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[スクランブル]2頭のクジラ、市場回遊[日経新聞]
かんぽ観測に右往左往
ギリシャ債務問題の先行きを懸念し、10日の日経平均株価は3日ぶりに反落した。すっきりしない海外情勢に加えて、相場の方向性を見えづらくしている要因は国内にもある。運用規模と市場への影響力の大きさから「クジラ」と呼ばれる公的マネーの動向だ。クジラの噂に市場参加者が右往左往する姿からは、いまの日本株市場の底の浅さも見え隠れする。
「これが真相か」。6日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が公表したリリースを見るなり市場関係者の多くが膝を打った。GPIFは日本株アクティブ運用の委託先にシュローダー・インベストメント・マネジメント、大和住銀投信投資顧問、野村アセットマネジメントを新たに選んだと発表した。1月下旬、低PBR(株価純資産倍率)株が動意づくなど相場の流れが急変した。関係者はクジラの登場を噂しあったが、やはり買いの正体がGPIFだったのだ。
ポイントはGPIFが「伝統的アクティブ」と呼ぶ3社に委ねた運用手法にある。昨年3月、GPIFは委託先を大きく入れ替えた。幅広い大型株で運用する伝統的アクティブを縮小し、「スマートベータ」と呼ぶ新株価指数に連動する手法や中小型株運用といった先進的な手法を採用した。
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このGPIFの方針転換こそが、高ROE(自己資本利益率)株や中小型株が市場平均を上回る昨年の日本株物色の大きな流れを形成した。だとすると、伝統的アクティブを再度採用した今回の動きは逆行する。
実態はこうだ。GPIFはスマートベータなど新しい手法を拡大したいが、国内債の保有比率を落として株の比率を引き上げる必要にも迫られている。スマートベータや中小型株の運用では数千億円単位の新規追加資金を吸収しきれない。流動性のある銘柄を対象にする伝統的アクティブを追加することで、新規資金の受け皿を増やしたわけだ。
3社採用によるGPIFによる新たな買い付けは、発表前の1月下旬にすべて完了したもよう。相場を大きく動かす買い方を見て市場では「クジラの買い」説が浮上したが、従来と違う物色対象に「GPIFとは別のクジラなのでは」との観測も広がっていた。
「日本でみな騒いでいるが、カンポっていったい何だ?」。香港に出張していた大手証券のトレーダーは外国人運用者からこう聞かれた。別のクジラとは「かんぽ生命保険」のことだ。
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確かに、かんぽ生命は目下株式比率を拡大中だ。10日発表した昨年末の国内株保有額は簿価ベースで7562億円。1年前に比べ2.3倍に増えた。それでも国内債運用が約8割で、株の比率は上げたといっても全体の約1%にすぎない。
「上場を控え、かんぽは運用収益を増やすために株の比率を一段と上げようとしているようだ」(国内証券の金融法人担当者)といい、年明けも買い増しを続けている公算が大きい。
2頭のクジラの一挙一動に目を凝らす市場の風景は少し異様に映るが、一般投資家は自らの保有株がクジラの尻尾の一振りで思わぬ損失を被らないかと戦々恐々の気分だろう。岡三証券の栗田昌孝氏は「多様な買い手が参加していない市場の底の浅さの裏返し」と指摘する。その市場の層の薄さが、さらなる参加者減少を招く悪循環を招かなければいいのだが。
(川崎健)
[日経新聞2月11日朝刊P.18]
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