01. 2015年2月13日 12:55:14
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GPIFは為替ヘッジ検討を、リスクゼロあり得ず−清水運用委員 (1) (ブルームバーグ):年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )の運用委員会の委員を務める清水順子学習院大学教授は、外貨建て資産を大幅に増やす中で、円高到来時の為替差損を回避する金融取引(ヘッジ)を検討していくべきだと主張している。 「運用で為替リスクがゼロということはあり得ないと、個人的には思っている」。清水委員は5日のインタビューで、「為替リスクは現物・先物・オプションをうまく組み合わせてヘッジすることが可能だ」と指摘。「GPIFは規模が大きいため、まずはそのような取り組みが現実的なのか検証することが必要だろう」と話した。 GPIFが抱える運用資産は昨年9月末時点で130.9兆円。うち海外資産は38.7兆円だ。同10月末の資産構成見直しでは、基本ポートフォリオの外貨建て資産を従来の23%から40%と、ほぼ倍に増やした。外国為替市場のドル・円相場は昨年、戦後最長に並ぶ3年連続の円安を記録。足元の水準は過去20年間の平均より12円前後の円安となっている。 GPIFの森新一郎企画課長によると、同法人の資産構成は為替ヘッジなしで作っている。為替ヘッジは内外金利差で決まるコストを支払う以上、円相場の騰落見通しを立てることになるとし、GPIFは相場観に基づく投資行動はしていないと言う。資産規模が巨額なので、市場取引の「相手方を確保できるのかという問題がある」とも語った。 ヘッジなし、損失4割超 外国為替市場の1日の取引高は5.3兆ドルに及ぶ。スイスやユーロ圏、オーストラリア、中国などの中央銀行が市場の予想を超える金融緩和を競う中、JPモルガン・グローバル・FXボラティリティ 指数は1月、一時11.68%と約1年7カ月ぶりの高水準に達した。ドル・円でも13.18%と昨年7月の3倍超に上昇した。 円相場は2007年6月に1ドル=124円14銭まで下落した後、世界的な金融危機を背景に11年10月には約4割も上昇し、75円35銭と戦後最高値を付けた。デフレ脱却を掲げる安倍晋三政権の下、日本銀行の黒田東彦総裁による異次元の金融緩和を受け、昨年12月には121円85銭と7年5カ月ぶりの水準まで下げた。 リーマンショックが発生した08年9月から同年末にかけて、MSCIオールカントリー世界指数 は32%下落した。日本の投資家で為替ヘッジをしていない場合、損失は43%に膨らんでいた計算だ。米バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの世界債券指数は同期間に2.6%の収益を上げたが、円建てで為替ヘッジなしなら14.8%の損失だった。 約14兆円の増加余地 GPIFの外貨建て資産は昨年9月末に、外株が22.8兆円で全体の17.41%、外債が15.9兆円で12.14%。ともに残高と構成比の両面で最高を更新した。同9月末の水準から見た場合、新たな目標値までには、外株が値上がりや為替損益も含めて約9.9兆円、外債が約3.7兆円の増額がそれぞれ必要になる。 政府の有識者会議は13年11月の提言で、GPIFなど公的資金を運用する機関に対し、国内債偏重の見直しやリスク資産の拡大検討を推奨。海外資産の比率引き上げは分散投資効果が見込めるとし、資産構成やヘッジ方針の機動的な見直しも検討すべきだと主張した。 清水委員は今回のインタビューで「常にリスク管理を徹底するとともに、機動的な運用も組み合わせて収益を上げていくための体制を作っていきたい」と述べ、「例えば、為替戦略の担当者なども採用することを検討できればいい。もし為替に関する戦略を作っていくなら、運用委員として助言や注文ができると思う」と語った。 清水委員は学究の道に入る前、チェース・マンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)や日本興業銀行(現・みずほ銀行)、バンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレーなどで10年超も為替取引に従事した経験を持つ。 