01. 2015年2月13日 18:33:27
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コラム:債券の変調が示唆する景気回復と原油底入れ=木野内栄治氏 2015年 02月 13日 13:04 JST 木野内栄治 大和証券 チーフテクニカルアナリスト兼シニアストラテジスト [東京 13日] - 「株式市場は債券市場の愚かな弟」と言われる。確かに、株式市場は先読みが過ぎて見通しを間違うことがあるが、日ごろ慎重な債券市場の利回りが大きく上昇した場合、景況感は底入れし回復トレンド入りとなることが多い。 国内景気の底入れは、実は国際原油市況の底入れにもつながりやすい。株価の一段の上昇を促そう。 株式市場はファンダメンタルズなどを半年前後先行して織り込むと言われる。一方で、債券利回りは景気動向などを織り込む際に、株式よりも慎重だろう。結果、株価と債券利回りは景気のボトム圏では底値の時期がずれやすい。 例えば、2009年3月の「景気の谷」の時期では、日経平均のザラ場安値が08年10月なのに対して、日本10年債利回りの底は08年12月と、2カ月程度、債券利回りが底入れするのは遅かった。 景気の認定日付は多少前後するものの、谷の近くにおいては、こうした株価と債券利回りの2カ月程度の底入れのずれはしばしば観測される。例えば、1993年11月の株式の底に対して94年1月に債券利回りは底入れ、2003年4月の株式の底に対して同年6月に債券利回りは底入れした。 言い換えると、今回のように株価に対して債券利回りのボトムが遅れた状態は、景気が好転したサインだと言える。 2014年は4―6月期、7―9月期と日本の国内総生産(GDP)は二期連続でマイナス成長なので、一般には景気後退期と言われるだろう。しかし、債券利回りの上昇は、成長率の拡大局面が当面継続することを示唆している。 <景況感は回復する可能性大> 株価に遅れた債券利回りの底入れという現象以外にも、筆者は日本の景況感が回復する兆候があると考えている。 まずは景気指標の改善が期待できる。例えば、景気ウォッチャー調査の現状判断DIは1月分までで2カ月連続で改善し、今後も改善が見込める。なぜなら、同指標は統計発表以来、2月分は2度、3月分は1度しか前月比で悪化したことがないからだ。 そのような季節的な動きで景気の底入れを予想するなと言われそうだが、日本の景気の基準日付の谷は戦後の15循環のうち、1度を除いて14回が下半期であり、そもそも季節性が強い。 細かく見ると、10―12月期が景気の底であることが9回で、これらは10月段階で米景気が回復過程にあるときに限られる。米国のクリスマス消費が良いとなれば世界的に製品の作りこみが始まり、日本の景気も底入れするのだろう。 1―3月期が景気の底であったケースは5回で、前年の10月段階で米景気が後退しているケースが多い。クリスマス消費向けの作りこみが世界的に伸びなくても、多くの場合は生産ほどには消費が落ち込まないので、結局、在庫整理が進んで景気は底入れすることが多い。近年では中華圏の旧正月消費の影響も加わっているだろう。 なお、一度だけ上半期に景気の底入れとなったことがあるが、そこでは直前に米景気が底入れしている(1958年)。いずれにせよ、日本の景気は海外消費に対する思惑などを受けて、ほとんどが下半期に底入れしてきた。季節性は重要だ。 また、原油価格の下落は、家計における暖房費負担の減少を通じて、冬場の消費を刺激しやすい。年間を通じた産油国からの所得移転は、日本では主に下半期に効果が出やすいことになる。今回の原油価格の下落は、米国のクリスマス消費に好影響を与えるには波及時間が足りなかったようだが、1月以降の米消費や中華圏の2月の旧正月消費を刺激すると期待される。よって、今後は日本の景況感は改善していくことが期待できよう。 <原油価格の底値は11月から1月が多い> 原油価格の下落によって、世界の消費が冬に刺激されるならば、景況感の改善を受けて原油価格の底値は冬に多いはずだ。実際、原油価格が大きく下落した後の底値の月は、1993年が12月、98年が12月、2001年が11月、08年が12月と冬場が多い。