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社会保障費を削減せざるを得ないのはなぜか 2015年度予算案から見えてくる政府の懐事情(J-CASTニュース)
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/439.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 2 月 05 日 17:33:15: igsppGRN/E9PQ
 

社会保障費を削減せざるを得ないのはなぜか 2015年度予算案から見えてくる政府の懐事情
http://www.j-cast.com/2015/02/05226808.html?p=all
2015/2/ 5 11:38 J-CASTニュース


消費税が8%に上がり、私たちの税金の使い道が気になるところだが、新聞やテレビのニュースを見ても政府予算の話はわかりにくい。2015年度政府予算案は1月26日に開会した通常国会で与野党の論戦が始まったが、ここで一般会計の税収と歳出の推移を把握しておくと、日々のニュースが理解しやすい。

日本の財政は高齢者の進展で年金や医療・介護費など社会保障関係費が毎年約1兆円ずつ増えている。8%はもちろん、10%に消費税を上げても必要な経費を穴埋めできないのが実態で、不足分は国債を発行し、補わざるを得ない状況が続いている。

■収支のバランスが崩れるのは、バブル崩壊後

安倍晋三首相は1月14日、首相官邸で記者団に、

「本日、新年度予算案を閣議決定した。元気で豊かな地方の創生、子育て支援など社会保障の充実に最大限取り組むとともに、国債発行額は当初予算として6年ぶりに40兆円を切ることができた。経済の再生、財政健全化の同時達成に資する予算になった」

と述べた。しかし、これだけでは、何のことかわかりにくい。

私たちが政府に納めた税金が毎年どれくらいあり、政府がそれを何にどれくらい使っているのか? まずは一般会計の税収と歳出のグラフ(1)(財務省「我が国の財政事情」より)を見てみよう。歳出とは政府が年金や医療・介護費など社会保障関係費や公共事業費、防衛費、文教費、地方交付税交付金(地方への仕送り)などに使ったカネのことだ。

戦後、高度経済成長を経てバブル経済が崩壊するまでは、税収の伸びに歳出が連動する形で右肩上がりを維持していた。収支のバランスが崩れるのは、バブル崩壊後だ。税収は消費税を導入した直後の1990年度、60.1兆円と戦後のピークを記録。それがバブル崩壊後の1992年度には54.4兆円に落ち込み、それ以降の「失われた20年」は、税収が40兆円台から50兆円台前半で低迷。リーマンショック後の2009年度には38.7兆円まで税収が落ち込んだ。

■地方交付税や文教・科学振興・防衛費などの合計はあまり変動がない

一方、一般会計の歳出はバブル崩壊後も、景気対策の公共事業の積み増しや高齢化の進展で右肩上がりを続けた。歳出の内訳をグラフ(2)(同)で見ると、バブル期の1990年度に69.3兆円だった歳出は2000年度に89.兆円、2015年度は96.3兆円に増えた。地方交付税や文教・科学振興費・防衛関係費などの合計はあまり変動がないが、年金や医療など社会保障関係費が急増しているからだ。国債の元利払いに充てる国債費もかさんでいる。

とりわけ、高齢者の増加とともに増える社会保障関係費の増加は著しい。1987年度に10兆円台に乗った後、2005年度に20兆円、2014年度に30兆円の大台を突破した。予算編成に当たる財務省は「日本人の平均寿命が伸びるのはうれしいことだが、年金や医療費の支出が増えるのは国家にとっては負担となる。必要な支出をすべて賄えれば理想的だが、なかなかそうはいかないので、予算を絞り込まざるを得ない」と漏らす。放っておけば、高齢者の増加で増え続ける一方の社会保障関係費にカンナをかけ、少しでもムダな予算は削減せざるを得ないというのだ。政府はこれを「歳出の効率化」と呼んでいる。