関連ニュースと情報:GPIF:株アクティブ委託先にシュローダー、大和住銀、野村などGPIF:インフラ・PE・不動産の専門家募集、リスク管理責任者もGPIF三谷理事長:内外株式の一体運用検討へ、トヨタかGMか 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net;東京 北中杏奈 akitanaka@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 崎浜秀磨, 青木勝, 山中英典 更新日時: 2015/02/13 10:39 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJOJWI6K50Z001.html 【クレジット市場】黒田信奉者が見る「芽生え」−国債も下落 (ブルームバーグ):日本銀行の景気刺激策の効果を信じる信奉者らは、日本経済に回復の「芽生え」を感じ始めている。 過去2週間のデータによれば、賃金は2014年に4年ぶりに上昇。同年12月の失業率 は17年ぶり低水準となり、鉱工業生産は増加した。日本国債は過去1カ月に値下がりし、ギリシャ国債を除けば唯一下落した国債だった。10年物日本国債の利回り は1月に付けた低水準の2倍に上昇。2カ月にわたって低下していたインフレ期待の指標も上昇した。 原油安はデフレ脱却を目指す日銀の取り組みの障害だが、一方で消費税率引き上げによって落ち込んだ消費者信頼感を燃料値下がりを通じて支える面もある。黒田東彦日銀総裁は先月、消費者物価上昇率を2%とする目標が15年度の終わり、ないし16年度の早い時期に実現すると予想していると述べた。 SMBC日興証券の嶋津洋樹シニア債券エコノミストは、日銀の政策が「奏功していると思う。デフレの時代が終わったことを示唆する兆候がある」と9日の電話インタビューで語った。 「芽生え」は、米国がリセッション(景気後退)にあった09年にバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長(当時)が改善の兆候を指して使った言葉だ。 回復保証せず だが、芽生えは回復を保証するものではない。米雇用統計は労働市場の強さを示す一方、連邦公開市場委員会(FOMC)が重視するインフレ指標は2年以上、目標の2%を下回ったままだ。 三菱UFJ投信の下村英生チーフファンドマネジャーは、日本にも同様の困難があると指摘する。「インフレ率は上昇してはいる。問題は、それが幅広い消費と経済成長に結び付くかどうかだ」と9日の電話インタビューで述べ、「答えはノーだ」と続けた。 インフレ率は黒田総裁が目指す2%ではなく1%前後で横ばいになると同氏は予想。国債の需要も再び高まるかもしれないと述べた。 日銀の取り組みにもかかわらず、日本経済は昨年4月の消費増税後にリセッション(景気後退)に陥り、10年物国債の利回りは今年1月に過去最低の0.195%を記録。原油安がデフレ圧力をさらに強める恐れもある。 ただ、最近のデータは明るい兆候を示した。14年の1人当たり現金給与は0.8%上昇、同年12月の失業率は3.4%と1997年以来の低水準、鉱工業生産も前月の減少から増加に転じた。インフレ期待を示す10年物国債と物価連動債の利回り格差 は10日に0.83ポイントに拡大。10年物国債利回りは10日、0.395%だった。 BNPパリバ・インベストメント・パートナーズ(東京)債券責任者の中村成己氏は、原油安が消費を押し上げると指摘。「人々はもっとほかのことに金を使う。これは経済に追い風だ。日本の景気サイクルは若干上向いている」と10日の電話インタビューで語った。ただ、「まだ道は遠い」とも述べた。 原題:Green Shoots Sighted by BOJ Believers in Bond Drop: Japan Credit(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:シンガポール Wes Goodman wgoodman@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net; Sandy Hendry shendry@bloomberg.net 山崎朝子, Nicholas Reynolds 更新日時: 2015/02/12 08:19 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJLM9L6TTDS101.html 世界最大の政府系ファンドがピークに、原油安で−ノルウェー (ブルームバーグ):ノルウェー中央銀行総裁は原油価格下落により、世界最大の同国の政府系ファンド(SWF)の運用成績がピークに達したとの見解を示した。 