は18日の金融政策決定会合で、政策方針の現状維持を8対1の賛成多数で決めた。反対票を投じたのは木内登英審議委員だが、日銀は当面、原油価格下落が経済・物価に与える影響を見極める方針だ。
日銀はマネタリーベースが年約80兆円に相当するペースで増えるよう金融市場調節を行う方針を据え置いた。長期国債は年約80兆円、指数連動型上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J−REIT)はそれぞれ年約3兆円、年約900億円に相当するペースで保有残高が増加するよう買い入れる方針も維持した。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト35人を対象にした5−10日の調査でも全員が現状維持を予想した。

日銀は輸出、鉱工業生産ともに「持ち直している」としていずれも判断を上方修正。その上で、足元の景気について「緩やかな回復基調を続けている」として、前月までの「基調的に緩やかな回復」を続けているとの判断を微修正した。先行きは「緩やかな回復基調」を続けるとの見通しを維持した。
消費者物価の前年比については、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて「エネルギー価格の下落を反映して、当面プラス幅を縮小する」するとの見通しを据え置いた。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは16日のリポートで、「黒田総裁の記者会見では、12日にブルームバーグが配信した『日銀の追加緩和は逆効果、10月緩和は消費者マインドに悪影響』と題した記事が為替市場で円買い材料になったことから、追加緩和の可能性や円安が経済に及ぼす影響に関する発言が注目される」と述べた。

12日に1ドル=120円台前半で推移していたドル円相場は、ブルームバーグ・ニュースの報道後、一時118円台後半まで円買いが進んだ。日本時間18日午後0時現在、119円台前半で推移している。

4月の追加緩和は考えにくい

SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「官邸サイドも4月の統一地方選に向けて、急激な円安進行は望んでいないとみられ、日銀は無理して追加緩和する必要ないとのスタンスではないか」と指摘。「春闘での賃上げが期待される4月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)発表時には、追加緩和は考えにくい」という。
三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストは17日のリポートで「日銀内でもさらなる追加緩和の害悪を指摘する声が高まっているとの観測報道や、短期金利のマイナス等追加緩和の技術的ハードルが上がっていること等も踏まえ、当面は現行ペースの量的・質的金融緩和が継続される」と指摘。従来の4月追加緩和予想を撤回した。

上野氏は「物価安定の実現重視の日銀と言えども、統一地方選を控える中、行き過ぎた円安が地方経済に及ぼす景気面のデメリットを警戒する政府との関係をある程度尊重せざるを得ないだろう」と指摘する。
一方で、「強気の物価シナリオが実現しないのに何も行動を起こさないと、市場で日銀に対する信認がなくなり、結果として円高・株安が進みやすくなるのも事実だ」という。

いずれ量的・質的緩和の検証が必要

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは「日銀は原油安による一次的な物価鈍化に対し、政策対応は必要ないとのスタンスだ」と指摘。「仮に、先行きGDPギャップ改善と期待インフレ率の持ち直しが不発になれば、日銀はやはり追加緩和を検討することになる」とみる。
SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは「政治からの追加緩和圧力が後退していることの影響は今後あると思う。政治圧力がなければ、日銀としては『現行政策を継続していること自体が累積的な政策効果を生む』という説明に終始できる」という。
その上で「問題は『現行政策の継続』それ自体にいずれは限界が来ることだろう。量的緩和政策とインフレ率との関係についても、いずれある程度の検証を行っていかざるを得ないのではないか」としている。

木内審議委員は独自提案も否決

日銀は昨年10月31日の金融政策決定会合で、消費増税後の需要の弱さや原油価格の大幅な下落が「物価の下押し要因として働いている」とした上で、「短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある」として追加緩和に踏み切った。
1月21日の決定会合では、昨年10月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)の中間評価を行い、原油大幅下落を受けて、15年度のコアCPI前年比見通し(政策委員の中央値)を1.7%から1.0%へと大きく下方修正したが、一段の追加緩和は見送った。

木内登英審議委員は2月18日の決定会合で、2%の物価安定目標の実現を「中長期的に目指す」とした上で、量的・質的金融緩和を「2年間程度の集中対応措置と位置付ける」との提案を行ったが、8対1の反対多数で否決された。
黒田東彦総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は3月20日に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブサイトで公表している。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡 徹 tfujioka