■消費税8%に引き上げても税収はバブル崩壊直後の水準

安倍首相の発言通り、政府は2015年度予算案で「消費税増収分を活用し、子育て支援と医療・介護分野の充実を可能な限り実施する」と社会保障の充実を目指しているが、「介護サービス料金(介護報酬)をメリハリをつけて引き下げ、介護保険料の上昇を抑制、利用者負担を軽減する」と、涙ぐましい削減努力もしている。

消費税が8%に上がった効果(1兆6860億円の税収増)もあり、2015年度の税収は54.5兆円となる見込みだ。この結果、安倍首相が語るように、新規国債発行額(建設国債=4条公債と、赤字国債=特例公債の合計額)は36.9兆円と、40兆円を切った。税収54兆円台は近年では久々の好循環を印象づけるが、消費税を8%に引き上げてもバブル崩壊直後(1992〜1993年度)の水準に過ぎないのが現実だ。


※文中の図表2枚は下記の財務省のサイトにある資料「我が国の財政事情」から
 http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2015/seifuan27/04.pdf 

(1)=2ページ、「一般会計税収、歳出総額および公債発行額の推移」
(2)=7ページ、「一般会計歳出の主要経費の推移

 

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コメント
 
01. 2015年2月05日 19:16:07 : EEAdLGpT3o
バブル前から高度経済成長を前提にした公共事業が多くあり、更にバブル崩壊以降は「内需拡大とか雇用促進」とかのおかしな大義名分で「右肩上がりの高度経済成長を前提にした公共施設」を多く造ったようです。
最近は公共工事が減ったとか言ってますが、その頃に造ったものの維持、修繕、改修などに膨大な予算が配分され、それは「新設と維持にかかるコストを合計」すると、公共工事全盛の頃と変わらない位と言うデータもあります。
それでその「右肩上がりの高度経済成長」は無くなりGDPと言う数字だけ何故か上昇しているように見えますが日本の人口と国民の資産と年収と年金を含めた生涯年収は減る一方で、何故か公共施設の新設と維持のトータル予算は減っていない。
つまり相対的に 「内需に投ずる予算のヒトへの配分と無駄な公共施設へに配分の比」が無駄な公共施設への比が大きい方へ動く一方です。
要するに人に対する予算より無駄なモノへの予算配分比が増す方向へ傾いているから、「モノは減らずヒトは減る、相対的にモノに対しヒトはものすごく減る」・・・ただそれだけの話なのです。
道路や橋などで費用対効果で悪くないものは、民間人の所有不動産の価値を上昇、或は上昇しなくても減少を防止する効果はあるからまだ良いのですが、その他の民業圧迫するもの、特に維持コストのかかるもの、津波や地震や液状化のリスクが大きいものは果たして存在意義があるのかどうか?
東日本大震災の時も、津波の時に逃げ込んだ体育館とかで大勢に人が無残な亡くなり方をしてますね。
今の日本にミスマッチな「公的モノ」が、人口に対して、或は「外貨獲得力のある事業活動」に対して予算配分比の増加が続くとその期間は「人口減につながる経済、や人口減の負のスパイラル」は続くと考えます。
所得再配分、内需拡大、雇用促進などの経済対策が必要なら、実は今は「介護、医療、保育や子供の生活支援、などの割合を増やせばよいだけ」なのです。
老後不安の問題は「公共事業の多くを介護、医療、保育」などに配分すれば済む話だと思うのです。

02. 2015年2月06日 10:17:25 : nJF6kGWndY

今後も経済の衰退と人口の超少子高齢化が続く状況では、これまでのような低負担、中福祉(医療は高福祉)は持続不可能という当たり前の話

http://www.iza.ne.jp/kiji/life/print/150205/lif15020516000007-c.html
年金水準の実質引き下げ、4月分から実施…「長寿化」「仕送り負担」反映
2015.2.5

 年金額が今年4月分から原則0・9%引き上げられる。増額は16年ぶりだが、物価や賃金ほどは上がらず、実質的には引き下げ。少子化と平均余命の伸びを年金額に反映する「マクロ経済スライド」が初めて実施されるためだ。一定の経済成長が続けば、約30年行われ、年金水準は引き下げられる。受給世代にも将来世代にも厳しい施策だが、年金制度をどう持続させるかが問われている。(佐藤好美)