オルセン総裁は12日、オスロでの講演の原稿で、ノルウェーが石油業界からの収入の減少に慣れる必要があると指摘した。同国は西欧最大の産油国。 オルセン総裁は「原油価格が1バレル=60ドル近辺では」政府系ファンドに移行する資金が「途絶える可能性がある」と述べた。同総裁は運用資産約8600億ドル(約102兆4000億円)のSWFを監督している。 ノルウェー政府はSWFの最大4%を財政赤字補填(ほてん)に利用できる。同国政府はSWFの運用資産が2020年までに7兆2800億クローネ(約113兆3000億円)に達する可能性があると推計していた。しかし、原油の供給過剰で同国の主な収入源である原油の価格が下落。北海ブレント原油価格は昨年6月のピークから約50%下落したため運用資産の伸びについての予測は実現の可能性が低下している。 ノルウェー政府は景気の過熱を防ぐため原油収入の大半をSWFに振り向けていた。中銀によれば、同SWFの実質リターンは平均でプラス3.8%。政府は「リターンがプラス3%を下回る可能性に備えるべきだ」との見解をオルセン総裁は示した。 原題:World’s Biggest Wealth Fund Has Peaked as Oil Sinks, Norway Says(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:オスロ Saleha Mohsin smohsin2@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Jonas Bergman jbergman@bloomberg.net Tasneem Hanfi Brogger 更新日時: 2015/02/13 10:14 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJOOEJ6KLVR801.html 焦点:完全雇用の水準めぐる議論、米利上げペース鈍化を示唆 2015年 02月 12日 21:04 JST [サンフランシスコ/ワシントン 11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者の間で最近頻繁に議論されている「完全雇用の目標水準」の修正によって、利上げ開始後の引き締めペースは現在予想されているよりも緩やかになる可能性がある。
FRBの現職および元当局者・スタッフ数人へのインタビューによると、完全雇用の状態と見なされる、インフレ圧力が生じ始める「自然失業率」はかなり低いとの見方が内部で定着しつつある。 こうした見方の変化は、年央と予想されている利上げ開始時期を遅らせることはなさそうだが、FRBが雇用拡大とインフレ目標の達成に向け、その後の引き締めペースを緩める妥当な理由となるだろう。 昨年12月時点のFRB当局者の見通しによると、政策金利は現在の0─0.25%から2016年末までに2.5%、あるいはそれ以上に上昇するとの見方が大勢。 また11日に発表されたロイター調査では、利上げ開始は6月との見方が強まった。 FRBのパウエル理事は9日、自然失業率が低くなっている可能性についてFRB内で議論しているとし、5%を下回っているとの見方もあると指摘。そうであれば、インフレ率が加速し始める前にさらに雇用状況を改善させる必要がある、との考えを示した。 5%という水準は、現在の米失業率5.7%やFRB当局者が完全雇用と見なす5.2─5.5%を下回る。 <目標はさらに低い水準に> アトランタ地区連銀のロックハート総裁は6日、インフレ率を目標に向けて押し上げるため、失業率を異例の低水準に押し下げるべきかどうか判断する必要が生じた際、完全雇用の真の水準が議論の焦点になるとし、「これまでわれわれが指摘してきたよりも低い水準を目標にする考えに対して私はかなりオープンだ」と述べた。 ボストン地区連銀とミネアポリス地区連銀の総裁らも完全雇用に関する予測の下方修正を検討しているという。 FRBは完全雇用について物価安定と一致する失業率とし、正式な目標は持たないが、雇用の最大化と2%のインフレ目標達成を目指す責務を踏まえると、自然失業率を正確に評価することが重要となる。 