今回のように短い期間での原油価格の下落では1月安値も散見される。 また、世界の景気次第である日本の景気が底入れするとなれば、世界景気の持ち直しで原油の価格が底入れしやすい。実際、日本の景気の底は1993年10月、99年1月、2002年1月、09年3月だ。上記の原油価格の底入れ時期とほぼ同じであることが確認できる。 そして、これらは日本の債券利回りの底の時期とも概ね一致しやすい。前述のように、債券利回りの上昇や季節性が日本の景気の底入れを示唆する中では、原油価格の底入れも期待できることになる。 さて、今回の原油価格の下落には欧州銀行によるポジション外しも影響していた可能性があり、年末で需給悪は峠を越えたと見ている。 欧州でも銀行の資産運用は債券が主だ。債券ポートフォリオのリスク量を小さくできれば、その分運用金額を増やすことが可能で、最終的に受け取り利息合計金額を最大化する手法がとられているケースが多いと思う。そのリスク量を小さくする手法のひとつとして、日々の価格変動(バリューアットリスク)を抑えるために債券価格と逆連動となる商品の先物を組み込むことが有効だ。 特に、欧州銀行は商業銀行業務と証券業務を併設するユニバーサルバンク形態なので、伝統的にデリバティブズを利用したこうした手法に長けている。欧州勢を中心に形成されるバーゼル規制に最適化し、ヘッジファンドのかたちでビークル(器)を外出ししながら、こうした運用手法は拡張してきた。 しかし、米国の「ボルカールール」が、こうした運用に一定の歯止めをかけようと切り込んだかたちとなった。結果、昨年末にポジションの縮小が相当起きたように見える。 報道によれば、仏ソシエテ・ジェネラルの日本における証券業務会社であるニューエッジ・ジャパン証券は、商品先物業務を縮小することを決めた。日経平均先物同様に、同社は東京商品取引所でもトップ級のシェアを有する。また、クレディ・スイスは、ヘッジファンド向けサービス業務の縮小を検討し始めたと報じられた。同時に、欧州最大のヘッジファンドであるブレバン・ハワード・アセット・マネジメントは商品ファンドを清算すると伝えられた。 こうした原油などの商品先物の需給悪化は昨年末に峠を越えた可能性が高い。なお、後述するように、今年6月にも影響が少々示現する可能性もある。 <来年半ばにも債券相場は正念場へ> 債券利回りの上昇局面入りを確認する価格水準は、26週移動平均線(0.443% 2月10日現在)程度だろう。同移動平均線は消費増税前の景気の山である2014年初以来、金利の上値を押さえている重要な抵抗線だ。景気回復となれば上抜けることが期待される。 時期を考えると、期末・中間期末である3月と9月は債券利回りが上昇しやすい。中でも、月の前半に上昇しやすく後半は低下しやすい傾向がある。月の前半は国債入札による需給悪が作用し債券利回りは上昇し、後半は日銀の買い入ればかりが目立って利回りは低下しやすいのだろう。今回は景気回復基調に支えられて、3月上旬に日本の10年国債利回りは0.443%程度を上抜けることになると考えている。 ボルカールール導入は今年7月なので、前述の欧州銀行に関しては、6月の中間期末前には再度ポジション縮小を行う懸念がある。原油に関しては6月には建て玉の多い6月限の受け渡しが始まるので、昨年12月同様に生産者のヘッジ売り単価の一段の下落が問題となりやすい。6月5日には石油輸出国機構(OPEC)定例総会も予定されている。6月下旬頃からのイスラム世界の断食月(ラマダン)入りまでは思惑が交錯しよう。 しかし、この時期までに「原油価格下落は景気回復要因」とのコンセンサスが生まれている可能性が高い。ガソリン価格の低下を通じて夏季休暇シーズンのドライブ消費などを刺激するだろう。これまでは原油価格下落による不安感から債券利回りは低下してきたが、年央には原油価格下落は債券利回りの低下要因ではなくなってくる可能性もある。 さらに、2016年の半ば頃からは、原油安に伴うインフレ率低下の影響がなくなる場面がやってくる。この場面が債券相場の本当の正念場となろう。言い換えると、それまでは景気回復基調の中でも金融緩和圧力がくすぶるという、株式投資に安心感がある場面だと見ている。 *木野内栄治氏は、大和証券投資戦略部のチーフテクニカルアナリスト兼シニアストラテジスト。1988年に大和証券に入社。大和総研などを経て現職。各種アナリストランキングにおいて、2004年から11年連続となる直近まで、市場分析部門などで第1位を獲得。平成24年度高橋亀吉記念賞優秀賞受賞。現在、景気循環学会の理事も務める。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here) http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0LH04C20150213
コラム:「米利上げアレルギー」克服後のドル高シナリオ=村田雅志氏 2015年 02月 13日 15:41 JST 村田雅志 ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 通貨ストラテジスト [東京 13日] - 今年も1月を過ぎたあたりから、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ開始に対する米金融市場のアレルギー反応が目立つようになってきた。米経済指標や当局者の発言から利上げの現実味が帯びてくると、米国株、米国債ともに売られ、逆に利上げが遠のいたように思われると、両者が買われるという現象だ。 例えば、2月6日に発表された1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が25.7万人増と市場予想を上回り、前月分は32.9万人増と大幅上方修正。伸び悩みが懸念されていた平均時給も前年比2.2%増と5カ月ぶりの高い伸びとなった。このように総じて良好な結果を受けて、米国株は小幅下落し、米国債利回りは10ベーシスポイントも上昇した。 一方、2月12日に発表された1月の米小売売上高は前月比0.8%減と市場予想を上回る落ち込みとなり、2カ月連続のマイナス。自動車やガソリン、建設資材、飲食業を除くコア売上高が同0.1%増にとどまるなど、米個人消費の先行き懸念を強める内容となった。国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費が弱いのであれば、通常、米国株は売られるはずだが、この日の米国株は1%近く上昇。米国債も買い優勢となった。 米国をはじめとする世界の市場関係者が、FRBの利上げを忌避したくなる気持ちは理解できなくもない。FRBが2008年12月、事実上のゼロ金利政策を開始してからこれまでの6年余りの間、米金融市場では米国株、米国債ともに上昇基調で推移してきた。 2009年3月に700を割り込んだS&P500は、その後、紆余曲折を経ながらも上昇基調で推移。昨年12月29日には底値の3倍近くにあたる2093まで達した。一方、4%近くあった米10年債利回りは2012年7月には1.37%台まで低下。その後、量的緩和の縮小(テーパリング)に伴い2013年末には3%ちょうど近辺まで反発したが、今年1月には1.63%台まで反落。米国債市場も昨年から買い優勢の動きが続いている。 米国を含めた世界経済の変化も、利上げ開始の先送り「期待」を刺激している。昨年11月からの原油価格の下落で、日欧だけでなく景気が堅調な米国ですらインフレは鈍化。2014年12月の米消費者物価は前年比プラス0.8%と、2009年11月以降最も低い伸びに落ち込み、コア指数も同プラス1.6%と10カ月ぶりの低い伸びに鈍化した。ディスインフレ色が強まりつつある中、FRBが出口戦略と称して利上げ開始に踏み切るのは不自然との見方ももっともらしく思える。 今年に入り欧州中央銀行(ECB)は、量的緩和(QE)の開始を宣言。スイス中銀は突如、スイスフランの対ユーロ上限を撤廃する代わりに中銀預金金利のマイナス幅を拡大させ、デンマークやスウェーデンもマイナス金利の採用に踏み切った。この結果、欧州債利回りは短期債中心にマイナス化が進展。このような状況下でFRBが利上げ開始に踏み切れば、欧米金利差の拡大で、ドルが対欧州通貨でさらに上昇するのは自然のこととなる。利上げだけでなくドル高も加われば、拡大を続けてきた米国景気が後退入りする可能性すらチラつく。 <利上げ後の米景気にくすぶる懸念> 米国の利上げ先送りを願う市場関係者は、本能的に利上げを否定する材料に目が行きがちだ。ディスインフレ、ドル高のほかにも、米企業の業績悪化、新興国市場の資本流出など、米利上げを否定する材料は、見つけようと思えばいくらでも見つけられる。 ただ、こうした状況を承知しながらも、筆者はイエレンFRB議長が注視する雇用・所得環境に大きな変調が見られない限り、FRBが利上げに向けた地ならしをたんたんと進め、今年6月には利上げを開始するだろうと考えている。早ければ3月の連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、これまで盛り込まれていた、利上げまで忍耐強くなれる、との表現が削除され、FRBは利上げ着手に強くコミットしていることを市場に示すだろう。 2月9―10日にトルコで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明文でもFRBの利上げ開始に向けた強いコミットメントが示されている。同声明では、成長見通しがより強固ないくつかの先進国、という表現で米国を指し、金融政策の正常化を許容する状況に近づきつつある、との表現で米国(FRB)が利上げ着手に近づいていることを説明している。仮にFRBが市場関係者の期待通りに利上げ着手に及び腰となっているのであれば、G20声明でこのような表現を容認するとは考えにくい。 筆者の見通し通り、FRBが利上げ開始の準備を進めれば、米金融市場は利上げ開始に対してアレルギー反応を示しながらも、徐々に利上げ開始を前提とした動きを強めるだろう。為替市場では、大方が予想するようにドル高が進むことになる。足元では上値が重いドル円も、節目となる120円を再び超え、ユーロやスイスフランなど欧州通貨も対ドルで下落基調が続くと予想される。 新興国通貨も対ドルで売り優勢の展開となるだろう。特にインドやトルコなど原油安を受けて利下げに転じた新興国の通貨は、市場の米利上げ観測の強まりで短期的には大きく下げる場面もありそうだ。 問題は、FRBが筆者の予想通り利上げを開始した後も、米国景気がFRBの期待を裏切らず拡大基調を続けられるかという点だ。一時的かもしれないが、利上げ開始を受けて米国株は調整色が強まり、米国債は売り優勢の地合いが続くと思われる。現時点では規模は見定めにくいものの、ある程度の逆資産効果が米国で生じると考えた方がよいだろう。 また、日本、欧州、中国など世界の主要国の多くが景気減速に苦しむ中でのドル高は、米国が世界各国の需要不足を埋め合わせる役目を負うことも意味する。ようやく復活しつつある米製造業が、通貨安の恩恵を受けた世界各国企業と伍していけるのかとの懸念もくすぶる。 こうした見方は、決して否定しきれるものではなく、たとえFRBでも「やってみなければわからない」のが本音だろう。中長期の投資家は、近視眼的ともいえるFRBの利上げ開始の有無ではなく、利上げ後の米景気の行方が熟考すべきテーマとなる。 *村田雅志氏は、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジスト。三和総合研究所、GCIキャピタルを経て2010年より現職。 http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0LH0DO20150213
EU、ギリシャ債務問題で工夫の余地探る用意ある=欧州委 2015年 02月 13日 17:40 JST [パリ 13日 ロイター] - 欧州連合(EU)のモスコビシ欧州委員(経済・財務担当)は13日、ギリシャ債務の問題についてEUは「工夫の余地」を探る用意があると表明した。 ただ、同国の新政権はこれまでの合意を尊重する必要があると強調した。 同氏はラジオ局ヨーロッパ1に対し、「(チプラス・ギリシャ首相は)合意内容を尊重するべきで、同時にわれわれはどれだけ工夫が可能かを検討する用意がある」とした。 そのうえで、来週16日のユーロ圏財務相会合が極めて重要と指摘。「難しい会合になるだろうが、決定的なものになる」と説明、「われわれは合意を見いだす必要がある」とした。 第4四半期の独GDPは前期比+0.7%、予想を大幅に上回る 2015年 02月 13日 17:33 JST [ベルリン 13日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が発表した第4・四半期の国内総生産(GDP)速報値(季節調整済み)は前期比0.7%増と力強い内需が寄与し、ロイターがまとめたアナリスト予想の0.3%増を大幅に上回った。
