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FCVだけじゃないクルマが進む「もうひとつの未来」とは
http://dmm-news.com/article/915723/
2015.02.06 20:31 FUTURUS
開発が始まって既に20年以上の時間が流れている水素で走るFCVこと“燃料電池車”。
昨年末にようやくトヨタ自動車が市販に漕ぎ着けた訳だが、多くの人達にとっては車名が示すように“MIRAI”が一足飛びにやって来たイメージだったのではないだろうか。
同様に、自動走行システムについても1980年代の米TVドラマ『ナイトライダー』のストーリー上で早くから織り込まれていたように、その歴史は意外に古い。
■ テスラが『モデルS』の自動走行車を発表
米IT大手のGoogleが2010年に発表した自動走行システムが世界の自動車メーカーに刺激を与え、先頃米EVメーカーのテスラがいち早くオートパイロット機能を装備した『モデルS P85D』を発表した。
カメラやレーダー、360度のソナーセンサーを組み合わせて常に車両の周囲をセンシングしており、追い越し時の車線変更や自動駐車などを含めた自動走行を実現している。
もちろん、クルマだけでなく歩行者も認識、信号や標識に従った自動走行が可能で、他の自動車メーカーもこうした“自動走行車”の開発に余念がない。
■ 完全自動走行なら対面式シートも可能に
そうしたなか、メルセデスベンツが今年1月に米国で開催された家電ショー『CES 2015』に画期的なコンセプトカー『F 015ラグジュアリー』を出展した。
このクルマはエンジンに代わる燃料電池を搭載した航続距離1,100kmを誇るPHVであるだけでなく、同社が30年に渡って研究を続けてきた最新の自動走行システムが搭載されている。
これまでGoogleを筆頭にテスラやGM、アウディなどの欧米勢や、トヨタ、ホンダ、日産などの日本勢が自動走行車を披露してきたが、このモデルでは具体的な方向性を提示している点が注目される。
インテリアはラウンジ風になっており、シートは対面式を採用、移動時も普段と同様に自由な時間を過ごすことが可能で、クルマが自宅、オフィスに次ぐ、第3の空間になるというものだ。
つまり、メルセデスベンツは自動走行により実現する世界を具体的な形で示したという訳だ。
■ 道路交通法の見直しが必要
一方、世界の交通法規は基本的に『ジュネーブ道路交通条約(1949年)』と『ウィーン道路交通条約(1968年)』をベースに運用されている。
この条約ではいかなる場合においても運転者が車両を制御下に置くことを義務付けている。
つまり、“完全自動走行”はこれに反することになり、実現するには根本から条項を定義し直す必要があるため、現在その作業が行われているそうだ。
自動走行の実現に向けた動きが活発になってきたのは、IT技術の発達と、毎年全世界で130万人近い人達が人間の認知や判断ミスの犠牲になっており、交通事故死への抜本的な対応が急がれているためだ。
日本でも昨年6月、欧米の動きを踏まえて、国土交通省が2020年代初頭を目標に“オートパイロットシステム”の実現を目指すと宣言した。
また、日産自動車は今年の1月9日、自動走行システムの発展とその商業的応用に向けて、NASAと共同で研究開発を行う5年間のパートナーシップを締結したと発表。
この分野で先行するGoogleも、世界の主要自動車メーカーを巻き込んで2020年を目処とする自動走行システムの実用化を目指して協議を開始している。
■ 2017年に準自動走行システムを導入
自動車各社は実際の道路での実証試験を既に始めているが、目下の課題はリアルな交通環境下で車載コンピューターが歩行者や周辺車両のファジーな動きをどこまで事前に予測できるかだという。
その実現にはまだまだ経験値の積み上げが必要なことから、日本政府は完全自動走行システムの実現の前に、まず準自動走行システム搭載車の2017年市販化を目指している。
具体的には以下の定義で開発が進められている。
・レベル1:安全運転支援システム(実用化済)
自動ブレーキ、前車追従クルーズコントロール、レーンキープアシスト等
・レベル2:準自動走行システム(2017年以降)
加速・操舵・制動のうち複数の操作を同時にクルマが行う
・レベル3:準自動走行システム(2020年代前半)
加速・操舵・制動の全てをクルマが実施、緊急時のみ運転者が介入
・レベル4:完全自動走行システム(2020年台後半)
運転者の関与なし
新幹線の運行制御で50年以上安全記録を更新し続けている日本が次に目指しているのが、交通事故死激減を実現するための自動走行システム。
2017年を皮切りにいよいよ始まるこれらの“高度運転支援システム”の展開に大いに注目したい。
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