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輸出で稼ぐ構造変化 14年の経常黒字、最小の2.6兆円
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS09H1D_Z00C15A2MM0000/
2015/2/9 12:10 日経新聞
財務省が9日発表した2014年の国際収支速報によると、モノやサービスなど海外との総合的な取引状況を表す経常収支は2兆6266億円の黒字だった。黒字額は前年比で18.8%減り、現行統計が始まった1985年以降で最小。輸出から輸入を引いた貿易赤字が過去最大になった分を企業の海外子会社の稼ぎを映す第1次所得収支の黒字で賄った格好で、日本の稼ぐ構造の変化を鮮明に表している。
経常収支の黒字額は東日本大震災があった11年から縮み続けており、14年はピークだった07年のわずか1割まで落ち込んだ。黒字額の縮小は4年連続で、3年連続で過去最小を更新した。
経常収支のうち、貿易収支の赤字は10兆3637億円と、前年比で1兆5903億円膨らんだ。赤字は4年連続で、赤字額は比較可能な1996年以降で最も大きい。
輸出は前年比9.3%増の74兆1225億円。2年連続の増加で、自動車や科学光学機器が好調だった。輸入は84兆4862億円と前年比で10.3%増えた。原子力発電の代替電源になる火力発電向け液化天然ガス(LNG)の輸入が11.2%増えた。14年4月に消費税率を引き上げる前の駆け込み需要に対応するため、1〜3月に企業が輸入を大幅に増やしたことも影響した。
旅行や輸送などのサービス収支は3兆932億円の赤字だった。赤字額は前年比で3854億円縮小した。赤字が縮んだのは、訪日外国人が国内で使う金額から日本人が海外で支払う金額を引いた「旅行収支」と、日本企業が海外企業から受け取った特許使用料などの「知的財産権等使用料」の影響だ。
旅行収支は1251億円の赤字。赤字額は前年比で5294億円縮んで過去最小になった。14年の訪日外国人旅行者数が前年比で29.4%増え、過去最高の1341万人になった影響が大きい。このまま訪日外国人が増え続ければ、15年は黒字に転じる可能性がある。知的財産権等使用料は過去最大の1兆6948億円の黒字だった。
一方、企業の海外子会社の稼ぎを反映する第1次所得収支の黒字は18兆712億円と前年比で1兆5957億円増え、比較可能な85年以降で過去最大になった。直接投資や証券投資の収益で貿易赤字を賄う構図が一段と強まっている。
足元で原油価格が下落しており、「15年は輸入額が減り、経常黒字は再び拡大に転じる」との声もある。ただ一方で、製造業を中心に海外の生産拠点を拡大し、現地から販売する構図は変わりそうになく、経常黒字の縮小傾向は今後も続くとの指摘も出ている。
同日発表の14年12月の経常収支は1872億円の黒字だった。黒字になるのは6カ月連続。輸出額が7兆1005億円と前年同月比で19.3%増えた。財務省は「原油価格や金利、為替相場などが影響するため、今後の傾向は見通しにくい」と説明している。
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