1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 淡路毅, 上野英治郎
更新日時: 2015/02/18 12:01 JST


03. 2015年2月18日 16:20:06 : nJF6kGWndY

小動ではあるが

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJWNIA6JTSE901.html
債券は反落、米債安・株高警戒で売り優勢−超長期ゾーンには一時買い

  (ブルームバーグ):債券相場は反落。米国債相場が大幅安となったことや日米株式相場の堅調推移を受けて、先物や長期債を中心に売りが優勢の展開となった。
18日の長期国債先物市場で中心限月3月物は、前日比9銭安の147円14銭で取引を開始し、いったん146円98銭まで下落した。その後は147円05銭を挟んでもみ合いとなり、結局は21銭安の147円02銭で引けた。
BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、債券相場について、「昨日の20年債入札を通過して下値に対する恐怖心は後退したが、米債安や日本株の上昇を受け、10年ゾーンや債券先物を中心に調整が入っている」と話した。
日本相互証券によると、現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の337回債利回りは、前日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)高い0.40%で開始し、0.41%まで上昇した。午後に入るといったん0.395%まで戻した後、再び0.41%を付けている。

20年物の151回債利回りは午後に入って買いが入り、1bp低い1.21%まで低下した後、1.23%を付けている。30年物の45回債利回りは朝方の1.485%から一時は1.5bp低い1.45%まで大幅低下し、その後は1.47%。BNPパリバ証の藤木氏は、超長期ゾーンは調整が一服して、利回りはフラット(平たん)化が進んでいると指摘していた。

米金利2.1%台は想定外

17日の米国債相場は大幅下落。10年国債利回りは前営業日比9bp上昇の2.14%程度と、1カ月半ぶり高水準となった。ギリシャ政府が融資合意の延長を申請するとの観測や、米金融当局が年内利上げに動くとの市場の見方が強まったことが背景。一方、米株相場は上昇。18日の東京株式相場も上昇し、TOPIX は前日比1.4%高の1482.67で引けた。
マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、債券相場は米金利上昇を受けて軟調な展開だと説明。「米10年債は2%に到達したところで反発とみていたが、そこからさらに利回りが2.1%台まで上昇したのは想定外。米債の動きを見ていると、これまで利上げ期待の中で、需給主導で金利が低下してきたのが崩され始めており、調整が始まったようにみられる」と話した。

日銀は18日の金融政策決定会合で、政策方針の現状維持を8対1の賛成多数で決めた。景気は緩やかな回復基調を続けているとし、輸出と生産の判断を上方修正した。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト35人を対象にした調査では、全員が現状維持を予想していた。午後3時半から黒田総裁が定例会見を行う。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは、総裁会見について、追加緩和は経済に逆効果との観測報道や足元の国債相場の乱調に関する見解が注目だと指摘した。

松沢氏は、日銀総裁は円安は経済にプラスとの考えを表明し続けており、甘利明経済再生相も17日に同じ発言をしているので、認識が変わるとは思えないと指摘。「異次元緩和導入後に下げ始めた国債相場に、黒田総裁が『長期金利上昇は自然』と発言し、パニック売りを招いた経緯がある。この経験を踏まえ注意して発言すると思われるが、日銀ではインフレ期待の上昇に伴う名目金利の上昇は自然、との考え方が根付いているだけに、本音が出やすい」と言う。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 崎浜秀磨, 山中英典
更新日時: 2015/02/18 15:27 JST


04. 2015年2月19日 08:45:51 : xEBOc6ttRg

日銀ウォッチ】試される政策シナリオ―10-12月期GDP低迷で
Jacob M. Schlesinger
2015 年 2 月 18 日 10:59 JST

日本銀行本店(東京中央区) Bloomberg

 内閣府が16日発表した2014年10-12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率換算2.2%増となり、予想を大幅に下回った。日本銀行は18日までの2日間にわたり金融政策決定会合を開くが、その議題をめぐり気詰まりな疑問がいくつか生じている。それは、日銀の見通しがここ1年間の景気動向を一貫して過大評価してきたのはなぜなのか。そして、そのことが意味する「黒田バズーカ」の効力に関する基本シナリオはどのようなものなのか、という疑問だ。