FRBの主な経済モデルの一部として四半期ごとに公表されているデータによると、1960年代以降、自然失業率は平均6.3%と見なされてきた。 しかし、2013年から2014年終盤までにはFRBスタッフが5.6%から5%に引き下げており、来月発表される四半期データでは当局者らが予想を引き下げる可能性がある。 複数の連銀調査によると、予想は4.7%まで低下している。 <一部の当局者は予想据え置き> ただ、すべてのFRB当局者が見解をシフトさせている訳ではない。クリーブランド地区連銀のメスター総裁は先週、自然失業率について5.5%との見方を維持する姿勢を示した。 政策当局者らはリセッション(景気後退)からの脱却時には企業が求める人材に長期失業者が見合わない状況が増えることを踏まえ、自然失業率の予想を引き上げてきた。 しかし、失業率は低下しても賃金や物価に上昇の兆しはなく、当局者は予想の引き下げに転じた。 イエレン議長とほぼ同じ政策スタンスを持つサンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は2年前の約6%から5.2%に引き下げている。 ただ同総裁も、これまでの調査で自然失業率の予想は不透明なため、政策判断の際にこの予想に過度に依存するべきでないと警告している。 (Ann Saphir記者、Howard Schneider記者 翻訳:佐藤久仁子 編集:加藤京子) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LG11020150212 コラム:円安トレンドの「転換」はいつか=山田修輔氏 2015年 02月 12日 18:02 JST 山田修輔 バンクオブアメリカ・メリルリンチ チーフ日本FXストラテジスト [東京 12日] - 先月、英エコノミスト誌の「ビッグマック指数」が更新された。この購買力平価に基づいた指数によると、日本円は対米ドルで34.4%過小評価されており、いわゆる先進10通貨(G10通貨)の中では最も割安となっている。次に割安な通貨はユーロだが、11%の過小評価であり、円との差は大きい。 一方、最も割高となった通貨はスイスフランだ(57.5%の過大評価)。1月15日、「鉄壁」と考えられていた対ユーロの上限がスイス国立銀行(中央銀行)により撤廃されたことは記憶に新しい。 筆者も職業柄、通貨の多角的な適正価格分析を行っている。その試算ではやはりG10通貨内で円が最も過小評価となっている。 むろん、通貨の割高、割安の判断は常に注意を要し、その投資戦略への応用はさらに慎重を期す必要がある。それは、マクロ経済変数のほとんどがそうであるように、為替相場もまた多種多様な要因にけん引されており、適正価格分析が見逃している要因も存在するはずだからである。 実際、過去、為替相場が既存の分析手法で算出された適正水準から乖離(かいり)した状態で推移したり、乖離幅を長期にわたって拡大させた例は散見されてきた。だが、為替相場の変動期において、適正価格分析が水準観を培う上で「拠り所」の一つとなることは確かだ。 <2014年は基礎的国際収支の底> 前述の通り、2012年後半に始まった円安相場の中で、少なくとも現在のマクロファンダメンタルを前提とすれば、ある程度の確度で、円はそこそこの過小評価の領域に入ったといえる。 過小評価が進めば、日本の国際収支動向にどのように反映されるかが注目される。対外収支の基調として、「基礎的国際収支」を「経常収支+直接投資収支+証券投資収支」と定義するとしよう。 経常収支は貿易収支と所得収支により成り立っている。貿易収支は、昨年まで円安の影響でエネルギー収支を中心に赤字が広がったが、今年は空洞化が進んでいるとはいえ、ある程度の価格競争力の回復によって輸出が増えると予想される。 ここ数カ月、黒字化の兆しが見える旅行収支は、金額こそ小さいが、価格競争力の回復を示す一例だろう。世界最大の対外純資産国である日本にとって、所得黒字は短期的には安定的であることが予想され、今のところ円安を受け円ベースの黒字額は緩やかに拡大している。2月9日に公表された12月の国際収支統計では、経常収支が季節調整後で9766億円の黒字と、東日本大震災後の最高値を記録した。 一方、対外直接投資は、少子化、低付加価値製品のアウトソース化が進むなかで、長期的には堅調に推移し続けるだろうが、それでも現状の為替水準では、日本企業のいくぶんかの国内回帰が期待される。