第4・四半期のGDPは前年比(季節調整前)では1.6%増。アナリスト予想は1.0%増だった。 2014年のGDPは1.6%増。連邦統計庁が先に明らかにしていた推定値の1.5%増を上回った。 ウニクレディトのエコノミスト、アンドレアス・リース氏は「サプライズだ。ドイツの景気回復は予想よりもかなり早く始まった。一部では夏以降、リセッション(景気後退)の可能性も予想されていたが、逆に回復した。主に内需がけん引していることは楽観的な材料だ」と指摘。 「今年の成長率が予想を上回る可能性が高まり、他のユーロ圏経済を支援するだろう」との見方を示した。 統計庁は「前四半期と比べると(第4・四半期は)主に国内経済がけん引役となった。とりわけ家計支出が大幅に増加した」としている。 インフレ率が約5年ぶり低水準にとどまるなか、原油安や低金利といった状況を背景に国民は貯蓄よりも支出に積極的だ。企業の投資も、ウクライナ危機など国際情勢をめぐる年央の不透明感に影響されなかったようだ。 ドイツ政府は2015年のGDP伸び率について1.5%になるとの見通しを示している。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LH0HX20150213 内需株高でTOPIX復調、出遅れ修正のリバランス物色 2015年 02月 13日 17:37 JST
2月13日、日経平均に対するTOPIXの堅調さが目立っている。足元で内需株が上昇していることが要因だ。世界経済の不透明感が強まる半面、消費増税延期やインバウンド消費で、内需拡大が期待されている。写真は、東証、2012年撮影(2015年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) トップニュース ビル・ゲイツ氏と中国の万鋼・科学技術相が会談 EU、ギリシャ債務問題で工夫の余地探る用意ある=欧州委 第4四半期の独GDPは前期比+0.7%、予想を大幅に上回る 来週の日本株は堅調地合い、欧州情勢落ち着けば07年以来の高値視野 [東京 13日 ロイター] - 日経平均.N225に対するTOPIX.TOPXの堅調さが目立っている。足元で内需株が上昇していることが要因だ。世界経済の不透明感が強まる半面、消費増税延期やインバウンド消費で、内需拡大が期待されている。 ただ、これまでの出遅れを修正しているだけとの指摘もあり、本格的な買いは来期以降の業績回復を確認してからでも遅くないとの声が多い。 <昨年来高値越えたTOPIX> 13日の東京市場で日経平均は反落したが、TOPIXは横ばい。日経平均は12日に昨年来高値の1万8030円を抜けなかったが、TOPIXは昨年来高値を更新して1455ポイントまで上昇。相対的なパフォーマンスの良さをみせている。 ドル/円は、米金利上昇を背景に一時120円を付けるなど円安が進行。本来なら自動車やハイテクなど輸出株が買われていいはずだが、業種別での上位セクターに並ぶのは、不動産株や銀行株、証券株など内需株だ。 単純平均型の日経平均は値がさの輸出株の影響を受けやすい一方、時価総額型のTOPIXは、銀行など内需系株の影響を受けやすい。輸出株よりも内需株のパフォーマンスが好調であることが、TOPIXを日経平均よりも押し上げている要因となっている。 12日の市場では米系証券のTOPIX先物買いが目立ったが、同じくTOPIXが相対的な強さをみせた10日の市場では、現物株買いが多かった。需給的な偏りは特段見られていない。 <依然出遅れ感強い内需株> この動きが内需系企業の業績などファンダメンタルズを評価した動きであれば、日本株の先行きにも期待が高まる。