 日銀政策委員会はちょうど1年前、自信を持って2014年度の実質GDP成長率を1.4%と予想していた。消費増税が予定されていることを十分承知していてもだ。13年4月に打ち出した「量的・質的金融緩和」には、その打撃を和らげる以上の効果があると考えていたのだ。

 だが、増税の影響が想定以上に大きく持続的なものであると判明するにつれ、委員会は着々と見通しを下方修正した。1月21日に発表された最新の見通しでは、14年度の実質GDP成長率予想がマイナス0.5%まで引き下げられた。昨年10月公表の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」ではプラス0.5%だったため、大幅な下方修正となった。同月には予想外に金融緩和が拡大され、委員らはこれが少なくとも一部の成長押し上げにつながると想定するに至った。

 しかし、10-12月期の実質GDPを受け、こうした厳しい見通しさえあまりにも楽観的に思えるようになった。2.2%という成長率は、過去2四半期のマイナス成長に比べると大幅な改善だが、4%程度の力強い成長を見込んでいた民間エコノミストの予想を大きく下回った。バークレイズのエコノミストらはリポートで、日銀が最新の成長見通しを的中させるには、「今年1-3月期のGDPが8.7%程度成長しなければならない」ことになると指摘した。

 黒田バズーカのコストと効果をめぐる議論が過熱する中で、この低調なGDPは発表された。日銀の資産買い入れ策を強く支持する向きでさえ、追加策を打てば円安がさらに進み、輸入物価が上昇して消費者をさらに苦しめるため、効果よりもコストの方が大きいかもしれないと懸念している。このところ見通しが立て続けに下方修正された主な背景は、個人消費が予想外に低迷していることだ。

 18日の金融政策決定会合で新たな刺激策が発表されるとみる日銀ウォッチャーは、いたとしても非常に少ない。だが大半のウォッチャーは、特に原油安のため物価上昇率が2%の目標からさらに遠ざかっているため、日銀は年内に追加策を検討すると予想している。政策委員らが一連の見通しの誤りで学んだ教訓こそが、今後の対応策の是非やその手法をめぐる新たな議論を方向付けることになるだろう。
http://jp.wsj.com/articles/SB11442920196806124664104580468651753456146


金融政策は現状維持=日銀決定会合
2015 年 2 月 18 日 12:07 JST
 【東京】日本銀行は18日、当面の金融政策運営について現状維持を決めた。日銀が公表した声明は以下の通り(日銀ホームページより)。

 当面の金融政策運営について

 1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成8反対1)(注1)。

 マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。

 2.資産の買入れについては、以下の方針を継続する(賛成8反対1)(注2)。

 (1)長期国債について、保有残高が年間約80兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。ただし、イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、金融市場の状況に応じて柔軟に運営する。買入れの平均残存期間は7年?10年程度とする。

 (2)ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約3兆円、年間約900億円に相当するぺースで増加するよう買入れを行う。

 (3)CP等、社債等について、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持する。

 3.わが国の景気は、緩やかな回復基調を続けている。海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。そうしたもとで、輸出は持ち直している。設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかな増加基調にある。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。個人消費は、一部で改善の動きに鈍さがみられるものの、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、全体としては底堅く推移している。住宅投資は、駆け込み需要の反動減が続いてきたが、足もとでは下げ止まりつつある。以上の内外需要のもとで、在庫調整の進捗もあって、鉱工業生産は持ち直している。この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、0%台半ばとなっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。

 4.先行きのわが国経済については、緩やかな回復基調を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、エネルギー価格の下落を反映して、当面プラス幅を縮小するとみられる。

 5.リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州における債務問題の展開や低インフレ長期化のリスク、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。

 6.「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注3)。

以上

(注1)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員。反対:木内委員。反対した委員は「『量的・質的金融緩和』の拡大」(2014年10月31日決定)前の金融市場調節方針が適当であるとした。

(注2)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員。反対:木内委員。反対した委員は「『量的・質的金融緩和』の拡大」(2014年10月31日決定)前の資産買入れ方針が適当であるとした。

(注3)木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置づけるとの議案が提出され、反対多数で否決された。(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員)

http://jp.wsj.com/articles/SB11442920196806124664104580468750566545646?