また、対外証券投資については、昨年4月から旺盛な外国証券投資が見られたものの、10―12月期は対外株式投資が堅調である一方、対外債券投資は急減速している。 いずれも、多種多様の要因があろうが、円安により日本の資産とオペレーションコストが割安化したことが大きな要因だろう。ただし、原油価格(ブレント)が今年、当社予想の年間平均52ドル前後で推移すれば、2015年は原油安の影響が圧倒的に他の要因を凌駕し、基礎的国際収支は回復すると思われる。 当社の予想では、原油価格の下落にけん引され、2015年の経常黒字は8兆円程度増加する。よって、少なくとも景気サイクルの時間軸で見れば、2014年が基礎的国際収支の底であった可能性は高い。 <短期的には円の割安化が進む可能性あり> こうして見ると、円の割安化が国際収支の改善を伴い将来的に是正される可能性はある。それでも2015年にもう一段の円安を筆者が予想する理由は金融政策だ。 むろん、日銀の量的質的緩和政策(QQE)の市場による織り込みはいったん完了しており、米国の利上げも無条件に円安につながるわけではない。面白いことに、1994年(2月)、1999年(6月)、2004年(6月)という過去3度の連銀の利上げサイクル開始前後を見ると、利上げ月を含む直前の6カ月では、ドル円は平均2.6%上昇しているが、その後6カ月は平均で8.4%下落している。 よって、利上げの前後数カ月を中期的に見ると、「米国の利上げ=ドル円上昇」という法則は過去の例からは必ずしも見出せない。しかし、少なくとも2015年9月に予想される利上げに向けては、円安方向に振れる可能性が高い。 QQEにより、日本の国債金利は軒並み低下しており、今年に入り、2年債は一時マイナス、5年債も一時0%に接近し、10年債もおおむね0.3%前後で推移している。国債市場の流動性の後退や、金融機関の利ザヤ圧縮など、QQEの副作用を指摘する声も上がるなか、日銀の物価見通しは引き続き強気であるため、政策には依然として緩和バイアスがかかっている。 この状態で、短期金利を筆頭に米国金利カーブが全体的に上昇し始めれば、米国金利は依然低水準とはいっても、国内投資家による米国債券買いのある程度の回復が予想され、短期的にはそれを上回る投機マネーも円売りドル買いに走ることは想像に難しくない。この投資と投機フローが経常収支や直接投資の改善の影響を一時的には凌駕すると考えられる。 金融政策の乖離は先述の適正価格分析に直接的にインプットとして内在されておらず、市場の目下の注目点が各国インフレファンダメンタルと金融政策であることを考慮すると、短期的には対ドルでさらに円の割安化が進む可能性がある。 <1ドル=130円手前でピークアウトか> しかし、過去の事例が示唆する通り、米国利上げ前後に少なくともいったんはトレンドが転換する可能性がある。筆者も2012年から始まった円安相場が130円手前でひとまずピークアウトするイメージを描いている。それは、日本の長期的なリフレーション政策の「アンカー」が為替レートから株式市場へ(そして最終的には実体経済へ)変遷することを意味するかもしれない。 また、基礎的国際収支が海外経済の改善と円の過小評価により回復局面に入り、原油安の影響の剥落と需給ギャップのタイト化そしてインフレ期待上昇によりインフレが上昇基調に転ずれば、今は想像し難いが、「デフレ脱却を目指す日銀」による「出口の見えない緩和政策」という前提が問われ始めるシナリオが、来年以降に浮上してくる可能性はある。 むろん、これはむしろ楽観的なシナリオであることは認めざるを得ず、人口減少と積み上がる公的債務のなか、悪化する超長期の経済ファンダメンタルが、さらなる円安水準を正当化するリスクは無視できない。 他方、QQEの債券市場への副作用が表面化し、政策の持続性が問われることにより、早期に円高に振れるリスクもある。ただ、そうしたネガティブシナリオは筆者の中では時期尚早である。 今年に入り米国を除く各国の中銀が緩和に踏み切っている。カナダ、オーストラリアを中心とするコモディティ輸出国はサプライズ利下げを演出し、デフレリスクが高まるユーロ圏は量的緩和政策を発表し、その周辺国の中銀にも緩和圧力は波及している。そうしたなか、先行して追加緩和を打ち出した日銀は今しばらく現状維持が予想され、「円の独歩安」が短期的に進む状況ではなく、クロス円は年初来下落圧力がかかっている。 