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〔アングル〕ギリシャ債務危機、地政学リスクと国内政治がせめぎ合い
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0VQ1W520150216
2015年 02月 16日 15:43 JST
[ブリュッセル 15日 ロイター] - ギリシャの債務危機をめぐる対立はつまるところ地政学リスクと国内政治のせめぎ合いだ。ギリシャの戦略的位置やロシアとの地政学的なつながりは、緊縮策の緩和と債務の返済猶予に関する欧州連合(EU)との交渉を優位に導く可能性がある。
その一方で、緊縮策に世論がいら立っているギリシャや、同国の優遇は許さないとするその他のユーロ圏加盟国におけるそれぞれの国内政治事情は、ギリシャへの支援継続を一段と難しくしている。
こうした逆方向の力学のせめぎ合いの行方はユーロ離脱の可否に決着をつけるものとなるが、ギリシャがユーロ圏から離脱すれば、キプロス、ことによるとポルトガルが後に続くのではないかとの観測も市場で浮上しかねない。
西側諸国はこの数十年間、ギリシャを東側陣営に取り込まれないようにするため、同国のつたないガバナンスや放漫財政に目をつぶり資金を投じてきた。
米国のトルーマン大統領はギリシャ内戦時の1947年、全体主義に反対し自由主義を支援するドクトリンを表明、ソ連が支援する共産主義勢力からギリシャを防衛するために資金を投じた。
ギリシャはその後の1952年に米主導の北大西洋条約機構(NATO)に加盟。トルコやイランとともに東西冷戦の最前線に立つことになった。ギリシャ国民の多くは依然として、1967─74年に同国を統治した軍事政権を米国が支援していたことを不快に思っている。
民主的なギリシャが1981年にEUに加盟してから2001年にユーロを導入するまでの20年間、経済発展に役立てるために差し引きで国内総生産(GDP)の4%に相当する財政移転をギリシャはEU予算から毎年受けていた。
EUと国際通貨基金(IMF)が2010年と12年の2度にわたり総額2400億ユーロの対ギリシャ支援を実施した主な背景は、ユーロ圏の一体性を維持するためだった。西側諸国がウクライナ問題でロシアと対立し、多くのEU加盟国でEU懐疑論が広まる中、ギリシャを支援することの地政学的な動機は相変わらず強固かもしれない。
一方、ドイツのメルケル首相もその他の欧州首脳も、ギリシャに貸した資金が返ってこないとは自国の議会に説明したくないと考えている。このため、ギリシャ新政権が当初求めていた債務の減免はなさそうだ。
また、ギリシャのチプラス首相は緊縮策を見直し、最低賃金の引き上げや解雇された公務員の再雇用などを約束している。
ギリシャが欧州と新しい合意に至らず、債務不履行(デフォルト)を引き起こしてユーロ離脱となれば、金融支援をロシアに求める動きも出てきそうだ。
ギリシャのパノス・カメノス国防相は先週、テレビの取材で「われわれが求めているのは取引だ。だが、それが不可能な場合や、ドイツが硬直的な態度を変えず欧州の分裂を望む場合は、プランBに移行せざるを得ない。プランBとは、他の資金源を利用するということだ」と発言。「それは米国かも知れないし、ロシアかも知れない。中国や他の国かも知れない」と述べた。
ギリシャ外相は先週、ロシアを訪問したほか、チプラス首相も5月に同国を訪問する予定だ。
EU内の一部閣僚はギリシャとの債務交渉で地政学リスクを明確に意識している。
イタリアのパドアン経済・財務相は先週、ブリュッセルで行われたEU首脳会議を受けて、ギリシャが欧州諸国との関係を犠牲にして、ロシアとの関係強化に動くリスクは低下したようだとの認識を示した。
ただ、ギリシャが実際にユーロ圏ではなく、ロシアに目を向けるのかは不透明だ。ロシアのプーチン大統領は、ギリシャがこれまでに感触を探った際も同国の支援に前のめりな様子はなかった。
ロシアはおそらくギリシャのエネルギーやインフラ資産に関心はあるのだろう。しかし、欧米の対ロシア制裁や原油安で国内経済が打撃を受ける中、ギリシャ支援に前向きな姿勢を見せていない。
(Paul Taylor 翻訳:川上健一 編集:加藤京子)
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