 

ギリシャ財務相の態度、ユーロ圏のいら立ち招く―協議決裂の内幕
MATTHEW DALTON
原文(英語)
2015 年 2 月 18 日 12:24 JST

ギリシャのバルファキス財務相 Bloomberg News

 【ブリュッセル】ギリシャのバルファキス財務相は1月の就任以来、報道陣に対し、同国政府は「無一文」で「支払不能」だと繰り返している。そのたびにユーロ圏の高官らは首を横に振ってきた。

 先週と16日夜のユーロ圏財務相会合(ユーログループ)において欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁はバルファキス財務相に対し、そうした発言はギリシャの銀行からの預金流出を加速させる恐れがあると警告した。会合に参加した複数の関係者が明らかにした。

 16日の会合に出席したある高官は「ドラギ総裁は彼(バルファキス財務相)に、慎重になるよう促した。不注意な発言は銀行にとって良くないことだ」と語った。「これは文化の衝突だ」とこの高官は述べ、「一度も政府に籍を置いたことがなかった奇妙で過激な経済学者が、18カ国の財務相と席を同じくしている」と指摘した。

 ドラギ総裁の警告は、ギリシャの新たな左派政権の、中でもバルファキス氏の厚かましい態度が、ユーロ圏の礼儀作法における不文律をたびたび犯していることを指し示している。実質的なことから取るに足りないことにいたるまで、こうした姿勢の違いが16日夜のユーログループでの協議決裂につながった。そしていま、ギリシャはユーロ圏に残るかどうかの正念場を迎えている。

 ユーロ圏官僚の排他的世界においては、個人的な関係が重要だ。問題が表沙汰になることはほとんどないし、合意形成を通じて判断が下される。それは、過去5年におよぶ危機が生み出した難解なルールに沿うことが多い。

 ユーロ圏の経済的に最も弱い国々が経済の崩壊と高失業率に見舞われても、これまで5年間、ユーロ圏を崩壊させずに維持してきたこの伝統に、ゲーム理論を専門とする経済学者のバルファキス氏が挑んでいる。

 先週の会合に出席した関係者によると、イタリアのパドアン財務相は「これは『囚人のジレンマ』を学ぶ場ではない」としてバルファキス氏に発言を落ち着かせるよう求めた。「囚人のジレンマ」とは、ゲーム理論の有名な概念の一つで、合理的な協調行動が必ずしもとられないことを説明する考え方だ。

 複数の高官によると、16日の会合は気まずい雰囲気の中で始まった。ドラギ総裁の発言中に、バルファキス氏が20分遅れ、テレビカメラを1台引き連れて入ってきたのだ。オランダの財務相でもあるユーログループのダイセルブルーム議長がドラギ総裁の発言を止め、カメラマンに退室するようしかりつけた。

 このバルファキス氏の登場は、高官らの間でも評判が悪かった。ある高官はこの後、あれはバルファキス氏のメディアに対するスタンドプレーの一例だと語った。

 発言の順番が回るとバルファキス財務相は、長々と説明を展開したが、関係者らによれば、大半において具体的資料もなければ、ユーログループが判断する必要のあるような具体的提案もなかった。ある高官は、バルファキス氏の発言は先週とほぼ同じで、「程度こそ違え、欲求不満といら立ちを」誘ったと語った。

ドイツのショイブレ財務相 Bloomberg News

 ドイツのショイブレ財務相は17日、「出席者の中で、ギリシャが実際に何を望んでいるのか理解できた者はいなかった」と述べ、「ギリシャ自身が分かっているのかどうかも定かでない」と話した。

 会合に先立ち、ユーログループのダイセルブルーム議長はバルファキス財務相に、会合後にユーログループとして発表する声明の草稿を示した。高官らによると、この声明は、ギリシャが不人気な救済プログラムの延長を求め、いくつもの支援条件を維持するという内容だった。バルファキス氏はこれを受け入れられないと述べた。