一方で、こうした緩和策は、ギリシャリスクや原油安の負の影響が懸念されるなかでリスク資産や成長を下支えするため、ドル円への影響の方向性は双方向に決定的と言えない。ただし、「通貨戦争」入りを指摘する声もあり、結果として為替相場のボラティリティは高止まりする可能性は高い。 今年の前半は、国際収支の改善に注視し、米国経済と連銀の利上げサイクル入りのタイミングを計りつつ、今一段の円安シナリオ、そしてその後のトレンド転換の正否を判断していくことになる。2015年は円相場の分水嶺となろうか。 *山田修輔氏はバンクオブアメリカ・メリルリンチのチーフ日本FXストラテジスト。PIMCOをはじめとして米国の金融機関でマクロ経済、市場分析に従事し、2013年より現職。2005年マサチューセッツ工科大学(MIT)学士課程卒、2008年スタンフォード大学修士課程卒。CFA協会認定証券アナリスト。石川県小松市出身。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LG0DN20150212 アングル:ドル高進展の条件、金利上昇で崩れない米株 2015年 02月 12日 18:20 JST [東京 12日 ロイター] - ドル/円JPY=EBSが一気に120円の大台を回復した背景には、米金利上昇でも崩れなかった米株の存在がある。 米利上げへの抵抗力を米株が付けてきたことで、リスクオン方向の動きが加速した。ただ、一部の米企業では、ドル高による悪影響も目立ち始め、微妙なバランスが崩れて相場が逆回転することへの警戒も根強い。 <抵抗力増した米株> 約1カ月ぶりの水準にドル/円を押し上げたのは、米金利の上昇や軽かったポジションの影響もあるが、米株の動きだった。 経済指標の改善で米金利が上昇しても米株が下落してしまえば、リスクオフ方向の円買いが出やすくなり、ドル高・円安は進みにくくなる。 しかし、6日の1月米雇用統計発表後、米ダウ.DJIは2日続落となったものの、その後は0.7%の上昇に転じた。 2年債利回りUS2YT=RRは2月初旬の0.45%付近から一時0.6760%に、10年債US10YT=RRは同1.66%付近から一時2.0280%へと上昇しているが、以前のような神経質さはみられなくなっている。 「雇用統計発表直後の米株下落は、金利上昇に見合った健全な反応の範囲内。その後、株価が戻してきていることで、ドル買い/円売りが正当化されやすくなっている」(国内金融機関)という。 <ドル買い、仕掛けやすい条件整うとの声も> 足元のドル買い/円売りの主体は、外国人投資家と年金など一部の日本勢とみられている。水準が切り上がったことから輸入企業はドル買いに様子見姿勢を強めており、120円台では輸出企業による売りや米国債の利払い・償還の円転玉だとされる売りが頭を押えているが、先行き1─2週間では、先高観も強まってきた。 「市場のセンチメントが変わり、再び中期的なドル高の流れが強まってきた」と、邦銀のあるディーラーは指摘する。米金利が上昇する中で、株価は値を崩しておらず、持ち高も軽くなっているとして「ドル買い/円売りを仕掛けやすい条件が整っている」(同)という。 ドル高・円安けん制発言が警戒された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では「米国は政府としてドル高の是認を繰り返し、日欧の金融緩和は通貨安競争のレッテルを貼られなかった。無難に終えたことで、政治的なノイズでトレンドが変わることはなくなった」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト、植野大作氏)という。 米金利の水準を考えれば、119円前半は押し目買いにいい水準との指摘もある。テクニカルの面からも、昨年12月高値からの三角保ち合いを上抜けており、「様子見だった向きも参戦しやすくなっている。悪材料が出てこなければ、リーマンショック前の高値124.14円も視野に入ってくる可能性がある」(国内金融機関)との声も出ている。 <リスクはFRB議長の議会証言> この流れが巻き戻されるリスクとして意識されるのは、さらに金利が上昇した場合、株価が耐え切れなくなる局面があるかどうかだ。 当面の経済指標では、きょう12日に発表される米1月小売売上高が注目されている。また、米30年債入札US30YT=RRの動向もポイントになりそうだという。