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10−12月期GDPについて
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52685279.html
2015年02月16日 在野のアナリスト
日本の10-12月期GDP速報値が発表され、実質の季節調整値で前期比0.6%増、年率で2.2%となりました。市場予想の3%台後半をかなり下回る数字であり、エコノミストの面目は、次第になくなってしまうのではないか、といった状況です。これで2014年は通年で見るとゼロ成長、14年度はマイナス成長に陥ることがはっきりしてきました。さらに今回は中身がよくありません。
消費は前期比0.3%増ですが、一部で言われていたような増税先送りによる需要や、原油安に伴う需要はおきていないことが示されます。増税先送りによる需要はない、とは以前から述べている通りですが、原油安とて安倍政権の発足当初から比べると、ほとんど下がっていません。その間、実質の賃金は目減りを続けたので、実は0.3%増にほとんど吸収されている、と言えるのでしょう。逆にそれがなければ、消費もマイナスだった可能性が高いとみています。
民間住宅は実質で前期比1.7%減ですが、最近では広告も増えたように、供給サイドは活発であるものの、投資対象になりにくい物件の買い手はないようです。住宅エコポイント制度が復活しますが、駅近や利便性にすぐれる物件と、不便な物件との価格の二極化が深刻です。その原因はマネーの暴走であり、住民がいないのに価格が高い、という状況に陥りかねません。公的需要も増税対策で4-6月期に大きく上がった結果、金額は膨大な額を維持しているのに横ばい圏で、成長への寄与度が低い。公共工事の目減りは、今後マイナス寄与度を大きくする要因です。
今回、もっとも伸びたのは外需です。輸出は2.7%増、輸入は1.3%増。輸出は米国向け自動車、中国などへのハイテク部品の伸びが寄与していますが、米国は12月から消費が減速傾向ですし、恐らく今後は中国から格安スマホ、格安パソコンが大量に出荷されます。世界中で原油安の好影響はまったく見られていない、という中ですから、今回は一時的とみて間違いありません。むしろ世界が陥っている需要不足を、原油安は加速させるのではないか? との観測もあります。
国民総所得(GNI)が実質で前期比1.7%増ですが、これは2期連続マイナスだった反動と、一時的な輸出の伸び、それに原油安による輸入額の減少が大きいのでしょう。雇用者報酬も前期比0.1%増ですが、4-6月で大きく下がった水準からは、まだ遠い状況です。世界は原油安によるディスインフレ、デフレを怖れていますが、実は賃金デフレによる影響の方が大きくなっています。しかも見た目の賃金ばかりでなく、失業率も合わせると、世界全体が需要蒸発の状況なのです。
最近、安倍ノミクスと安倍氏本人も使わなくなりましたが、今では安倍ノミステイクというのが評価として定着しています。それと同様、エコノミストがGDP予想を外すのをエコノミステイクとよびます。実は、GDPを予想するときにもっとも大事な、賃金デフレを過小評価しているのでは? と噂されます。つまり日本はこれまでデフレ状況でしたが、賃金デフレは緩やかだったのに、安倍ノミクスが開始されてから賃金デフレが急激になってしまった。それは円安の影響で、物価高を招いていることが影響しており、原油安ぐらいでは回復が困難になってしまっているのです。つまり生活が苦しい人は、すでに自動車を手放していて、恩恵が少ない。地方でも燃費のいい軽自動車などが増え、それも原油安効果を出にくくしているのであって、根本の賃金がインフレ状態になって、数年が経たないとこの国の経済は本格的に回復しないのではないか? とさえ見られます。ミステイクをしているのに、誰も見直さない。ミステイクを指摘することさえできない、という日本では、最も改革しなければいけないのは為政者の経済に対する考え方、というところから始めないと、失敗し続けることになるのでしょうね。
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