 会議中、大半の財務相らが声明草稿さえ見ていない段階で、声明の内容とギリシャ政府がそれを拒絶したとする記者たちのツイートを補佐官らは目にした。

 ギリシャ政府がユーログループで議論する前に声明草稿をメディアに配布したという事実が、一部の財務相らの怒りを買った。そして協議の進展は不可能だと判断し、散会した。

 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのポール・デ・グラウウェ教授は、財政緊縮の課題を緩める代わりに、ギリシャ政府が汚職防止策の強化など新たな「構造改革」を約束すれば債権団が歩み寄る可能性はまだあるとみている。「ギリシャには十分な言い分がある。緊縮プログラムが恐ろしい失敗だったことは明らかだ」とした上で、「だが、彼らはそれをこのように挑戦的な姿勢で主張しているのだ」と語った。

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http://jp.wsj.com/articles/SB11442920196806124664104580464953889066146

ギリシャ問題、市場の反応が鈍い理由とは
By RICHARD BARLEY
原文(英語)
2015 年 2 月 18 日 12:59 JST
 ギリシャとユーロ圏の協議は16日のユーロ圏財務相会合(ユーログループ)で決裂したが、その後、両者のにらみ合いが解消に近づいている気配はない。ただ、市場は不可解なほど落ち着いている。

 年初からギリシャ国債の利回りは急騰しており、ギリシャ株は乱高下を繰り返してきた。しかし、ストックス・ヨーロッパ600(Stoxx Europe 600)指数は年初来で10%も上昇している。ドイツ国債10年物とポルトガル、スペイン、イタリア、アイルランド、それぞれの国債10年物の利回り差(スプレッド)は最近、わずかに拡大したが、こうした国々の借り入れコストは依然として記録的な低さとなっている。

 市場の反応が鈍いことについて、主に三つの読み方ができるだろう。一つ目は、双方が合意に達すると投資家が見込んでいるというものだ。ユーロ圏危機の歴史は土壇場での合意の歴史でもあるが、今回の対立はより一層深刻だ。ギリシャは、ユーロ圏経済の正統派的信念に異論を唱えているのだ。ユーロ圏の高官たちはこれまでのところ、態度を硬化させているように思われる。つまり、ギリシャ政府は苦しい政治的譲歩を受け入れざるを得なくなるかもしれない。

 二つ目は、投資家がギリシャのユーロ圏離脱をもはや恐れていない可能性だ。ただ、それでもやはりギリシャのユーロ圏離脱にはリスクが伴う。ギリシャ国債の大半を保有しているのは公的機関だが、ギリシャが離脱した場合の波及効果は計り知れない。

 三つ目は、投資家が困って身動きが取れない状態にあるという読み方である。ユーロ圏経済の指標は改善を示しており、欧州中央銀行(ECB)はソブリン債の購入を始めようとしている。投資家は必要に迫られない限り、手持ちの欧州株・債券を売りたいと思わないかもしれない。その反面、さらに大きなリターンにつながり得る前向きな結果を見込んで積極的に投資するということにも躊躇しているのかもしれない。

 こうした事情が相まって、市場の落ち着いた状態は続く可能性がある。しかし、後継プログラムへのロードマップもないまま、ギリシャの現行の救済プログラムが期限切れを迎えた場合、市場は難題に直面するだろう。ECBの資産購入プログラムでさえ、そうした未知の領域への不安を和らげるには不十分かもしれない。
http://jp.wsj.com/articles/SB11442920196806124664104580468812897030760

 

ロボットに奪われる給与―対策は税制?
JEFFREY SPARSHOTT
2015 年 2 月 18 日 16:46 JST

ロボットの経済性に関する研究は、所得に占める労働の比率が長期的に低下すると予測 Agence France-Presse/Getty Images

 技術的進化が常に良いこととは限らない。

 今月発表された論文では、ロボットのようなスマートマシンが高収入の職務を破壊し、経済に打撃を及ぼす潜在性があると結論づけている。

 ボストン大学のセス・ベンゼル、ローレンス・コトリコフ、ギルレモ・ラガルダ各氏とコロンビア大学のジェフリー・サックス氏は「言い換えると、技術的進化は貧困につながり得る」と述べた。

