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「スイス銀の次に問題は日銀である」(EJ第3970号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/413695166.html
2015年02月09日 Electronic Journal
アベノミクスにより、「円安株高」の傾向が定着しつつあった
1月半ばのことですが、突如「円高株安」という光景があらわれ
たのです。何が原因でそうなったのでしょうか。
その原因は、スイスの国立銀行の次の宣言があったからです。
1月16日の朝日新聞デジタルは次のように伝えています。
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スイス国立銀行(中央銀行)は15日、欧州政府債務(借金)
危機をきっかけに、通貨スイスフランが高くなるのを抑えるため
に導入した対ユーロ相場の上限目標を撤廃すると発表した。これ
を受けて、金融市場ではスイスフランが買われ、ユーロに対し、
一時30%の急騰となった。
スイス国立銀は、2011年9月、危機でユーロ安が進み「安
全資産」としてのスイスフランが上昇していたため、1ユーロ=
1・2スイスフランを上限に設定。それを超えて値上がりしそう
なときはスイスフラン売り、ユーロ買いの為替介入を無制限に実
施することを決めた。これにより為替相場は、1ユーロ=1・2
スイスフラン前後で推移していた。
──2015年1月16日付、朝日新聞デジタル
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そもそもスイス国立銀行は、どうして1ユーロ=1・2スイス
フランの上限を設けたのでしょうか。それには、スイス国立銀行
がこの決断をした3年前の状況について知る必要があります。
その原因は、当時のギリシャ危機に端を発した欧州財務危機が
PIIGS諸国(ポルトガル、アイルランド、イタリア、スペイ
ン、ギリシャの各国)全般に広がっており、各国の国債価格が急
落しつつあったことです。このままでは国債の借り換えが困難化
し、放置すると、投資家がそれらの国々から資金を引き揚げ、よ
り安全な避難先を探すことになります。
その安全な避難先として選ばれたのがスイスフランなのです。
スイスフランは「堅い」イメージがあり、世界の退避資金がスイ
スフランめがけて一斉に流れ込んだのです。当然スイスフランは
強くなり、スイスの輸出業者は苦しむことになります。
そこでスイス当局としては考えたのです。スイスフランを「ダ
メな通貨」であるユーロと連動させると宣言し、安全な避難先と
しての魅力をわざと奪い去ってしまえば、スイスフランへの怒涛
の投機資金流入が避けられると考えたのです。そしてその結果行
われたのが、無制限為替介入です。
しかし、この考え方には問題があります。ある国の通貨を他の
国の通貨──ここではユーロに連動させるということは、その金
融政策も同じにしなければならないことを意味します。そうでな
いと、金利差などに代表される、通貨間での魅力の差が生じてし
まい、無制限為替介入の労力がその分、増えてしまうからです。
それでもスイス国立銀行の無制限為替介入はそれなりの効果を
発揮したのです。それにこの3年ほど、いわゆる欧州危機はドラ
ギ総裁の采配によって少しずつ収まりつつあったのです。しかし
この3年の間に投資家たちは、スイス当局の無制限為替介入の方
針を前提として投資を行うようになっていたのです。
そして2015年、再びユーロ圏の経済は悪化し、ギリシャも
総選挙の結果、緊縮反対派が勝利し、ギリシャのユーロ圏離脱の
危機も懸念されている状態です。このままでは、デフレの懸念も
あるので、ECBのドラギ総裁は、1月の政策決定会合で量的金
融緩和を決断する可能性が確実視されていたのです。
これによって、スイス当局は完全に追い込まれたのです。そう
でなくても現在スイス国内では不動産バブルの兆候が生じており
これ以上ユーロ圏が緩和すると、スイス国立銀行は、それに調子
を合わせてさらに緩い金利政策は取れないからです。
そこでスイス当局が決断したのが無制限為替介入の突然の終了
です。この発表に大混乱になった投資家たちは、株などのリスク
資産を売る一方で、安全資産である円や日本国債への資産逃避に
なだれを打ったのです。メディアはこれを「有事の円買い」と呼
んでいます。
これによって、投資家の間では中央銀行をどこまで信用してい
いものか疑念が広がりつつあるといわれます。そして、スイスに
続いて、日本も中央銀行である日銀が、先進国の中央銀行として
は、極端な金融政策を取っており、何かが起きたとき、次に危な
いのは日本だと思われているのです。
クレディ・スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏も次の
ように述べています。
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日本銀行が異次元緩和を始めてまもなく3年目に突入しますが
大量に国債を買い続けるこの政策は限界が近づいてきました。ス
イスの例を見てもわかるように、無理のある異常な政策はどこか
でやめなければいけない時が来るのです。
そして中央銀行が降りる決断をした際には、副作用は避けられ
ない。このほどスイス中銀がギブアップすると、スイスフランは
対ユーロで一気に3割ほど急騰しました。日本に置き換えれば、
1ドル=120円から85円になったわけで、日本でも同様の事
態になれば、これほどの急激な円高シフトが起きかねないといえ
ます。 http://bit.ly/1xF9Apw
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現在、円安に振れているのは米国の利上げの観測があるからで
す。この6月にもイエレンFRB議長の判断で利上げが行われる
という観測が行われています。しかし、米国での賃金の上昇は遅
れているのです。このままであると、米国の利上げは6月よりも
もっと後にズレ込む可能性もあるのです。
世界のメディアでは、イエレン議長は簡単には利上げに踏み切
れないと予測しています。それは、急激に進行している原油安が
あるからです。もし、「1バレル=35ドル」前後まで下がると
円安のシナリオは崩れる可能性が濃厚であり、事態を注視する必
要があります。 ─── [検証!アベノミクス/52]
≪画像および関連情報≫
●「スイスショックはなぜ起きたか」/窪田真之の時事深層」
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スイス国立銀行(中央銀行)が1月16日、2011年以来続
けてきた無制限の為替介入を突然やめると発表し、スイスフ
ランが1日で一時30%もの急騰(対ユーロ)を演じたことが
世界中に波紋を広げている。「中央銀行は嘘をついていいの
か?」。スイスフラン急騰で大きな損失をこうむった投資家
からは恨み節が聞こえる。スイス中央銀行が1ユーロ=1・
2スイスフランを上限として無制限のスイスフラン売り介入
をすると宣言していたことを信じて、スイスフランを売り建
てていた投資家は、一瞬にして大きな損失をこうむることと
になった。中央銀行の介入は、為替市場に大きな影響を及ぼ
すが、それにも限度はある。スイスは、国土面積では日本の
九州とほぼ同じ面積の小さな国だが、経常収支で黒字を稼ぎ
続ける「高信用国」である。放っておけばスイスフランは対
ユーロで上昇を続けることになる。スイスは国内の輸出産業
の競争力を維持するため、無制限のスイスフラン売り介入を
宣言してスイスフラン上昇を抑えてきた。ところが、欧州中
央銀行(ECB)が追加金融緩和に踏み込む公算が高まり、
ユーロ売り・スイスフラン買いの市場エネルギーが増大して
きたために、スイス国立銀行は介入でスイスフランの上昇を
抑えることを断念せざるを得なくなった。かつて日本円は、
スイスフランと同じ「高信用通貨」とみなされ、絶え間ない
買い圧力に悩まされていた。為替介入だけでは円高を止めら
れないという、スイスと同じ経験をしている。
http://bit.ly/1zHBcyf
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