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カモられる?東京都の官民ファンド
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42110
2015年02月15日(日) ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
東京都が高齢者施設や子育て支援施設などの整備を促進するために、「官民ファンド」を立ち上げるという。都が作るファンドに民間資金も呼び込む形で、都の信用力により資金が集まりやすくなる狙いがあるようだ。舛添要一都知事は東京の国際金融センター化を掲げており、その政策の一環なのだろう。
しかし、「官民ファンド」というのは政府でもうまくいっているのかどうか疑問符がつく。この政策をどう考えればいいのか。
本コラムの読者であれば、昨年11月15日号で、東京都が豪ドル建てで個人向けの都債を発行するというトンでもない金融構想を紹介したことを覚えているだろう。証券会社のセールス・トークそのままに乗せられたような政策で、都民にとってはメリットがなく、証券会社だけを儲けさせる構想だと書いた。
もともと東京都は、金融機関関係者にとってはカモになる「おいしい」役所である。なにより役人が金融のことを知らないうえに、素人のトップが誰かの口車で決めてしまっているような状況が続いているためである。
すでに、悲惨なことも起きている。そのいい例が、石原慎太郎都知事時代の新銀行東京だろう。
新銀行東京は、東京都が1000億円、民間が200億円弱出資しており、いわば「官民ファンド」のようなものだった。'05年4月から開業したが、3年ほどで累積赤字が900億円となって、事実上倒産。結局、東京都の出資1000億円と民間の出資200億円弱はほとんど回収できなかった。
さらに振り返れば、新銀行東京は、東京都の信用力で預金を集めてそれを融資して利益を上げるという目論見を持っていた。どうだろうか。いま舛添知事が構想している「官民ファンド」とそっくり同じ構図ではないか。
新銀行東京の問題点は、銀行業務の根幹である貸し付けがうまくできなかったことに尽きる。
貸し付けは、「言うは易く行うは難し」の典型である。預金を集めることはできても、それをうまく貸し付けて収益を上げるまでに至らず、逆に貸し付けの回収ができないで不良債権の山となって、銀行経営をダメにした。
官民ファンドというのはいつも、資金調達まではできても、それをどこに投資&回収するかが問題となる。それには、多少の「えぐいこと」もやらなければいけない。たとえば回収する際には、ただ単に「返してください」というだけではダメで、サラ金取り立てほどとは言わないが、その一歩手前までは民間ならやる。とても役人や役人上がりではできない話なのだ。
金融というと、高給取りのイメージで何か知的な感じがする。こうしたものに東大出身のエリートである舛添知事は弱いのだろうが、金融の本当の怖さを知らないとも言い換えられる。
こうした事情を踏まえれば、「結果」は想像がつく。
官民ファンドを作っても、官はカネだけ出させられて、それをちゃっかり利用するような百戦錬磨の人たちにいいように身ぐるみはがされるだけだろう。官民ファンドの結果は、新銀行東京のように多額の不良債権となって、出資金はパーになりはしないか。
こうしたうまい話に乗せられやすいトップとカモられやすい役人とのコンビは、金融界から見れば、カモがネギをしょってくる状態に見えているはずだ。
ほんの10年前の新銀行東京と同じ悪夢がよみがえってくる。同じ間違いが繰り返されるだろう。
『週刊現代』2015年2月21日号より
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