しかし、12日までに東証1部企業の約97%が発表を終えた4─12月期決算では、内需系企業の業績が輸出系企業には及ばない。 みずほ証券リサーチ&コンサルティングの集計によると、全体の純利益は4.9%増だが、非製造業の純利益は2.1%減。原油安の影響で商社などが減損を計上した影響が大きいものの、銀行が9.5%減、証券は4.0%増とさえない。不動産は12.1%増だが、製造業平均の13.5%を下回る。消費増税先送りの効果やインバウンド消費への期待もあるが、実質所得が伸びない中では限界があるとの声も多い。 「業績評価というよりも、あくまで出遅れ修正の動き。海外勢が、輸出株よりも相対的に出遅れ感のある内需系株を増やす動きリバランスを進めている」(大手証券トレーダー)のが実情だという。 実際、足元で上昇するTOPIXだが、水準で比べると日経平均に対し依然として出遅れている。日経平均は2007年7月のレベルを回復したが、TOPIXはまだ08年1月の水準だ。日経平均とTOPIXの比率であるNT倍率は直近ピークの12.52倍(2月2日終値)から12.35倍まで低下してきるものの、14年7月は11.98割れであり、水準は依然高い。 <グローバル企業の業績に不透明感> 一方で循環物色への期待は高まる。内需株の出遅れ感が修正されるということは、輸出株の相対的な割高感が薄らぐということだ。昨年平均の1ドル110円に対し、現行水準の119円前後の円安が続けば、16年3月期も輸出企業は、増益が期待できるとの見方は多い。内需株物色の一巡後に輸出株に買いが戻ってくる可能性もある。 ただ、来期業績を見据えて輸出株に今から投資するという動きはまだ乏しい。世界経済の不透明感が強まっており、世界的にビジネスを展開しているグローバル企業の業績が読みにくくなっている。「いまだ金融緩和をベースにした金融相場だ」(アムンディ・ジャパン投資情報部長の濱崎優氏)という。 新日鉄住金(5401.T: 株価, ニュース, レポート)は原油価格の下落により、シームレス鋼管などを製造するブラジル関連会社の事業損失として686億円の特別損失を計上した。原油安は資源国にはマイナスだが、先進国にはプラス。しかし、グローバルでビジネスを展開する日本の企業にとってプラスとは言い切れない。 原油安の影響が出る中、日経平均の予想一株利益(EPS)は決算を終えてやや低下しており、来期以降の業績見通しには不安が強まっている。 インベストラスト代表取締役の福永博之氏は「原油安による減損などは、一時的かもしれない。しかし、資源国でビジネスを展開する日本企業にとって、原油安のプラスマイナスがトータルでどのように影響してくるかを本決算で見極めるまでは、本格的な投資はしにくいだろう」との見方を示している。 (伊賀大記 編集:田巻一彦) 来週はイベント目白押しのなか円買い戻しリスクに警戒 2015年 02月 13日 16:49 JST [東京 13日 ロイター] - 来週の外為市場では、ユーロ圏財務相会合でのギリシャ金融支援延長協議の行方、日銀金融政策決定会合後の黒田総裁会見、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録など主なイベントが目白押しだ。ドル/円のボラティリティが高まる中、いずれのイベントも円の買戻しにつながる余地があり、警戒されている。
予想レンジはドル/円が117.00─119.50円、ユーロ/ドルが1.1200─1.1600ドル。 <ユーロ圏財務相会合> 欧州では16日のユーロ圏財務相会合が注目される。同会合は2月28日に期限を迎えるギリシャの第2次金融支援の延長を決める最後の機会となっている。 なんらかのどんでん返しがあり、16日に支援プログラムの延長ないし中継ぎ融資で合意できない場合には、欧州中央銀行(ECB)がギリシャに対する緊急流動性支援(ELA)の停止を検討するなどの措置を講じる可能性も残されている。 <日銀金融政策決定会合> 日銀金融政策決定会合については、政策の現状維持が予想されているが、会合後の黒田総裁会見に注目が集まっている。 「先のG20でも、これまで『ドル高は常に国益』と言ってきた米国のトーンに変化がみられる」(エコノミスト)という。