        ◇

 引き上げは、今年6月に振り込まれる4、5月分の年金額から実施される。国民年金が満額の人で月に608円、厚生年金のモデル世帯で同2441円の増加になる。

 年金は原則、物価や賃金が上がれば増え、下がれば減る。平成27年度は、物価や賃金の動向だけ見れば2・3%の引き上げ。国民年金が満額の人なら、おおむね1500円分だ。だが、2つの要因で圧縮される。これが目減りの理由だ。

 要因の1つは「特例水準の解消」。現在の年金は、過去に物価が下がったときに行われるべき減額が不十分で、本来の水準よりも高い年金(特例水準)が支給されている。今回は、その是正で0・5%が引き下げられる。これで、過去約15年にわたり、本来よりも高い水準だった状態が解消される。

 もう1つは「マクロ経済スライド」の実施。少子化と長寿化に伴う水準抑制だ。

 保険料を納める現役世代の減少と、年金を受け取る高齢者の平均余命の伸びを年金額に反映する仕組みで、平成16年の年金改正で導入された。現役世代の「仕送り」負担を軽くし、次世代に年金制度を引き継ぐ「切り札」とされた。だが、デフレが長く続き、実施されなかった。物価や賃金が下がったときは実施しないルールがあるからだ。

 昨年の物価上昇を受け、来年度に初めて実施され、0・9%が引き下げられる。うち0・6%が少子化要因、0・3%が長寿化要因だ。

 これら2つのマイナスを差し引き、年金は原則0・9%引き上げられる。国民年金や厚生年金など、すべての公的年金が対象になる。

 【平成27年度の年金月額】

      平成26年度   平成27年度

 国民年金 6万4400円  6万5008円

      (新規裁定の満額) (+608円)

 厚生年金 21万9066円 22万1507円

      (モデル世帯) (+2441円)

 ※26年度額に0.9%分を上乗せしても27年度額にはならない

 ■マクロ経済スライド 後世代に年金原資を分配

 年金水準の引き下げは、高齢者だけに我慢を強いるものではない。若年層にとっても厳しい。表下は、一定の経済成長があり、マクロ経済スライドを実施したときの厚生年金のモデル世帯の年金額だ。厚生労働省が昨年6月に示した。

 例えば平成26年度に35歳の夫婦は、65歳で合計約25万円の年金(夫の厚生年金と夫婦の基礎年金)を受け取る。そのころ、現役男子の平均賃金は50万円弱と推計され、年金はその約50%。この割合が、年金の水準を示す「所得代替率」だ。

 所得代替率を見ると、今の受給世代に比べて年金水準が低いことが分かる。

 一方、現在の受給世代の年金水準は実は、10年前よりも高い。マクロ経済スライドをはじめとする水準抑制が効かなかったためだ。その分、今後の調整期間が長引き、後世代のダメージも大きい。しかも、一定の経済成長がなければ、再びマクロ経済スライドは止まる。

 昨年秋、厚生労働省の社会保障審議会・年金部会で、委員の出口治明・ライフネット生命保険会長は「年金は持続可能な制度であるべきだ」としたうえで、こう続けた。「洋の東西を問わず、沈む船から救命ボートをおろすときは、まず子供が先。そうでないと、その民族は滅ぶ。そういう観点を根本に、議論を進めてほしい」。マクロ経済スライドは、限られた年金の原資を、後世代に分配する仕組みだ。年金制度を引き継げるかどうかは、この継続的な実施にかかっている。

 同部会は今年1月、「マクロ経済スライドによる調整が先送りされないよう工夫することが重要」とする報告書をまとめた。厚労省はこれを受け、デフレ下でのマクロ経済スライドの実施など、水準調整を行う法改正を検討中だ。