「30年債を無難にこなせば、しばらくノイズは入りにくくなってくる」(別の国内金融機関)という。 その先に控えるのは、2月24─25日のイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長による議会証言だ。利上げ時期を示唆するような発言は想定しにくいとの向きが多い一方、発言トーンから利上げ期待が急に高まって、金利が強く反応する事態も警戒されている。 (平田紀之 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LG0VC20150212 【今日のチャート】「債券の代理人」公益株とREITが連動 (ブルームバーグ):米株式市場で公益株と不動産投資信託(REIT) が連動性が高まっている。債券利回り低下が需要を押し上げているためだ。 今日のチャートは、S&P500公益株指数(黒)とブルームバーグREIT指数(緑)の昨年初めからの推移。30銘柄から成る公益株指数は今年1月に最高値を更新、166銘柄に連動するRETI指数は2007年2月のピークに2%以内に迫っている。 ブルームバーグがまとめた両指数の相関係数はこの間にプラス0.960に上昇。12年はプラス0.584、13年はプラス0.677だった。相関係数はプラス1が完全に同じ動き、マイナス1が正反対の動きを示す。 ブラックロックのチーフ投資ストラテジストのラス・ケステリッヒ氏は8日のリポートで、公益株とREITは「債券市場の代理人」だと指摘。米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げが近づく中で、両者とも下落しやすいとコメントした。 関連ニュースと情報:S&P500公益株指数 S5UTIL DES ブルームバーグREIT指数 BBREIT DES 米株式戦略 TNI USS STRATEGY トップストーリー:TOP JK海外トップニュースの日本語画面:TOP JI 原題:Utilities, REITs Draw Closer as Bond Proxies: Chart of the Day(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク David Wilsondwilson@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Chris Nagichrisnagi@bloomberg.net Jeremy Herron, Michael P. Regan 更新日時: 2015/02/13 07:01 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJNAQG6TTDS601.html
PBのGDP比3.3%改善とPB黒字化は同じこと=麻生財務相 2015年 02月 13日 11:51 JST [東京 13日 ロイター] - 麻生太郎財務相は13日、閣議後の会見で、基礎的財政収支(PB)のGDP比3.3%改善と20年度のPB黒字化は全く同じことであると述べ、政府が掲げてきた目標に変更がないとの認識を示した。 12日の経済財政諮問会議で、民間議員は、国と地方合わせた基礎的財政収支(PB)を2020年度に黒字化させる目標の実現に向け、今後5年間、国内総生産(GDP)比で毎年0.5%、約2.5兆円ずつ赤字を減らすよう提言した。足元GDP比3.3%の赤字をゼロにする道筋を示したが、政府が健全化目標として掲げてきたPB「黒字化」の文言が消え、当日の会議でも注文がついていた。 麻生財務相が12日の会議で「目的を変更したかのように誤解されるのは避けてもらいたい」と指摘したのに対し、「当然だ」との回答があったことを明かし、PBの対GDP比3.3%程度改善とPB黒字化は「全く同じことであることを確認した」と語った。 ただ、年間GDP比0.5%程度の改善を目指すとする考え方の妥当性に関して直接的な言及は避け、「夏までに出す次の健全化計画できちんと対応していく」と述べるにとどめた。 安倍晋三首相が施政方針演説で言及した社会保障改革に関しては「自然増を含めて重点化・効率化を進める」と述べた。 (吉川裕子) アングル:製造業にIFRSシフト、デンソー表明でトヨタに思惑 2015年 02月 13日 12:31 JST [東京 13日 ロイター] - 大手製造業の中で、国際会計基準(IFRS)への移行表明が相次いでいる。中でも市場の注目を集めているのが、デンソー(6902.T)の決断だ。筆頭株主のトヨタ自動車(7203.T)は米国会計基準を採用する代表的な企業だが、将来的にIFRS適用を決めるのではないかとの観測を呼んでいる。