黒田総裁も最近では円安のメリットのみならずデメリットにも言及するようになっているが、米国の微妙な変化に対して日本の円安政策がどのように変化するか注目されるという。 インドを訪問中のルー米財務長官は12日、貿易で優位性を得るため不当に通貨安を狙う諸国に対し、米国は「非常に強く抵抗」すると強調した。 ルー長官は、米国経済は危機を脱したが、他の国はまだ経済成長の促進が必要だと指摘。欧州に対し、金融政策の効果を高めるために、財政政策をさらに活用すべきだと主張した。 一方、ECB,スイス、デンマーク、スウェーデンとマイナス金利政策が相次いでいる連想から、「日銀はマイナス金利を導入しないのかとの質問が出るかもしれない。これに対して、日銀が強く否定すれば、投機筋を中心に円高材料とみなされる可能性がある」と野村証券、チーフ為替ストラテジストの池田雄之輔氏は言う。 <FOMC議事録> 18日に予定されるFOMC議事録(1月27、28日開催分)の公表について、議長会見のない会合だったため、相場材料となりやすい、と池田氏は言う。足元でのFRBのタカ派化を踏まえると、議事録はタカ派的に解釈される公算が大きいという。 <ウクライナ情勢> 独仏露ウクライナ首脳会合でウクライナの停戦が合意され、金融市場では、停戦合意を受けて米中長期債利回りが反発し、ドルが買い進まれた。 ケリー米国務長官は欧州主導となった停戦合意を「歓迎する」との声明を発表した。 長官はまた、停戦の完全順守と関係当事者の武器撤去が「今回の合意とその後の包括合意に向けた最初のテストになる」と指摘。 15日の停戦開始まで、親ロシア派による攻撃停止を含めて全ての当事者が自制を示さなければならないと促した。 「米国が今回、同地域への干渉を控えるか否か、今後の出方を見定める必要がある」(ファンドマネージャー)との声が聞かれた。 (為替マーケットチーム) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LH0JH20150213 【日本株週間展望】続伸、マネーは欧州から日本へ−円安機運 (ブルームバーグ):2月3週(16−20日)の日本株は続伸しそうだ。経済統計の好調や行き過ぎた債券買いの反動で米国の長期金利が反転上昇、これに伴い為替がドル高・円安方向に振れた。企業業績の先行き期待が再燃し、ギリシャ問題が難航する欧州から日本へ世界の投資マネーは徐々にシフトし始める。 BNPパリバ証券の日本株チーフストラテジスト、丸山俊氏は「ファストマネーは米国から量的緩和の欧州に向かい、緩和材料が一巡した欧州から日本へ来る理想的な流れになりつつある」と指摘。特に米国債と為替は6月の米利上げの可能性を織り込む動きが今後想定され、昨年12月のドル高・円安値を更新する展開が見えてきたと言う。 第2週の日経平均株価 は、週間で1.5%高の1万7913円36銭と反発。12日には昨年12月8日以来、およそ2カ月ぶりに1万8000円台に乗せ、終値で2007年7月以来の高値水準を回復した。 1月の雇用統計が予想以上に良好で、米国では連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ前倒し観測が再び高まりつつある。フェデラルファンド(FF)金利先物の動向(13日時点)を見ると、現在の0.25%から0.5%への上限変更を予測する向きが最も多いのが9月で36%。10月の35%、12月の31%が続き、6月は22%。しかし6月派は、1カ月前の18%から増えている。 ドル・円相場は一時約1カ月ぶりに1ドル=120円台に乗せ、昨年12月8日の円安値121円85銭が市場で意識され始めた。24日には、FRBのイエレン議長が半年に1度の議会証言に臨む。ドイツ銀行のエコノミスト、ジョゼフ・ラボーニャ氏は利上げに対し「『辛抱強く』という文言の削除を示唆する可能性がある」とみている。 国内のリスク回避姿勢も和らぐ 日本側の要因からも、リスク回避による円買いが出にくい状況となってきた。1月の景気ウオッチャー調査では、現状と先行き判断DIがともに2カ月連続で上昇、先行きは改善と悪化の分かれ目である50を5カ月ぶりに回復した。昨年12月の機械受注も前月比8.3%増と2カ月連続のプラス。