 ただ、水準引き下げの影響はとりわけ将来の基礎年金(国民年金)で大きく、年金額の少ない受給者への手立ても求められそうだ。年金制度は本来、保険料を多く納めた人が多く受け取り、少なく納めた人は少なく受け取る仕組みだ。原則を違えず、何が可能か、検討が急がれている。


03. 2015年2月06日 10:21:20 : nJF6kGWndY

社会保障要求は高まる状況では、負担を増やし、受け取るものを大幅に減らさない限り

いくら規制緩和などの成長戦略や、厳しく公共事業や公務員をカットしたところで、累積赤字に対してはほとんど焼け石に水となるし

いずれ、何らかの外的な軍事・経済危機や自然災害などで持続不可能になって、急激な切り捨てを招くことになるのは必然だな

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20150130/276940/?ST=print 

増税延期でも「財政赤字半減目標」が達成できるカラクリ2015年度予算案と今後の課題
2015年2月5日(木)  小黒 一正


 政府は1月14日、2015年度予算案を閣議決定した。その前日の13日、麻生太郎財務大臣は閣議後の会見で「2015年度における国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、以下「PB」)の赤字をGDP比で半減する目標を達成する目途がついた」という発言をした。2015年10月に予定されていた消費増税を17年4月に延期するが、それでも財政目標は達成できるとの趣旨だ。この発言をサポートするように、内閣府が2月中に公表する予定の「中長期の経済財政に関する試算」でも財政目標が達成できる見通しとするとの報道が出てきている。
 2015年度の一般会計予算(当初)の税収(見積もり)は54.5兆円。歳出総額は96.3兆円で過去最大となった(14年度の95.8兆円を0.5兆円上回る)。地方交付税交付金を0.6兆円削減するが、社会保障関係費を1兆円増やす。
 麻生財務大臣のこの発言は数カ月前の発言と異なる。昨年11月14日の閣議後の会見で、同大臣は「消費税率10%への引き上げが延期された場合、2015年度にPB赤字を半減させる目標の達成は厳しくなる」旨の認識を示していた。この理由は、内閣府が昨年7月25日に公表した「中長期の経済財政に関する試算」で、増税を実施しても、2015年度のPBは16.1兆円の赤字を予測しており、赤字半減目標(16.9兆円の赤字)を約0.7兆円下回るに過ぎないと見込んでいたからである。であるにもかかわらず、増税を延期したのに、なぜPB赤字を半減する目標の達成に目途がついたのか。
 厳密に言えば、達成できるかどうか、現時点で判断することは不能だ。そもそもGDPの発表は1次速報、2次速報、確報、確確報と4回あり、目標達成の成否が明らかになるのは2015年度のGDP確報が公表される2016年12月だからである(最終値はGDP確確報が公表される2017年12月となる)。
 また、やや厳しく評価すると、「何とか達成」の目途がついたカラクリには、歳入歳出の両面で以下の3つのポイントがある。
増税初年度の税収増はフルとはいかない
 第1のポイントは、若干技術的な議論だが、増税を延期しても、それが2015年度のPBに及ぼす影響は約1.5兆円の税収減に過ぎないと政府が予測していることだ。消費税1%=約2.7兆円とすると、消費増税(8%→10%)による税収増は単純計算で約5.4兆円となる。であるにもかかわらず、増税延期による税収減(予測)が1.5兆円で済むのは、以下の2つの理由による。
 一つは、増税が2015年10月すなわち2015年度の期間中央に予定されていたため、2015年度の税収増に対する貢献は消費税1%分(2.7兆円)しかなかったことである。もう一つは、消費税を納める事業者の決算期と国の決算期のズレや長期請負契約などにかかわる経過措置の影響などにより、増税初年度は約73%の税収増(約2兆円=2.7兆円×0.73)しか見込めないことである。
 しかも、この約2兆円は、国=約1.5兆円、地方=約0.5兆円という税収増の合計であるため、増税延期に伴う税収減は、国・地方を合わせて約1.5兆円となる。どういうことかというと、地方消費税分は国に一度収納された後、地方に配分される仕組みになっており、国の消費税と比較して歳入計上がずっと遅いのだ。このため、2015年度に予定していた地方の税収増は数百億円規模に過ぎなかった。
