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図表:市区町村別・合計特殊出生率のヒストグラム
北海道は東京・港区より出生率低?東京一極集中是正で出生率&一人当たりGDP上昇の嘘
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150217-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 2月17日(火)6時1分配信
2月6日付日本経済新聞論文記事『経済教室 地方創生策を問う(下)移住の障壁撤廃こそ先決』(八田達夫アジア成長研究所所長・大阪大学招聘教授)は、以下抜粋の通り、直球ど真ん中の正論であった。
「地方創生策の論理は、中都市の強化によって出生率の低い東京への人口の一極集中を是正すれば、国の出生率を改善でき、国全体の1人あたりの生産性の向上をもたらすというものだ。しかし、この論理の前提は事実と異なる。
第一に、『人口流入は東京圏だけ』であるとしている。しかし、1965〜2014年間の人口の伸び率は、首都圏全域や首都圏大都市(首都圏の全ての政令都市の現在の行政区域+東京都)と比べて、札幌、福岡、仙台のほうが高かった。これは、10年以降に限っても同様だ。日本では地方から首都圏に人口が一極集中したのではなく、全国の小都市から全国の大・中都市に人口が移動し、多極集中が起きたのである。
第二に、『地方に比べて低い出生率の東京圏』への若い世代の人口流入を抑制する必要があるとしている。08〜12年の市町村別の合計特殊出生率を比較すると、確かに東京都(区部1.07)は大都市でも低い方だ。しかし横浜、川崎、さいたま、千葉などの首都圏のベッドタウンである政令都市はどれも1.30前後であり、札幌(1.08)、仙台(1.21)、福岡(1.24)などの地方大都市よりも高い。首都圏への人口流入を抑制するのは、出生率を上げる目的には反する。
第三に、『人口減少に伴う高齢化の結果、1人あたりの国民所得が低下するおそれがある』としている。しかし過去40年の経済協力開発機構(OECD)各国のデータによれば、1人あたり国内総生産(GDP)と人口の伸び率は無関係だ。人口の伸びを高めれば生産性の伸び率が高まるわけではない。首都圏への人口流入抑制は、成長戦略たり得ない」(同論文記事より抜粋)
以上は正しい指摘であるにもかかわらず、マスコミ等の議論において「東京一極集中を是正すれば出生率が上昇する」というウソが依然として蔓延しているため、補足を簡単にしておきたい。
●求められる異次元の少子化対策
冒頭の図表は、厚生労働省「人口動態保健所・市区町村別統計」から作成した08−12年の市区町村別合計特殊出生率のヒストグラムである。このうち、合計特殊出生率が1以下の市区町村は48あるが、そのすべてが東京ではない。東京の市区町村のうち、合計特殊出生率が1以下のものは18の37.5%に過ぎず、残りの62.5%は東京以外(例:北海道札幌市中央区)の地域である。また、東京でも例えば府中市の合計特殊出生率は1.33、江戸川区1.35、葛飾区1.31、港区1.27であり、これは人口密度が低い北海道全体の合計特殊出生率1.25よりも高い。
つまり、人口密度が高い地域に若い世代が流入すると出生率が低下するので、東京一極集中を是正し、人口密度が低い地域に若い世代を誘導すれば出生率が上昇するというのはウソであり、正しい議論ではない。
経済のグローバル化が進む中で、東京は上海・ニューヨーク・ロンドン・香港といった世界都市と競争していく必要があるが、これから首都圏も人口が減少していくことが確実であり、「東京vs.地方」という対立軸の資源の奪い合いは、日本の成長セクターである東京の力を削ぐだけだ。
そうではなく、保育所の待機児童解消といった異次元の少子化対策をオールジャパンで進めつつ、拠点都市の人口集積を進め、効率を高め、東京は国際都市としてさらに発展させるというシナリオを明確に打ち出すことが今求められているのである。
(文=小黒一正/法政大学経済学部准教授)
小黒一正/法政大学経済学部准教授
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