景況感の改善から行き過ぎた債券買いの動きが修正されており、1月下旬に一時0.2%を割れ、過去最低を記録した10年債利回り は0.4%台まで上昇している。 景気ウオッチャーについてバークレイズ証券のエコノミスト、永井祐一郎氏は円安による衣料、食料品の値上げが重しで回復は緩慢としながらも、「電気代やガス代などが4−5月以降は値下げに転じる見込み。そうであれば、家計の交易条件が徐々に改善され、マインド指標も徐々に持ち直していくだろう」と予想した。 米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、ファンド勢による円のポジション は3日時点で5万9571枚の売り越し。昨年来で売り越し枚数が最も少ない水準(14年5月、5万3787枚)に接近しており、過去1年の経験則では円売りが増える方向に反転しやすい局面だ。 今年初から12日までの世界93の株価指数騰落を見ると、独DAX と仏CAC40 がプラス11%、イタリアMIB指数がプラス10%と上昇率トップ10を欧州がほぼ占有。日経平均のプラス3%、米ダウ工業株30種平均のプラス0.8%などを圧倒し、投資マネーの欧州志向を示している。しかし、ギリシャへの資金供与をめぐる同国とユーロ圏財務相らの協議は16日に再度行われる予定で、支援プログラムの期限である2月末まで予断を許さない。ウクライナ情勢も関係国首脳が停戦合意したが、通貨フリブナは対ドルで最安値を更新するなど疑心暗鬼は残る。 春節、世代交代人事 第3週の売買材料は、国内では16日に昨年10−12月期の国内総生産(GDP)、17、18日に日本銀行の金融政策決定会合が開かれ、海外では18日に米国1月の鉱工業生産と住宅着工件数が公表予定だ。 18日から24日までは中国が旧正月(春節)の休みに入り、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニアアナリスト、櫻井亮氏は中国人訪日客による国内消費の押し上げ効果に注目。ブランド中古品販売のコメ兵 や家電量販店のビックカメラ 、百貨店 の1月の免税売り上げの好調に触れ、小売セクターの中でも「インバウンド消費をどの程度取り込めるかで、これまで以上に濃淡が出る可能性が高い」とみる。 上場企業の間で最近、新社長に若手を登用する世代交代が相次いでいる。4月に三井物産 の次期社長に就くのは54歳の安永竜夫執行役員で、現在の取締役や専務・常務執行役員を飛び越しての抜てき人事。自動車部品メーカーのデンソー では取締役でない56歳の有馬浩二専務役員、昭和シェル石油 でも58歳の亀岡剛執行役員が就任予定だ。 帝国データバンクが全国の株式会社、有限会社114万社以上を対象にした分析によると、14年末の社長の平均年齢は59歳と過去最高を更新。最も高いのが不動産業の60.9歳で、製造業が60.5歳、卸売業が60歳と続く。一方、業種細分類で最も低いのが通信付帯サービスの46.8歳で、IT、起業に資金がかからないサービスなどが相対的に低い。社長交代率は3.83%と、直近最高の09年の4.34%、1990年以降で最高だった91年の4.96%などには及ばないが、2年連続で前年を上回った。 BNPパリバの丸山氏は「若くなっただけではだめだが、海外の中長期投資家の間では日本企業の世代交代の必要性はよく言われる」と指摘。特に欧州では「評価項目の中で業績の先行指標として経営者、マネジメントのクオリティに対する比率が高く、ソニーに対する内外投資家の評価の違いは典型」と言う。こうした動きが一段と強まれば、海外勢による日本株の再評価につながっていく可能性がある。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 院去信太郎 sinkyo@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 浅井真樹子, 院去信太郎 更新日時: 2015/02/13 16:37 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJNFMN6JIJVB01.html |