 上記の理由が理解できれば、増税延期に伴う税収減(5.4兆円)の影響が本当に効いてくるのは、2016年度以降の予算であることが予測できるはずだ。
 第2のポイントは、税外収入(会計操作や一時的な副収入)の活用である。資産として有しているNTT株式の売却や基金の剰余金の国庫返納分、日銀納付金などの一時的な副収入0.6兆円で、上記1.5兆円の税収減の一部を補う措置を講じている。
 税外収入0.6兆円のすべてを「会計操作」と位置付けることはできないが、例えばNTT株式売却といった会計操作は純債務(=負債−資産)を増加させるため、理論的には公債を発行しているに等しい。純債務800万円(住宅ローン1000万円、預金200万円)を抱える家計でいうならば、収入が減ったので、預金100万円を取り崩して生活費の穴埋めをし、純債務が900万円(住宅ローン1000万円、預金100万円)に増加するような措置だ。
 これは、ツケを将来世代に先送りしていると言っても過言でない。このような会計操作を牽制するには、拙著『財政危機の深層』(NHK出版)で提言しているように、政治的に中立的で学術的に信頼性の高い公的機関が「財政の長期推計」や「世代会計」を公表する必要がある。
社会保障の見直しは評価できる
 第3のポイントは、一般会計の歳出見直しだ。これは、増税を延期した今、妥当な措置で、約1兆円の財源を捻出している。内訳は、社会保障の充実などの見直しで0.5兆円(国=0.4兆円、地方=0.1兆円)、その他歳出の徹底的な重点化・効率化で0.5兆だ。
 このように、歳出面で切り込みを行った点は評価できるが、2015年度の歳出には、留意が必要である。なぜなら、2015年度予算の直前に、約3.1兆円の2014年度補正予算を組んでおり、政府はそのうち1.2兆円程度が15年度予算に繰り越しになる可能性が高いとしているからである。その際、政府は2014年度補正予算などを反映した税収増を0.4兆円(国の税収増のみ)と見込んでいるが、それを考慮しても、PB赤字は0.8兆円(=1.2兆円−0.4兆円)も拡大する。
 以上の説明をまとめると、次のようになる。内閣府の中長期試算(昨年7月)が予測する2015年度のPB赤字16.1兆円をベースにすると、第1のポイントから、増税延期でPB赤字は17.6兆円(=16.1兆円+1.5兆円)に拡大する。また、第2・3のポイントから、会計操作や歳出見直しの捻出財源で、PB赤字は16兆円(=17.6兆円−0.6兆円−1兆円)に改善する。しかし、先に説明した2014年度補正予算の影響を勘案すると、PB赤字は16.8兆円(=16兆円+0.8兆円)に拡大してしまうのだ。
 この16.8兆円は、半減目標の赤字幅(16.9兆円)をわずかかに0.1兆円下回るのみで、例えば補正予算の繰り越し(予測=1.2兆円)が1.5兆円に膨張すれば、半減目標の達成は不可能となる。それでも、麻生財務大臣が1月13日の会見で、2015年度にPB赤字を半減する目標を達成する目途がついた旨の発言をしているのは、第3のポイントの歳出見直しには地方歳出の効率化は盛り込まれておらず、2014年度補正などによる地方分の税収増も見込まれることから、それらの合計で追加の財源を捻出できる可能性があるからだろう。つまり、「何とか目標を達成できるかもしれない」と考えているのである。
税収は目論み通りの額にはならない
 このような現状を踏まえると、「消費増税を延期してもPB赤字の半減目標を達成できるではないか」という主張が妥当でないことは明らかである。むしろ、政治との関係から、会計操作といった手段を活用し、財務省が知恵を絞って体裁を繕ったという評価が正しい。
 したがって、財政再建は「綱渡り状態」なのだ。
 しかも、経済ではリーマン・ショックのような予期せぬ変動が頻繁に起こるため、税収の予測はきわめて難しい。1981〜2012年度の約30年間において、国の税収見積もり額(一般会計の当初予算)とその決算額の誤差は上下に大きく振動している。実際の税収が、見積もりよりも5%以上も減少してしまった年度は10回、そのうち1割以上減少した年度は7回も存在する(図表)。
 また、2015年度予算の税収見積もり54.5兆円は、1990年度の54.4兆円(決算ベース)以来の高い水準だ。それが5%減少すれば、2.7兆円も税収減となることから、PB赤字の半減目標は達成不可能になるという視点も重要だ。
図表:予算と決算の税収誤差率