金融庁はIFRSの任意適用の拡大を推進しているが、大手製造業が移行すれば、徐々に採用する企業が広がっていく可能性もある。 「デンソーの動きは、大きな意味を持っているのではないか」――。大手証券の関係者はこう話す。デンソーのIFRSへの移行が、筆頭株主であるトヨタ自動車のシフトを予見させるとの思惑を生んでいるためだ。 もっとも、意向表明したのはデンソーだけではない。4―12月期決算発表に合わせて、日立製作所(6501.T)や東芝6502.T>も米国会計基準からIFRSへの移行を公表した。 理由の1つが、グループ内でばらばらだった会計基準の統一化だ。例えば日立グループでは、日立製作所は米国基準だが、日立建機(6305.T)や日立化成(4217.T)などの上場子会社はいずれも日本基準で、採用する会計基準がまちまちだった。日立グループは、日立製作所を含めて上場10社が足並みをそろえてIFRSに移行することになった。日立は「グローバルに経営しているなかで、グローバルの水準に合わせてきちんとした数字を出して投資家に示したい。グループ各社は日本基準だったが、日立グループとしてIFRSに統一して、グループ内の経営スピードが上がるのを期待している」(広報・IR部)とコメントした。 東芝は、グループ全体でIFRSを採用することで「問題意識を共有して、財務規律を重視し、財務体質の強化に努める」(広報・IR室)としている。 トヨタも事情は同じだ。トヨタ本体は米国会計基準を採用するものの、日野自動車(7205.T)やダイハツ工業(7262.T)は日本基準を採用しており、会計基準はばらばらだ。トヨタの広報は、会計基準についての検討状況については「コメントできない」としている。 <会計基準の「乗り換え」を促す要因> 米国基準からIFRSへの乗り換えを促す要因の1つは、近く見込まれる米国基準の制度変更だ。米国基準のルールを決める米財務会計基準審議会(FASB)は2010年、金融商品に関する新しい会計基準についての公開草案を公表した。 日本企業にとっては、持ち合い株式の評価損益の扱いが焦点となる。「米基準のままだと、持ち合い株式の損益がPL(損益計算書)にヒットするような制度変更が行われる可能性がある」と、野村証券・シニアストラテジストの野村嘉浩氏は指摘する。 現在の米国基準は、持ち合い株式の評価損益は「その他の包括利益」(OCI)に含まれるため、基本的には持ち合い株式を売却しない限り、当期純利益は影響を受けない。OCIは損益計算書ではなく「包括利益計算書」に記載される。 しかし、改革案では毎期、持ち合い株式を時価評価して当期純損益に反映させなくてはならない。米国基準を採用し続ければ、持ち合い株式の時価評価で当期利益が上下するリスクに直面しかねない。 一方、IFRSでは持ち合い株式の評価損益をOCIに分類すると指定することができ、売却しても当期純利益は影響を受けない。野村氏は、米国基準の変更について今年半ばにも最終的な結論のドラフトが出ると予想しており、持ち合い株のPLに対する影響を抑えたい企業が先んじてIFRSに移る可能性があるとみている。 トヨタの時価総額は26兆円超。日本を代表する製造業がIFRSへ移れば、雪崩を打って採用する企業が増える可能性もある。東証によれば、現時点でIFRS採用企業は予定も含めて66社。3月期決算企業は本決算で会計基準について考え方を表明する。 三菱電機(6503.T)や、パナソニック(6752.T)、ソニー(6758.T)、ホンダ(7267.T)など、米国基準には日本を代表する製造業が名を連ねており、今後、動向が注目されそうだ。 (和田崇彦 布施太郎 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LH08K20150213 ブラックマンデーのような一時的な急落はあっても不思議ではないから リスク管理は重要だが、短期間でリーマンショックのような事態になる可能性は、現状では非常に低い
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