 「ロボットは私たち:ヒューマン・リプレースメントの小経済学」(仮訳)と題されたこの研究は慎重にも、これが起こりうる唯一の結末ではないと指摘している。しかし、所得に占める労働所得の長期的な比率低下やテクノロジーの盛衰サイクル、ソフトウエア投資の継続性よりも過去の投資への依存度の高まりをこの研究は確かに予測している。

 エコノミストはテクノロジーの役割や経済の未来について長く議論してきた。日常生活において自動化の役割が拡大の一途をたどっていることも明白だ。

 ベンゼル氏らは物品生産に利用される機械、つまりロボットを制御するソフトウエアコードの作成に特に注目した。学者らは、テクノロジーの隆盛期に優れたコードが蓄積することによって新しいコードの需要が減少し、ひいてはハイテク分野の賃金低下につながりかねないと懸念している。これは貯蓄や投資の低下、資産蓄積の鈍化を意味する。

 対策の一つとして隆盛期に技術的進化から利益を得る労働者を対象にした税制を提案している。ここから得られる税収を別に取っておき、停滞期の給与支払いに充てることで資本の着実な供給を確保するというものだ。

 「勝者から敗者への再配分につながる適切な財政政策がなければ、スマートマシンは万人に長期的な苦難を与えかねない」と論文は結論づけている。
http://jp.wsj.com/articles/SB11096553489394754382504580469133976792328


米景気の先行き、原油の影で視界は曇りがち
By JUSTIN LAHART
原文(英語)
2015 年 2 月 18 日 13:37 JST

原油安を受けてエネルギー大手は次々人員削減や設備投資縮小を発表したが、影響が表面化するまでに時間がかかりそうだ。写真は米テキサス州の掘削リグ。 Getty Images
 米国の鉱工業生産は今にもエネルギーが尽き果てそうだ。だが、米経済全体にそれが当てはまるわけではない。

 連邦準備制度理事会(FRB)は18日、1月の鉱工業生産指数を発表する。同指数は米国の製造業、公益、鉱業部門の総合的な生産動向を示すものだが、エコノミスト予想では前月比0.4%上昇が見込まれている。製造業の雇用、労働時間の増加や自動車業界の生産計画を見ても、生産活動は拡大したと考えられる。昨年12月は暖冬の影響で公益事業の生産高が押し下げられたが、1月には少なくともある程度まで自律的に回復が進んだだろう。

 問題は鉱業生産だ。鉱山労働者のヘルメットライトやつるはし、炭にまみれた黒い顔といったイメージが思い浮かぶが、実際の鉱業部門の主役は石油・ガス開発業界だ。この業界はシェールブームを背景に近年の鉱工業生産に大きく寄与してきた。指数全体に占める割合は10年前には7.8%だったが昨年12月には13.7%に達した。

 原油価格の急落やエネルギー企業の人員削減と設備投資縮小を受け、いずれ石油とガスの生産に下押し圧力がかかるはずだ。ただ、その影響が完全に表面化するまでにしばらく時間がかかるかもしれない。

 掘削装置の稼動数が減少しても、既存設備の生産能力が消えて無くなるわけではないからだ。産出は続く。だが状況が反転すればその影響は計り知れない。

 原油価格が急落した1986年を振り返れば、石油・ガス業界の生産活動は7.4%も縮小し、鉱工業生産全体に足かせとなった。しかも当時は、生産高全体に同業界が占める割合は今日の水準の半分強にすぎなかった。

 国内産油量が増加したとはいえ、米国は依然として石油製品の純輸入国だ。つまり、エネルギーに関連した鉱工業生産の落ち込みについてはおそらく、エネルギー価格の下落が消費者に恩恵をもたらしこそすれ、米経済にそれと同程度の悪影響をもたらすわけではない。

 とはいえマイナスの影響はすぐにも目に見える形で現れるだろう。特に、経済情勢を測るために用いられる統計の多くに明瞭に現れそうだ。このため恩恵の方は、後になって顧みたときに初めて明らかになるのかもしれない。

 景気を読もうとする投資家は、自分の払うガソリン代をどう思うかに意識を向けた方が上手くいくのではないだろうか。
http://jp.wsj.com/articles/SB11442920196806124664104580468870171645834

 