(出所)財務省資料
新たな財政再建計画の工程表が必要
 ところで、安倍晋三首相は「2020年度にPBの黒字化を達成する」ことを目指すと宣言している。このため、政府・与党は、2015年夏頃を目途に公表する予定の「新たな財政再建計画」の取りまとめを本格化する意向だ。
 ただし、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」(昨年7月公表)によると、(2015年10月に消費税率を10%に引き上げ)名目成長率が3〜4%増で推移しても、2020年度のPB赤字は10兆円以上にも達する見込みである。財政再建には(1)増税、(2)歳出削減、(3)経済成長の3つの方法があるが、このような現状を踏まえると、経済成長による財政再建には限界がある。2020年度のPB黒字化を達成するためには、2017年4月に延期した消費増税(8%→10%)を必ず実行し、それと同時に、社会保障改革や追加の増税を検討することが必要だ。
 その際、新たな財政再建計画の工程表が重要となる。つまり、どのタイミングで、どの分野の歳出をどの程度削減し、どの程度の追加増税を行うのかという具体的なスケジュールと内容を盛り込んだ骨組み(フレーム)である。
 また、2025年は義務的経費が多くを占める社会保障費に切り込むことが避けられない。団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護費が倍増することが見込まれるからだ。この時、年金の支給開始年齢の引き上げやデフレ下でのマクロ経済スライド発動、医療保険制度での免責導入や自己負担増といった制度改革も不可欠となってこよう。また、この連載コラムで以前から説明している年金の「事前積立」を導入することも重要だ(関連記事:「賦課方式vs積立方式」論争の誤解を正す)。
 なお、最近復刊となったブキャナンとワグナーの名著『赤字の民主主義 ケインズが遺したもの』(日経BP社)は、「現実の民主主義社会では、政治家は選挙があるため、減税はできても増税は困難であり、民主主義の下で財政を均衡させ、政府の肥大化を防ぐには、憲法で財政均衡を義務付けるしかない」旨の指摘があるが、安倍首相が財政再建の目標を堅持していることは評価できる。
 いずれにせよ、2020年度のPB黒字化達成に向け、財政・社会保障改革に対する政権の本気度が問われている。安倍政権の取り組みに期待したい。



子供たちにツケを残さないために、いまの僕たちにできること
 この連載コラムは、拙書『2020年、日本が破綻する日』(日経プレミアムシリーズ)をふまえて、 財政・社会保障の再生や今後の成長戦略のあり方について考察していきます。国債の増発によって社会保障費を賄う現状は、ツケを私たちの子供たちに 回しているだけです。子供や孫たちに過剰な負担をかけないためにはどうするべきか? 財政の持続可能性のみでなく、財政負担の世代間公平も視点に入れて分析します。
 また、子供や孫たちに成長の糧を残すためにはどうすべきか、も議論します。
 楽しみにしてください。もちろん、皆様のご意見・ご感想も大歓迎です。


04. 2015年2月06日 11:29:58 : QISk3Exk6Q
特別会計400兆円の存在に言及しない御託をいくら並べてもすべては
ウソだな。

ウラ帳簿出せよ。ウラ帳簿!



05. 2015年2月06日 12:11:16 : QISk3Exk6Q
http://www.asyura2.com/09/senkyo68/msg/1065.html

ウラ帳簿解説の一例


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