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「ドイツの緊縮財政は水責めである」(EJ第3972号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/413860921.html
2015年02月12日 Electronic Journal
ここで、欧州連合(EU)の諸問題について考えてみることに
します。なぜEUかというと、現在、EUの深刻な危機が再び囁
かれているからです。
2月8日のロイター通信によると、ギリシャのバルファキス財
務相はドイツのショイブレ財務相との会談が不調に終わったこと
を受けて、イタリア放送協会(RAI)のインタビューで、次の
ような爆弾宣言を行っています。
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もしギリシャがユーロ圏を離脱すれば、他の国が追随し、ユー
ロ圏は崩壊する。ユーロ圏はぜい弱で、カードで城を作っている
ようなものだ。ギリシャのカードを取り除けば全体が崩れる。
──ギリシャ/バルファキス財務相
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このバルファキス財務相の発言は、もしECBがギリシャの要
求を受け入れないのであれば、ギリシャのユーロ圏離脱はあり得
るという宣言です。そうすれば、他の国も追随し、ユーロ圏は崩
壊することになるぞ──このようにECBとそれを主導するドイ
ツに脅しをかけたのです。
今回のギリシャの総選挙で勝利したチプラス首相は、その足で
アテネ郊外のケサリアニを訪れています。ナチスの占領時代に、
ナチス親衛隊に殺害された同胞へ花をたむけるためです。このよ
うに、チプラス政権はドイツに対して強い不信感を持っており、
とくに、この新政権で財務相に就任したバルファキス経済博士は
ドイツ主導の緊縮財政に対し、「間違っている」として、次のよ
うに表現し、批判しています。
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ドイツの緊縮財政は財政上の水責めそのものである
―――――――――――――――――――――――――――――
かつての欧州債務危機は、確かにEUとIMFによる巨額の金
融支援によって表面上は収束したものの、その代わりに支援を受
けた国々は厳しい緊縮財政が課せられたによって、EU全体の経
済成長は停滞し、2012年、2013年とマイナス成長が続き
2014年も0・8%の回復にとどまっています。このようにし
て、EUはデフレの入り口まで追いつめられてしまったのです。
このドイツの経済に対する考え方について、遠藤乾北海道大学
教授は、次のように述べています。
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ドイツと、仲間であるオランダやフィンランドなどは、勤労・
倹約・契約に価値をおく。国ごとに財政を均衡させ、賃金を抑制
し、借りた債務は返済する。ドイツ自身が財政出動などを通じて
内需を拡大し、欧州全体の経済を活性化する意識は乏しい。
ましてや、すでに再編済みの債務をさらに棒引きするなどあり
えない。世論の後押しもある。独大衆紙ビルトは「ユーロの怪物
を選出!」とギリシャ総選挙の結果を伝えた。
──2015年2月3日付、日本経済新聞「経済教室」
遠藤乾北海道大学教授論文「激動ユーロ下」より
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ユーロ圏に属するそれぞれの国の国民性や価値観の違いが鮮明
にあり、何回話し合っても、議論しても、交わることのない哲学
のようなものをそれぞれ抱えていると思います。
ドイツはかつてハイパーインフレに見舞われ、塗炭の苦しみを
経験した国です。そのため、インフレを非常に警戒します。した
がって、今回のECBのドラギ総裁によるインフレ目標を掲げて
の量的金融緩和などはもってのほかでしょう。そのため、ドイツ
は最後の最後までECBの方針に反対したのです。
しかし、債権国家であるドイツは、自国の利益だけではなく、
ユーロ圏全体の経済のことをもっと考えるべきです。なぜなら、
ユーロ圏によって何よりもドイツ自身が一番利益を得ている国だ
からです。EUはドイツによるドイツのためのEUであるという
面も多くあるからです。
遠藤乾北海道大学教授はEU主要国の各国への印象に見る「ス
テレオタイプ」を表にしています。ステレオタイプとは、判で押
したように多くの人に浸透している先入観、思い込み、認識、固
定観念やレッテル、偏見、差別などの類型・紋切型の観念のこと
をいいます。
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≪欧州各国民の各国への印象/ステレオ・タイプ≫
最も勤勉 最も信頼 最も怠惰 最も不信
英国 ドイツ ドイツ ギリシャ フランス
フランス ドイツ ドイツ イタリア ギリシャ
ドイツ ドイツ ドイツ ギリシャ ギリシャ
イタリア
イタリア ドイツ ドイツ ルーマニア イタリア
スペイン ドイツ ドイツ ギリシャ イタリア
ギリシャ ギリシャ ギリシャ イタリア ドイツ
ポーランド ドイツ ドイツ ギリシャ ドイツ
──2015年2月3日付、日本経済新聞「経済教室」
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これによると、ドイツは多くの国で「勤勉で信用できる」と思
われています。EUはドイツあってのEUであり、EUの中心は
やはりドイツです。
「最も信頼」は、ほとんどの国がドイツを上げていますが、ギ
リシャだけは勤勉で信用できるとしたのは、本人たち以外にはお
らず、ギリシャでドイツはまるで信用されていないのです。
そのドイツは、ギリシャを「最も怠惰」な国としており、そし
て「最も不信」に感じている国はギリシャとイタリアです。ドイ
ツはイタリアについても強い不信感を持っているのです。
このような状態で、そもそもEUはうまく行くのでしょうか。
3月からECBによって行われる量的金融緩和はユーロ圏に春を
もたらすのでしょうか。 ─── [検証!アベノミクス/54]
≪画像および関連情報≫
●「日本だけが出口なき金融緩和を実施」/小幡績の視点
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ついに、ECB(欧州中央銀行)が量的緩和に踏み切った。
ここ数年、市場や政治の要求に屈せず、量的緩和からは一線
を画してきたECBまでが量的緩和を行うことで、金融市場
はついに歯止めを失った。では、世界は超金融緩和の世界に
入り、金融市場はマネーに溢れ、バブル突入、世界金融市場
崩壊、となるかというと、そうでもない。量的緩和に対して
原理的にも実践的にも強く反対している私にとっては、その
方が、わかりやすく原稿を書けるのであるが、現実はそうで
はない。なぜなら、堕落したのは日本と欧州だけだからだ。
米国の中央銀行(FED)、あるいはFRBのバーナンキ議
長(当時)が、もっとも量的緩和の正当性を強く主張し、信
じ、愛し、実行してきた。心の底から正しいと思って、ある
意味、前向きに実行してきた。世界で唯一の「明るい金融計
画」ならぬ「明るい量的緩和」を行ってきた。一方、日本と
ECBは、市場と政治とエコノミスト世論の量的緩和の催促
に、抵抗を続けてきた。日本銀行の白川前総裁は、理論で量
的緩和に抵抗してきたが、政治の力に屈せざるを得ず、最後
はアコードを結び量的緩和を行った。しかし、それでも、量
的緩和を行うに際して、副作用だけ説明する「辛気くさい量
的緩和」であり、そのせいで、せっかく量的緩和を行っても
効果がなくなってしまったと、揶揄された。
http://bit.ly/1ANfqMG
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