インドGDP、大幅上方修正の背景とは
By JOHANNA BENNETT
2015 年 2 月 18 日 15:15 JST
 インドは9日に国内総生産(GDP)を発表したが、それによると同国の成長率は初めて中国の水準を上回った。

 インド統計計画履行省は9日、本年度(2014年4月?15年3月)のGDP成長率が7.4%になるとの見通しを発表した。また、14年10-12月期のGDP成長率(改定値)は7.5%とされ、中国の成長率(7.3%)を上回った。

 17日付ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、同省は大幅な上方修正の詳細について公表した。

 10ページにわたる同省の資料は修正の一因として、企業のバランスシートを新たにデータベース化したため、製造業の活動に関する測定精度が高まったことを挙げている。

 また同省は、数年前のGDPが大幅に下方修正された理由についても説明した。それによると、小規模小売業者と卸売業者の活動が「かなり大幅に」過大評価されていたためだという。

 同省のアナント首席統計官は今回の数値について、インド経済をより正確に示しているとしたうえで、「近代化が大幅に進んだ」と語った。

 インド経済は極めて規模が大きく、成長も著しい。また、政府統計の不備もあって計測が難しい。さらに、GDPの大部分は、納税していない小規模企業や個人が占めている。

 一方で、インドと中国の経済構造は対照的だ。中国は個人消費やサービス業中心の経済への移行に苦労しているが、インドでは製造業と投資が不足している。

 昨年12月、インドと同様に中国もGDPの算出法を変更したが、修正されたのは経済規模だけで、成長率については据え置かれた。
http://jp.wsj.com/articles/SB11442920196806124664104580469011461044890

 


大口投資家、実物資産への投資拡大に意欲=民間調査
By TIMOTHY W. MARTIN
2015 年 2 月 18 日 14:48 JST

大口投資家は実物資産への投資拡大に意欲 Reuters
 債券利回りが低水準にとどまるとの見通しから、大口投資家は「実物」資産に資金を振り向けることで投資収益を改善させようとしている。

 資産運用大手ブラックロックが17日発表した新たな調査によると、大口投資家は現在、株式や債券といった従来の投資商品ではなく、オフィスビルから橋、農地に至るまでのあらゆる実物資産に対し投資意欲を拡大させている。

 実物資産は景気循環の影響を受けやすく、安全な債券や株式よりも一般的に流動性が低い上、リスクは高い。

 しかし、債券をはじめとする伝統的な投資商品の見通しがあまり良くない中で年金などの基金や保険会社は対応策を探しており、実物資産は最近これらの投資家の間で人気が高い。

 ブラックロックの機関投資家部門グローバルヘッド、マーク・マッコム氏は電話インタビューで、最高投資責任者(CIO)の間では実物資産に一層手を広げようという「信念が高まっているようだ」と話した。

 ブラックロックは世界の顧客169社を対象に調査を行った。調査した顧客の運用資産残高は合計で8兆ドル(約960兆円)に上り、地域別では約40%が北米、29%が欧州、20%がアジア太平洋地域の投資家だった。

 ブラックロックによると、約60%の投資家が実物資産への投資を拡大する考えを示している。約半数が不動産とプライベートエクイティー(未公開株、PE)への投資を増やしたいと述べた。

 こうした新たな投資のための資金源としては、約40%の投資家が債券投資を縮小すると答えたほか、約25%が現金比率を下げる方針を明らかにした。保有債券に関わる制限を緩和し、新興国債券や米国の銀行融資を投資対象に加える投資家も増えている。

 マッコム氏は「投資家の資産配分へのアプローチはこれまでよりもはるかに行動的だ。不動産(投資)に対する機敏さや積極性が増し、債券についてはポートフォリオの入れ替えを続けている」と述べた。

 特に米国の大規模な公的年金基金など、大口投資家は厳しい時代を迎えている。平均寿命が延び、ベビーブーム世代が定年に到達しつつある中、債務は急激に増加している。

 マッコム氏は、強弱入り交じる経済見通しや金融政策の変更もさらなる難題だと指摘した。

 一方、地域別にみると、実物資産や不動産への投資に最も積極的な姿勢を見せたのは欧州の投資家だった。
http://jp.wsj.com/articles/SB11442920196806124664104580468972648322424



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